NHKでは、8月13日(火)~16日(金)の4夜連続で「夏の夜の朗読音楽会♪」(夜10:05-10:55、NHKラジオ第1)を放送する。

【写真を見る】貫地谷しほり「接吻」の音楽を奏でるバイオリニスト・NAOTO

「夏の夜の朗読音楽会♪」は、上質な楽器の調べにのせて、人気女優が心に響く素敵な「文学作品」を朗読する番組。4人の女優が日替わりで朗読を担当し、4人の音楽家が物語と女優の朗読に合わせて選んだ楽曲を自ら編曲、あるいは楽曲を制作して演奏する。放送される音楽は、全て彼らの生演奏だ。

チェロ、ピアノ、バイオリン、アルパと日替わりで異なる楽器をセレクト。チェリスト・柏木広樹、ピアニスト・清塚信也、バイオリニスト・NAOTO、アルパ奏者・上松美香が、文学作品の朗読をさらに上質に演出する。

なお、番組のオープニングは、クラシック楽曲で人気の高い「カノン」が飾る。

朗読を担当する女優は、常盤貴子、木村多江、貫地谷しほり上白石萌音。いずれもドキュメンタリーや美術番組、人間ドキュメントでナレーションを幾度も担当し、やわらかい語りで番組に魅力を与えてきた顔ぶれだ。

常盤貴子が担当するのは、有島武郎「一房の葡萄」。絵を描くことが好きな主人公「僕」が犯してしまう過ちと、それを許す人々のかかわりを描いた短編だ。

木村多江 は、「日本のアンデルセン」と呼ばれた小川未明の「月夜とめがね」。美しい静かな夜の風景の描写を、ことばで表現する。

貫地谷しほりは、江戸川乱歩「接吻」。夫の居ない家で一枚の写真に接吻していた若い妻と、その様子を目撃してしまった夫のお話。夫婦の会話が面白い。

上白石萌音は、太宰治「女生徒」。ファンの若い女性から届いた日記を基にした小説。14歳の女子生徒が、ある一日の中で感じた思い、心の揺れをイキイキと朗読する。

放送日と、女優/音楽家/小説/音楽の組み合わせは以下の通り。

8月13日(火) 常盤貴子 with チェリスト:柏木広樹「一房の葡萄/有島武郎」

カタルー二ャ民謡「鳥の歌」(パブロ・カザルス 編曲)、柏木広樹作曲「2011」(アルバム『musicasa』収録曲)、作曲者不詳「アメイジング・グレイス」(柏木広樹編曲)

8月14日(水) 上白石萌音 with ピアニスト:清塚信也「女生徒/太宰治

清塚信也作曲「薔薇のワルツ」(書き下ろし)、清塚信也作曲「夕靄(ゆうもや)」(書き下ろし)、シューマン作曲「トロイメライ

8月15日(木) 貫地谷しほり with バイオリニスト:NAOTO「接吻/江戸川乱歩

NAOTO作曲「Spamogettie」(アルバム『Sanctuary』収録曲)、クライスラー作曲「愛の悲しみ」、桑田佳祐作曲「涙のキッス

8月16日(金) 木村多江 with アルパ奏者:上松美香「月夜とめがね/小川未明」

ショパン作曲「ノクターン第2番」、ドヴォルザーク作曲「歌劇『ルサルカ』から『月に寄せる歌』」、ドビュッシー 作曲「月の光」、バッハ作曲「G線上のアリア

■ 女優陣のコメントを紹介

常盤貴子:最初に読んだ時には「とても綺麗な物語だなぁ」と感じただけだったのですが、何度も声を出して読んでいるうちに、いろんなものが立体的に浮かんできて、登場人物の思いが込み上げてきました。

木村多江:とても柔らかな優しい文体で、月や花の景色が浮かび、光をふわっと感じるような空気感を読み取ることができました。その月の下の風や花、虫の声が聞こえるように表現できたらいいなぁと思って朗読しました。

貫地谷しほり:ことばの言い回しが難しく、独特なリズムがあり、声に出して読むとより難しかったです。男と女の関係を面白く描いたミステリー小説。ちょっと滑稽なところもあります。夫と妻の会話は朗読しながら楽しめました。

上白石萌音:等身大かと思えば達観していたり、多感な時期だからこそのにおいがするほどの文章。感じたことがあるけど言葉にできなかったことを文字にしてあって、すごくうれしくもなりました。こんな風に大切に感受性豊かに生きたいと思いました。

■ 音楽収録のエピソードを紹介

番組制作スタッフが教えてくれた、演奏家たちの音楽収録時のエピソードや、楽曲に込めた思いも紹介しよう。

【柏木広樹エピソード】「カノン」「アメイジング・グレイス」は、4重レコーディングをしました。旋律・ベースなど4パート、柏木さんが全てのパートを弾いて、ミックスした力作。チェロの音が、よりダイナミックに広がり、他では聞けない貴重な演奏です。じっくりお聴きください。

【清塚信也エピソード】太宰治「女生徒」の文章に、「薔薇のワルツ」が聞こえてくる場面があります。「薔薇のワルツ」をイメージして、清塚さんが、書き下ろしてくださいました。「夕靄(ゆうもや)」も、この番組のために作曲。音楽から、とても素敵な風景が浮かび上がります。タイトルは、上白石萌音さんが命名しました。

NAOTOエピソード】クラシックだけでは無く、J‐POPやロック音楽も愛するNAOTOさん。番組のラストは、江戸川乱歩「接吻」に合わせて、サザンオールスタース「涙のキッス」をクラシックアレンジで演奏。物語内では、バイオリン超絶技巧演奏が場面を盛り上げます。サスペンス風のBGMや、弦を駆使してのSE音も、NAOTOさんのアイデアです。

【上松美香エピソード】「月夜とめがね」に合わせて、物語の中の演奏曲は、全て「月」をイメージしたクラシックです。木村多江さんの柔らかい語りと、アルパのエレがンな演奏で、とてもロマンチック。通常、アルパではクラシックの楽曲は演奏しませんが、番組のために上松さんが全て編曲して演奏してくださいました。(ザテレビジョン

上白石萌音「女生徒」の音楽を奏でるピアニスト・清塚信也