熱中症で死亡の危険!実証実験ではアマミノクロウサギや猫なら30分で死亡もありえる高温54.8度でした。どうぶつ基金は鹿児島県環境省に捕獲の即時中止を要請しました。
環境省奄美大島の旧国道58号線に違法設置していたノネコ捕獲ワナの内部温度環境を検証するために、どうぶつ基金では同様の捕獲器を作り検証実験を行いました。

実験日8月4日16時の実験地(兵庫県六甲山中標高500m)は気象庁発表温度31度、実測温度は33度でした。奄美大島よりも温度も湿度も低く快適な状況で行いました。

それでも捕獲器の金属部を触ると火傷しそうな熱さです。

捕獲器の中の温度を測ってみると54.8度 手を入れるとサウナのような暑さです。
奄美新聞8月3日写真と情報提供どうぶつ基金
「猫やアマミノクロウサギは30分程度で重度熱中症になり死亡してもおかしくない温度だ」(山口武雄獣医師)
環境省自身も主催したシンポジウムで、重度熱中症死亡率を36~46%として、注意喚起しています。
http://ur2.link/DswV

ところが環境省によるノネコ捕獲ワナのチェックは1日1回です。灼熱地獄の様な捕獲器の中で24時間以上放置されることもあります。
捕獲機が設置された旧国道は土砂やごみを積んだダンプが走り、砂埃が待っています。奄美は晴れの日も局地的で激しい雨や嵐が多く発生します。そうなるとアスファルトからの蒸気で湿度があがり、捕獲器内はさらに危険な状態になります。
また、この捕獲機にはノネコ以外に飼い猫や、アマミノクロウサギなどの野生動物が150頭以上が誤捕獲されています。

捕獲され灼熱地獄に放置された動物たちのことを想うと怒りと悲しさと、ヒトとして動物たちに申し訳ない気持ちで一杯です。


地域猫のボランティアさんがTNRで猫を捕獲する際は、捕獲器設置中はずっとみまもるのが常識です。


クロウサギや猫を熱中症で死亡する可能性もある高温下に放置することは動物虐待です。
どうぶつ基金では引き続き、無意味で非人道的なノネコ駆除殺処分の中止を求めます。反対署名change org.への署名をお願いいたします。
https://bit.ly/2llAOrM
真実を知るための調査や広報にも高額な費用が生じます。
ネコも人もアマミノクロウサギも幸せに生きるために

皆様のご支援をよろしくお願いします。
https://www.doubutukikin.or.jp/contribution3/

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鹿児島県知事への要望書 全文
鹿児島県知事 三田園 訓様

公益財団法人どうぶつ基金理事長
佐上 邦久
NPO法人ゴールゼロ代表
斉藤 朋子
環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しを求める要望書

猛暑の候、知事におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、表題にありますとおり、鹿児島県環境省に与えた奄美大島のノネコに対する有害鳥獣捕獲許可の取り消しをご要望申し上げます。

理由は以下の通りです。

許可権者である鹿児県知事が申請者である環境省にノネコの有害鳥獣捕獲許可を与える際には、被害の状況及び防除対策の実施状況を的確に把握した結果、被害等が生じており、原則として防除対策によって被害が防止できないと認められ「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性があると認められ、被害の恐れがある場合」という条件が満たされている必要があります。

申請者である環境省は、「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がある」ことを証明する根拠として「猫がアマミノクロウサギをくわえている写真」および「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画(2018 年度~2027 年度)」を申請書に添付しています。

上記管理計画には、「希少種に及ぼすノネコの捕殺影響は甚大なものとなる可能性が高い」、「早急にノネコを生態系から排除する対策を講じなければ、在来生態系に大きな影響を及ぼすものと考えられる」などの判断が散見されますが、これらは科学的調査に照らして妥当性を欠いていることが明らかになりました。環境省はこれまで、アマミノクロウサギの奄美大島での推定生息数について、2003年度時点で2,000~4,800頭としてきました。今回の管理計画策定にはこの生息数が用いられており、2015年時点で既に同省が把握していた推定生息数15,221~39,780頭は全く配慮されていません。

一方で2003年から2015年の12年間、環境省奄美大島における「ノネコ捕獲モデル事業」で捕獲した、いわゆるノネコの数が2012年7頭、2013年6頭に過ぎないという事実は、猫がアマミノクロウサギの生息にとって全く脅威になっていないことを明証しています。

