近年は、持ち家志向が弱まり、賃貸派を自称する人も増えている。だが、いつの時代でも、住宅購入を真剣に考えている人は数多く存在する。大都市圏で暮らす若者の場合、一戸建は価格的に難しく、マンション購入を検討中という人もいるはずだ。

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※画像はイメージです(以下同じ)
 国内最大のマンション購入者向け口コミサイト「マンションコミュニティ」を運営するミクル株式会社に所属し、マンション専用ブログ「スムログ」で活躍するブロガーでもあるスムログやまちゃんさんは、マンション購入の優位点をこう説明する。

「分譲マンションは住み続ければ自分の財産になり、自分の所有物という安心感を持てる。もともと賃貸マンションより分譲マンションのほうが、作りがしっかりしているので、同じスペックのマンションに住むなら、賃貸より分譲のほうがコスパがいい。

 賃貸だと壁に画鋲ひとつ開けることも気になるが、持ち家なら現状復帰という縛りを気にせず住むことができますしね」

 結婚を機に住宅購入を考え始める人も少なくないだろう。そこで、今回は新婚さんがマンション購入するときの注意点を聞いてみた。主にポイントは5つあるという、もちろん今は単身者という方も将来のために参考にしてほしい(以下、スムログやまちゃんさんの発言をもとに構成)。

その①「血縁・地縁を重視すべし」

 将来、子供を作らないと断言できる人には、このアドバイスは当てはまらない。また、夫婦とも地方出身者で、居住地の近くに肉親が住んでいないという人にも当てはまらない。しかし、ひょっとしたら子育てをするかもと思っている人で、居住地の近くに夫か、お嫁さんの実家があるなら、おおむね1時間以内で実家に行ける範囲内に、マンションを購入することは、検討に値する。

 親が近くにいれば、育児で大きな助けになる。親御さんは孫の顔を見たいという人が多いので、仕事が忙しく育児に時間を割けないときに、預かってくれる。他人に預けると気を遣ったり、お金がかかったりするが、親御さんであれば、これは親孝行にもなる。

 新築でマンションを購入する新婚カップルの場合、物件の資産価値やローン・金利・支払いを心配する人が多いのに、子供ができて夫婦の片方の育児・家事負担が大きくなりすぎ、夫婦仲が悪くなることまでを、心配する人はあまりいない。だが、これはぜひともマンション購入時に考えてもらいたいポイントだ。

 いざ子供ができて、夫もお嫁さんも育児も仕事もこなさなければならないとなったときに、どれほどのストレスがかかることか……。個人の頑張りだけで乗り越えられないときに、近くにどちらかの実家があると大きな助けになる。

その②「子育て環境を重視すべき」

子育て

 やはりこれも、子育てに関する話題だ。将来子供は持たないというDinksカップルなら資産価値だけを気にしていてもいい。しかし、将来、そのマンションで子育てする可能性があるなら、保育園に入れる自治体なのか、公立の小中学校はどんな学校か、近くにどんな病院があるのかを調べてほしい。

 これらのことは、役所のHPを見るだけでも、ある程度分かるし、今時は専門のサイトでそれぞれの評判まで調べることができる。特に子供が小さいうちは、たとえ夫に十分な収入があっても、お嫁さんがずっと家にいて子供の面倒ばかりみていると、精神的にも良くない影響が出る。

 今や政府が「1億総活躍社会にしよう」と言うのだから、お嫁さんが望むなら、子供を保育園に預けられる待機児童問題のない地域を選んで、子供としっかり離れられる時間を作ってあげることを考えてもよいだろう。

 これも1つ目と同じく、新婚カップルが見落としがちなポイントだ。そのマンションが優良物件かどうかを心配しても、子育て環境まで気にしない人が多い。しかし、子供ができたら夫婦生活に大きな影響を与える要素になる。

その③「夫の単独ローンで買うべし」

 共働き夫婦の場合、2人の収入を合算して購入可能な範囲内で、最大豪華な物件をほしがる人もいる。しかし、その背伸びが将来、重荷になる可能性をちゃんと考えておくべきだ。

 マンション購入後、出産などの理由でお嫁さんが働けなくなる可能性もある。いわゆる「嫁の退職リスク」だが、そこで「家計を支えるため」「ローンを返すため」「生活水準を維持するため」という切羽詰まった状態で、夫が無理矢理に働こうとすると、お互いに大きな精神的負荷がかかり、夫婦間に軋轢が生まれることがある。

 こんな話はできればしたくないが、離婚のリスクもある。日本では3組に1組が離婚するというのは無視できない比率だ。こういうことは自分の人生に十分あり得ることなのに、あり得ないと考えて行動する人が多い。

 そんなとき、共同名義にしておくと離婚時、財産分与の難易度が上がる。せっかく買ったマンションを売却して持ち分に応じて分配するのか、あるいは一方が、もう一方の持ち分を買い取るのか。もしマンションの価格よりローン残債のほうが多い「残債割れ」を起こしていたらどうなるのか……と、なにかとめんどくさい。

 結婚したら子供がほしいと思っても、子宝に恵まれないカップルも少なくない。子供を望まないカップルには関係ないが、厚生労働省の調査によると、日本では子供のいない夫婦の3.5組に1組(全体で5.5組に1組)が、不妊の検査または治療を受けているという。不妊治療の費用は、夫婦にとって予定外の出費になる。

