妊娠中は塩分を控えるようにと指導されます。塩気の多いものが食べたくて困っている相談者さんに、妊娠中の減塩はなぜ大事なのか、看護師さん達が回答しています。



30歳女性からの質問:「妊娠中の減塩の必要性について」


『妊娠後、周囲から妊婦さんは減塩に注意と言われるようになりました。なぜ妊娠したら減塩が必要なのでしょうか?また、体重管理のためにも減塩は必要でしょうか?妊娠初期は悪阻であまり食べられなかったのですが、最近は逆に食べていないと落ち着かなかったりします。しかも塩気の多いものが欲しくなるので、減塩について悩んでいます。(30歳・女性)』




摂取過多で高血圧や腎不全、妊娠中毒症のリスクも

塩分の摂りすぎによって起こるリスクはいくつかあります。母体のみならず、胎児への影響も考えられます。




『塩分を摂りすぎると血液中のナトリウム濃度が高まり、それを抑えようと血中の水分量が増えます。そのため身体がむくみやすくなって心臓に負担がかかり、高血圧や心不全になることがあります。また、ナトリウムを排出するために、腎臓にも負担がかかるため、腎不全になりやすくなります。妊娠中でなくても、減塩は必要です。塩分の摂りすぎは、妊婦さんの場合、妊娠中毒症を発症してしまいます。(消化器科看護師)』





『妊娠中毒症になると血管の働きが悪いため栄養が十分に送れず、赤ちゃんの成長が悪くなり、早期胎盤剥離のリスクも高まります。妊娠後期になると中毒症を発症しやすいので、早い段階から減塩の調味料を使い、醤油やソースの代わりにレモンやお酢などを使って、減塩を心がけましょう。(産科・婦人科看護師)』





『血液の循環が悪くなることで胎児にも栄養が行きわたらなくなり、低体重児になる可能性が高いのです。ですので減塩に努めた方がよいと思います。体重管理の為にも減塩は必要です。体重が増えたからといって全部が胎児に行くわけではないので、注意が必要です。(一般内科看護師)』




減塩のために工夫したい4つのコツ

妊娠高血圧症や、それに伴うリスクは、なぜ起こるのでしょうか。そしてどのようなことに気をつければ避けられるのでしょうか。




『妊娠中の減塩は大事です。妊娠時高血圧といって、普段は血圧が高くない人でも妊娠で血圧が高くなります。妊娠中は普通でも血液の流れが悪くなりやすいのですが、塩分の多い食事を摂ることでそれ以上に高血圧になり、循環が悪いことで心臓や脳に負担がかかるのです。それが原因で妊娠中の脳出血脳梗塞で命を落とす妊婦はいるのです。(一般内科看護師)』





『妊娠中に塩分を控えるようにする主な理由は、妊娠高血圧症を予防するためです。塩分を過剰に摂取すると、体内のナトリウム濃度を一定にするため水が飲みたくなります。それが体内に停滞してむくみや高血圧の原因となるのです。体重管理のためにも、塩分控えめは大切です。塩分を多く取ることにより、食欲が増して食べ過ぎてしまう結果になるからです。(一般内科看護師)』





『減塩のためのコツが4つあります。
1.麺類の汁は残す 
2.塩ではない味付けに: ポン酢ドレッシングなどで塩分の少ない調味法を工夫しましょう。 
3.みそ汁漬け物は1日1回 
4.醤油やソースはかけるよりつける: つける方が塩分の摂取量は少なくできます。(一般内科看護師) 』




妊娠中の塩分の摂取には注意が必要です。日々の心がけでリスクを回避できるのなら、ぜひ実行したいものですね。




<こちらの記事は、看護師薬剤師・管理栄養士等の専門家(以下、「専門家」)が回答するQ&Aサイト「なるカラ」の回答を元に作成されております。本記事における専門家のコメントはあくまで「なるカラ」で回答した各専門家個人の意見であることをご理解の上、お読みいただければ幸いです。>



妊娠中の減塩のために注意したい4つのポイント