学校給食における取り組みについて、大阪府箕面(みのお)市に取材した。

市内の小中学校に「低アレルゲン献立」導入

箕面市は今年1月、市内の市立小・中学校全20校の給食を「低アレルゲン献立」に変更した。

発症数・重篤度から省令で表示が義務付けられている「特定原材料7品目」(卵・乳・小麦・落花生・えび・そば・かに)とナッツ類、貝類、魚卵、魚卵を含む魚類、キウィフルーツメロン等を給食調理で基本的に不使用とした。

※乳は飲料牛乳や角チーズ・棒チーズカップ入りヨーグルトは使用、小麦は醤油などの調味料で小麦が使われるものは使用。

大豆・ゴマ・大麦・イカ・タコについては、給食調理での除去に対応可能だという。

詳細は箕面市のホームページにて紹介している。

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室/調理風景

多くの子どもが共通して食べられる献立に

アレルギーを持つ生徒の給食だけアレルギー源となる食材を抜いて提供するケースは多いが、全生徒の給食を「低アレルゲン献立」にするのは珍しい取り組みだ。

箕面市子ども未来創造局の学校給食室担当室長に話を聞いた。

—–低アレルゲン献立は、どのような経緯で導入したのですか?

2013年8月に中学校給食を開始したのをきっかけに、食物アレルギー等への対応についての見直しの検討を開始しました。

2018年4月に食物アレルギー等対応給食の対応方法を変更し、除去食の提供方法の変更と同時に、安全性を向上するために給食そのものの内容を見直して低アレルゲン化を図りました。

変更当初の2018年度は「低アレルゲン献立」を全献立の50%にすることを目標に献立を作成していましたが、実際にやってみたところ、栄養価・味・価格等、これまでと変わらない給食が提供できていたため、2019年1月から全て「低アレルゲン献立」に変更しました。

—–全生徒の給食を低アレルゲン献立にした理由は?

学校給食は教育の一環として実施しており、児童生徒が学校生活の中で、一緒に、極めて安全で、楽しく食べられる環境を整えることがとても大切であると考えています。

そのため、できるだけ多くの子どもが共通して食べられる献立が学校給食として最良であると考え、全ての給食献立を「低アレルゲン献立」に変更しました。

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室/献立(ピラフ、ミネストローネ、ポテトサラダ)

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室/献立(ピラフミネストローネポテトサラダ

栄養価や給食費が変わらないよう工夫

—–導入にあたって、こだわった点や苦労した点は?

低アレルゲン献立給食になっても、今までと栄養価や給食費が変わらないようにすることが、こだわった点でもあり、現在も苦労している点でもあります。

特にカルシウムについては、牛乳・乳製品を調理に使用しないことで今までより減ってしまうことがないよう、大豆や小魚、海藻、緑黄色野菜等の使用量を増やす等の工夫を重ねています。

—–「低アレルゲン献立」の例を教えてください。

【ある日の献立(米飯、鶏肉のコーンフレーク揚げ、ポテトの甘辛炒め、にゅうめん汁、じゃことピーマンのつくだ煮)】

箕面市は、市立小中学校全校で週5回主食が米飯である「完全米飯給食」です。

鶏肉のコーンフレーク揚げは、鶏肉に、通常なら小麦粉、卵、パン粉をまぶして「チキンカツ」にする代わりに、米粉を水で溶いたものをからめた後、コーンフレークの衣をつけて、菜種油で色よく揚げました。コーンフレークのカリッとした食感も楽しめる、子どもたちに人気のメニューです。

ポテトの甘辛炒めは、じゃがいもを中心に、牛肉と、チンゲンサイやたまねぎ等の野菜を甘辛く炒めた、ごはんがすすむ一品。

にゅうめん汁は、通常は素麺を使用しますが、代わりに米粉麺を使用。じゃことピーマンのつくだ煮は、カルシウムたっぷりの手作りです。

飲用牛乳やヨーグルト、1個付のチーズ等の乳製品は使用しています。カルシウムが豊富な牛乳は、学校給食には欠かせません。

提供:箕面市子ども未来創造局

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室

学校栄養士の知識をフル活用

—–特定原材料7品目を使わないメニューを考えるのは大変ではないですか?

マヨネーズの代わりに卵不使用のマヨネーズ調味料小麦粉の代わりに米粉、バターの代わりに菜種油等、代替食品に変更することで概ね対応が可能です。

しかし、例えば小麦粉と米粉では性質が違うため、小麦粉と同じ使用量や調理方法では上手く仕上がりません。

そのため、試作をしたり、やってみて上手くできなかったりしたメニューについては、次に作る際に使用量や調理方法を変える等の工夫を重ねています。

そういった使い慣れない食材を集団給食で上手に使用するための方法を模索することが大変ではありますが、学校栄養士が持っている知識をフル活用して努力しています。

—–低アレルゲン献立導入後、生徒の反応や効果は?

以前と変わらず、よく食べてくれています。

低アレルゲン献立になったことで、みんなと一緒にお代わりができることを喜んでいる子どももいました。食物アレルギーを持つ児童生徒の保護者からは、「みんなと同じ給食を食べられる機会が増えて、子どもがとても喜んでいる」といったご意見も伺っています。

卵焼きやえびフライ等、出せなくなったメニューを惜しむ声も伺いますが、それに代わるメニューをいろいろ検討しています。

また、除去食の対象児童生徒数が多かった卵や牛乳・乳製品、小麦・小麦製品を使用しなくなったことで、日々の給食指導を行う学級担任の負担も減りました。

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室/調理風景

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室/調理風景

子どもたちの健康な食習慣作りに

同市は他にも給食の献立をブログで紹介したり、いわゆる規格外と呼ばれる野菜の給食への活用を模索するなど、給食に対して積極的な取り組みを行っている。

—–学校給食に込める思いを教えてください。

箕面市では、学校給食の食材に、箕面の農家のみなさんが作った新鮮でおいしい野菜を使い、「地産地消」を進めています。

また、学校栄養士が箕面の野菜を生かした献立を作り、学校給食を通じて栄養やバランスの良い食事のとり方を教えるとともに、子どもたちが地元の農家のみなさんと触れ合って食の大切さを学び、野菜を作ってくださったかたへの感謝の気持ちを育めるよう、「食育」に取り組んでいます。

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室

提供:箕面市子ども未来創造局 学校給食室/農家さん

箕面市子ども未来創造局 学校給食室

箕面市子ども未来創造局 学校給食室/規格外野菜

箕面市には、市民一人ひとりが生涯を通じて元気で豊かに暮らすための食生活の基本をまとめた「食育3つのアクション」があるという。

【食育3つのアクション
1.朝食宣言!~毎日食べます「朝ごはん
2.食は健康!~野菜たっぷり「バランスごはん」
3.お米習慣!~旬と味わう「お米のごはん」

学校給食においても、米飯を主食とし、野菜をたくさん使った栄養バランスの良い食事を毎日くり返し体験することで、子どもたちの健康な食習慣づくりにつなげたいと考えています。

子どもたちにとって学校給食が、何よりも安全で、みんなで一緒に安心して楽しく食べられるものであること、「食べること」の大切さを知るための良い機会となることを願って、これからも安全を最優先に提供していきます。

大阪・箕面市が全生徒の給食を「低アレルゲン献立」に変更!特定原材料7品目を基本不使用に、理由を聞く