 子供にまつわるイベントは、マンションを買う時点では想定していなかったものが多いが、不妊の問題も無視できない。予算面で背伸びしたマンション購入をせず、夫の単独名義で、買える範囲内で購入することが将来のリスク回避につながる。

その④「地域ナンバー1物件を買うべし」

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 新婚カップルに限らず、マンション購入では、売るときのことも考えて、流通価格が下がりにくい地域ナンバー1物件を選ぶのが鉄則だ。

 地域ナンバー1物件であれば、新築か中古かにこだわる必要はない。流通価格が下がりにくい物件の条件は、なにより駅近の物件ということ。理想的には駅から3分以内を選ぼう。駅直結の物件を選べるなら、条件としては最高だろう。

 もちろん、駅前に風俗街が広がる場所や、治安が悪い地域は避けるべきだろう。でも、街のイメージにかかわらず、駅近であれば流通価格が下がりにくい、というのは多くの物件に当てはまる。

 それに加えておおむね総戸数300500戸を超えるような大規模物件であることも、流通価格が下がりにくい条件だ。大規模物件は中庭や公開空地が整備されていて緑豊かだったり、共用施設のバリエーションが多く、立派で豪華だったりする。また大規模メリットにより、専有部分の設備仕様クオリティが高くなる。管理組合も修繕計画で、多くの資金を効果的に投下できるので、コストパフォーマンスが良い。特に新築で購入するなら、大規模物件で値付けを間違えて割安で放置されている住戸を探して欲しい。

 もちろんタワーマンションでもいい。タワマンの場合、修繕費が割高になるのは事実だが、その分、ランドマーク性という付加価値があるので、価格維持性に優れている。駅前の大規模再開発で販売される物件は、ほとんどのケースで割高に感じられるが、多くの人は再開発が終わった後のきれいに整備された街並みをイメージできず、後から見れば割安だったということが少なくない。再開発物件は大いに検討に値する。

 ここに挙げた条件をすべて満たす物件があるとすれば、それは地域ナンバー1だと言えるだろう。だが、厳密にすべてを満たす必要はなく、駅近、大規模、ランドマーク性、再開発のうち、多くの条件を満たした物件で、割安な住戸が販売されているなら、購入の検討に値する。

その⑤「新築にこだわるべからず」

お金 天秤

 マンションは将来にわたって自分たちの資産になる。購入するなら、新築・中古にこだわらず、人に貸した時にどれくらい稼げるかという、利回りを重視してほしい。今の市況であれば、例えば東京都心部(千代田区中央区・港区)の新築の場合で、だいたい表面利回り4%(5000万円で購入して1年で200万円の家賃を回収できるなら、利回り4% )、中古なら5%をひとまずの目安としたい

「健美家」など収益物件の情報サイトを見れば、東京都心以外や地方都市でも中古物件の利回り目安がわかる。数字をより具体的にするため狭域エリア、近い築年数の物件を調べてほしい。

 もちろんもっと利回りの出る物件を探したいし探すこともできるが、利回りと住まいの快適性は反比例の関係になる(安くなるほど快適でなくなる)ため、自己居住を目的にするマンションであれば、上記の利回りを見込めるなら合格点だ。

 近年、中古物件が注目を集めているが、理由は単純で、同じ仕様なら、新築のほうがプレミアムがついている分、1~2割、割高になってしまうのだ。一般の人は、「このマンションは○○○○万円です」と言われても、それが割高なのか、割安なのかを判断しづらい。そんな時は、この利回りを参考にして欲しい。

 購入予定マンションの周辺で、類似の物件が賃貸で出ていれば、その資料を調べればいい。地域の同規模、同仕様のマンションの賃料はネットで簡単に知ることができる。「中古の場合、築年数何年くらいまで大丈夫か」という質問を受けることがあるが、おおむね1995年以降に建設されたものなら、選択肢として悪くないだろう。

 1995年頃から新築マンションの大供給時代が始まり、2000年頃までには、モニター付きインターフォン、床暖房、24時間換気、浴室乾燥機、システムキッチン、ウォークイン・クローゼットなど、今では当然といえる設備仕様を標準となった物件が多く出回り始めた。

 中古物件を購入するときの注意点をひとつだけ挙げると、管理組合が機能不全を起こしていると疑われるところは避けるようにしよう。具体的には、仲介会社に「重要事項に係わる調査報告書」を出してもらうことをおすすめする。

 そこには、マンションの組合運営に係る情報が記載されていて、管理維持費の滞納状況や改定予定、修繕積立金の残高、借入の有無、大規模修繕の履歴が記載されているので、チェックして問題がないことを確認したい。

 新婚カップルに向けてアドバイスするなら、「イメージに流されず、夫婦のどちらかが、個人で頑張り過ぎて潰れてしまわない、そんな仕組みを作ることが大切」だ。マンション購入を検討する際には、この5つのポイントを参考にしてほしい。

<取材・文/櫻田進ノ介(@kojiro_1975)>

【スムログやまちゃん】
マンション専門ブログ「スムログ」の「質問やお便りコーナー」で読者への相談に無料でのっている。某マンションディベロッパー新築営業を経た後、Web業界に転身。現在は国内最大のマンション購入者向け口コミサイト「マンションコミュニティ」を運営する ミクル株式会社に所属

【櫻田進ノ介】

文筆家、編集者80年代カルチャー研究家、育毛研究家、多国籍読書会主宰、コンテンツ企画販売中。Twitterは@kojiro_1975