アマミノクロウサギの増加原因は捕食者のマングースの駆除などが奏功したとみられ環境省は23年度までに、今より絶滅の危険度が低いランクに見直すことをめざしていることからも、奄美におけるノネコの有害鳥獣捕獲許可は不適切です。

また証拠として添付された「猫がアマミノクロウサギをくわえている写真」は「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」もしくは「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がある」ことの証明にはなりません。

また、アマミノクロウサギ以外の動物に関しても。2016年度奄美希少野生生物保護増殖検討会で石田 健委員(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授 当時) が次の発言をしています。

〈ひとつ重要なことはアマミノクロウサギにしてもケナガネズミにしてもトゲネズミにしてもオオトラツグミにしてもアマミヤマシギにしてもアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルにしても、マングースをしっかりと防除して、あるいは国立公園を作り、森林は林業が衰退してあまり伐らなくなっているので、回復しているのです。世界中が見ても私が見ても奄美大島は素晴らしい成果が出ていると思います。そういう成果があがっているところで、むやみに猫の問題を過大に問題視する必要はない。(中略)特に世界自然遺産の登録の時に過大に問題を表沙汰にするというのは、あまりよいことではない。誰も得しない〉(2017年2月18日の議事録)

上記、石田委員の発言は、「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い害性がない」ことを明証しています。

週刊文春によると

世界遺産の価値というのは、顕著で普遍的な価値といわれる。その一つにクロウサギをはじめとするこの地域にしか棲んでいない生き物というのがある。その数が増えていようが減っていようが、個体が食べられている。それ自体が世界自然遺産登録にマイナスになると我々は感じています」(環境省奄美野生生物保護センター)という発言が見られますが、こちらも有害鳥獣捕獲許可を与える要件を満たすことにはなりませんし「ノネコの生息数を低下させる必要があるほど強い被害がある」ことの証明にはなりませんので、全く無関係です。

また、環境省および委託業者の株式会社xxxは本有害鳥獣捕獲許可を乱用して、道路占有許可及び道路使用許可を得ずに、旧国道58号線上(瀬戸内町道網野子峠線 期間7/10-8/1)に多数の捕獲器を無許可で設置して道路を占有し違法に捕獲作業を行っていました。

どうぶつ基金が行った実証実験によると捕獲器内の温度は54.8度になりました。環境省によるとノネコ捕獲ワナのチェックは1日1回です。灼熱地獄の様な捕獲器の中で24時間以上放置されることもあります。

捕獲器が設置された旧国道は土砂やごみを積んだダンプが走り、砂埃が舞っています。晴れの日も局地的で激しい雨や嵐が多く発生します。そうなるとアスファルトからの蒸気で湿度があがり、捕獲器内はさらに危険な状態になります。

この捕獲器にはこれまでノネコ以外に飼い猫や、アマミノクロウサギなどの野生動物が150頭以上も誤捕獲されています。

熱中症で死亡する可能性の高い高温の捕獲器内に放置された動物たちのことを想うと怒りと悲しさと、同じ地球に生きるヒトとして動物たちに申し訳ない気持ちで一杯になります。

通常、動物愛護団体が猫を捕獲する際は、捕獲器設置中はずっとみまもるのが常識です。

猫や動物を熱中症で死亡する温度下に、水もエサも与えず放置することは残酷な虐待行為です。

私たちの税金を使い危険で違法な捕獲作業を行う環境省および業務委託を請け負う株式会社xxxに、被許可者としての資格はありません。

1000年以上前から、遅くとも西暦1850年以前から奄美に生息しアマミノクロウサギやケナガネズミやトゲネズミやオオトラツグミやアマミヤマシギやアマミイシカワガエルやアマミハナサキガエルや食物連鎖の頂点にあるハブなどと食物連鎖を繰り返し、今の生態系を育んできた奄美のネコにその生息数を低下させる必要があるほど強い害性があるとは考えられません。

国民の悲願である世界遺産登録を確実なものにするためにも、奄美のノネコの有害鳥獣捕獲許可の取り消しをご要望申し上げます。

なお、知事におかれましては、本件に関するご回答を下記あてにEメールにて8月20日までいただきますようお願いいたします。

公益財団法人どうぶつ基金理事長 佐上邦久 あて

contact@doubutukikin.or.jp

令和元年8月5日

配信元企業:公益財団法人どうぶつ基金

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