株式会社ワールドワイド・アイピー・コンサルティングジャパンWWIP : 東京都港区) は、中国法考察と題して、「中国の地方条例と例としての広東省の著名商標登録制度」に関するレポートを本年8月6日に発表しました。(筆:WWIP中国法顧問 高橋孝治)
(以下、全文)

 中華人民共和国(以下「中国」という)は、中央集権体制をとっている国家です。しかし、中国の法は必ずしも中央集権的ではありません。中国共産党による中国の体制はどのようにできたのでしょうか。中国国民党との内戦に中国共産党が勝利して現在の中国の体制が完成するわけですが、中国共産党は内戦に一気に勝利したわけではありません。一つの街で中国国民党の統治を退けて、また次の街で勝利して……と徐々に中国共産党による統治の領域を広げていったのです。そのため、初期の中国共産党統治は、各街単位で始まり、飛び地なども多く存在していました。このため、中国共産党の法は「各街のみに適用される条例」からスタートしているのです(註1)。現在は中国共産党による統一が完成していますが、現在もこの発想による法制定は継続しています。
 つまり、中国には全国統一法があっても、地方ごとの条例も非常に充実しており、法の適用に関しては事実上「連邦制国家」になっていると言っても過言ではないのです。つまり、地方ごとに規制の内容が変わる場合があるのです。
 
 このような地方条例(中国語では「地方性法規」と言います)の充実は、商標関係についても同様です。例えば、今回は広東省の条例である「広東省著名商標の認定および管理暫定弁法(中国語原文は「広東省著名商標認定和管理暫行く弁法」。2018年1月22日広東省著名商標評審委員会公布、公布日同日施行)」を簡単に見ていきましょう(以下、単に条文番号を示す場合は、広東省著名商標の認定および管理暫定弁法を意味する)(註2)。

 商標登録の申請をした日から継続して3年以上使用しており、公衆によく知られており、関連市場で比較的高い知名度を持ち、品質が良好で営業利益もよい商品に使用しているなどの要件を満たした商標は(第8条)、広東省内で設立された法人やその他の組織、広東省に戸籍のある自然人など(第7条)が広東省に著名商標として認定の申請をすることができます。そして、著名商標として認められ公告されると、その著名商標に類似あるいは近似する名称をもって、公衆に誤認を与え損害が生じた場合には、関連行政機関もしくは司法機関に著名商標の保護を請求することができるとされています(第37条)。同様の規定は中国の全国統一法である中国商標法にもありますが、こちらは「『著名』商標」として、全国統一の商標登録に上乗せして登録しているので、全国統一の商標法によるものより強い保護が期待できます(例えば、損害賠償請求がより高額になる、行政機関などによる保護がより迅速に行われるなど)。

 また、広東省の域外で行われた著名商標の侵害であっても、重大な侵害と言える場合には、著名商標の権利者は広東省工商行政管理部門に助けを求めることができるとしています(第39条)。なお、著名商標の有効期限は公告の日から3年とされており、有効期限6ケ月前から延長手続きがとれるとされています(第26条)。

 このような著名商標制度は中国の全国統一法には規定されていないことであり、地方条例まで注意しないと実務レベルで利用できる制度が見えにくいという中国法の構造そのものを表しているように見えます。

 しかし、これが中国の法制度なんだ、と考え条例を含めて中国ビジネス法を俯瞰してみるというのもいかがでしょうか。

 なお、今回は広東省の例を説明しましたが、似たような条例は割と多くの地方が導入しているようです。

<註>
(1)小田美佐子『中国土地使用権と所有権』法律文化社、2002年、75頁。
(2) 広東省著名商標の認定および管理暫定弁法の全文(中国語)は、以下のウェブサイトを参考http://www.zjsbw.net/uploadfile/2018/0124/20180124040159698.pdf

■ 筆者 ■
WWIP中国法顧問 高橋 孝治(たかはし こうじ
株式会社WWIP コンサルティングジャパン 中国法顧問
日本で修士課程修了後、中国法の魅力に取りつかれ、
都内社労士事務所を退職し渡中。
中国政法大学 刑事司法学院 博士課程修了(法学博士)研究領域:中国法。
行政書士有資格者、特定社労士有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)。

著書に、『ビジネスマンのための中国労働法』(労働調査会、2015 年)、 『日本本学(第二十編)』(共著・北京大学日本研究中心(編)、世界知識出版社、2018年)、『中国年鑑2019』(共著・中国研究所(編)、明石書店、2019年)など。
『時事速報(中華版)』(時事通信社)にて「高橋孝治の中国法教室」連載中。 日本テレビ月曜から夜ふかし」(2015年10月26日放送)では中国商標法についてコメントもした。
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