※画像:鉄道総研

鉄道総研8月6日JR東日本の協力のもと、超電導き電システム(以下、本システム)の実用化に向けた適用試験の一環として、中央本線(直流1500V)のき電系統に本システムを接続し、実車両を走行させた通電試験とシステム切り離し試験を実施したと発表しました。

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通電試験は直流1500Vで電力を供給する鉄道において、本システムを通じて実車両の加速に用いる電流やブレーキ時に生じる回生電流(逆方向電流)を送電できることを確認するもの。

システム切り離し試験は、既設き電回路に本システムを並列接続した状態で、送電中に本システムを既設き電回路から切り離した場合でも、既設き電線を通じた送電により継続して車両が走行できることを確認するものです。

通電試験では液体窒素を冷媒に用いて本システムを冷却し超電導状態を保持、中央本線の既設き電線へ並列接続しました。この状態で試験列車(E233系、10両編成)を走行させるとともに、豊田車両センターでは回生電力を消費するための試験車両(E233系、10両編成)10編成の補機運転(電力を消費する照明、空調などの稼働)を行いました。

結果、加速時には最大2200Aを越える電流が変電所から本システムを通じて試験車両に流れました。また、ブレーキ時には試験車両からの回生電流が本システムを逆方向に流れ、豊田車両センター内の車両などへ送電されていることを確認。さらに、試験列車はセクションを正常に通過できることも確認されました。

※画像:鉄道総研

システム切り離し試験では、通電試験と同様に超電導状態とした本システムを中央本線の既設き電線へ並列接続し、試験車両(同上)を走行させ、加速走行中に遮断器を用いて本システムを回路から切り離しました。

結果、本システムを流れていた電流は全て既設き電線を通じて流れ、遮断後も既設き電線からの送電により車両が加速を続けたことから、本システムに異常が生じたときなども既設のき電線に切り替えて列車が走行出来ることが確認されました。また、遮断前の電圧降下はほぼ0Vであったのに対し、遮断後に約25Vの電圧降下が生じたことから、電気抵抗がゼロである超電導き電ケーブルの効果が確認出来たことになります。

※画像:鉄道総研

鉄道総研は今後も、本システムを用いて実際の変電所間隔(数km以上)を想定したシステムの開発を行うなど、実用化を目指した課題解決に取り組むとしています。

(鉄道チャンネル編集部)