田中圭吉田鋼太郎林遣都が作品への"愛”を語る

【写真を見る】田中圭&吉田鋼太郎&林遣都。写真撮影中の息ぴったりな3人

多くの人が期待を寄せる「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」(8月23日(金)公開)。連続ドラマで見事な"三角関係”を演じ切った田中圭(春田創一役)、林遣都(牧凌太役)、吉田鋼太郎(黒澤武蔵役)の3人が集結したのは、クランクアップ当日のこと。

林「ついさっき、眞島(秀和/武川政宗役)さんをはじめとする天空不動産のメンバーがクランクアップしたんです。そのときに、いよいよ終わるんだなと感じて、すごく寂しくなりました」

田中「とても寂しいです! ここに来る前もみんなで撮影していたのですが、これで最後なんだなと思ったら、芝居どころじゃないくらいセンチメンタルな気持ちになりました」

吉田「連続ドラマとは違い、短期間に集中して撮っていたので、これで良かったのかな? みたいな反省点がきのうあたりから出てきまして…。撮っている間は1シーン1シーン、やれる限りのことはやっているつもりなんですけど、いざ終わりが見えてくると、もっとこうすれば良かったんじゃないかみたいなことがたくさん浮かんできたんです。

本当、終わるのがもったいないというか。もう一回やりたいというような気持ちになっています(笑)。でも、これはあくまでも僕個人の感想。2人はないよね?」

田中「むしろ、鋼太郎さんにそういう感覚があることにビックリしました(笑)」

■ 圧倒的に大きいのは、スタッフも含めた信頼感

およそ1年ぶりとなる今回の撮影について、「順調に進んでいる」と話す3人。現場の様子も、今まで以上に結束が増していたという。

田中「すごくうれしかったのが、劇場版から参加の志尊(淳/山田正義(ジャスティス)役)くんが『この現場って、すごいですね。全シーン、みんなで戦っている感じがします』と言ってくれて。

"おっさんずラブ”の現場って、僕らも『帰ってきた』みたいな気持ちを持っているのですが、それが何か、具体的なことは考えたこともありませんでした。だから、志尊くんがそう言ってくれたときに、そんなふうに映っているのならうれしいと思いました」

吉田「現場がそういう雰囲気になっているのも、やっぱり圭の存在が大きいと思う。圭は基本的に僕らが何をやっても受けてくれて、さらに面白くしてくれる。だからこそ、みんないろいろできるんだと思います」

林「僕も今回、撮影が始まってすぐに、あらためてそう感じました。連続ドラマのときは、どことなく圭くんに対して"芝居をぶつける”感覚があったのですが、劇場版では最初から信頼を置いています。現場は違ってもいいからいろいろ試してみようという理想的な現場でした」

吉田「おっさんずラブって、せりふを読むだけだと、ちゃんとリアリティーのあるシーンになるかな?と思うこともあれば、ちょっと間違えるとヘンな方向に行っちゃう可能性もあって、さじ加減が難しいんです。

そうならないためには、できる限り真剣に、命懸けでやる。一見、楽しそうに映るかもしれないけど、実はものすごく真剣で。そんなふうに僕らがかなり真剣に投げた直球を、圭がうまく受けてくれるんです。そのときに何か一つ、面白みというか、物の哀れみたいなものが出てくるんだと思います」

田中「そんなこと言ったら、鋼太郎さんと遣都も、何をしてくるか分かりません(笑)。なので、どのシーンも、いい意味で緊張感があります。ただ、やっぱり圧倒的に大きいなと思うのは、キャストだけでなくスタッフたちも含めた信頼感。

撮影中も、監督やプロデューサーをはじめ全員が全員、モニターを見ながら『何かやれ! 何かやれ!』って言ってるんです。そんな現場、なかなかないです(笑)。それは本当、この現場が信頼関係で成り立っている証拠だと思います」

また、林は次のようにも言う。

林「牧を演じるにあたって、当初は切なさみたいなものを意識していたんです。でも、鋼太郎さんを見ていると、笑えるシーンやめちゃくちゃなことをする場面も、全てその根底に、誰よりも春田さんのことが好きっていう気持ちがあって…。だから笑えたり、感動したり、心が動いたりするんだなって。

そういうお芝居を目の前で見せていただいているので、僕もその気持ちを素直に…」

吉田「(田中に向かって、こっそり)遣都の声、ちっちゃいな(笑)」

田中「ですね(笑)」

林「(やや声を張って)僕もその気持ちを一番に持っていれば、間違えることはないと思いました」

田中&吉田「(爆笑)」

■ 田中「同じ組、同じキャストで全く違うことをしてみたい。それが今の僕の夢です」

それぞれが"芝居合戦”をする中で、あらためて感じた尊敬する部分はどういったところなのだろう。

吉田「遣都とは今までたくさん共演しているんですけど、毎回異なるキャラクターにもかかわらず、きっちり演じ分けていて。その姿を見て思うのが、遣都は憑依型俳優だということ。

僕自身も割とそういうタイプなんですけど、例えば怒るシーンなんかだと、感情が入り過ぎて物を壊しちゃったりして(苦笑)。こういう俳優さんは僕の周りでは少ない方なので、ぜひこのまま続けていっていただきたいですね。

そして、圭に関して言えば、演技がうまいとか、色気があるとか、人柄がいいとか、そういう出尽くしたことは、ここでは置いておきます。やっぱり圭も最近珍しい俳優で、古い言い方をすると"役者バカ”。

しかも、圭の場合は、演じている姿を見てすごいなと思うのはもちろん、見終わった後もずっと心の中に残ってる。撮影が終わって家に帰っても、時々圭のことを思い出すんです。で、あんなに役者バカでこれからどうするんだろうなぁなんて思って、ちょっと泣けてきたりもして。他人事ながらそんなふうに思うのは圭くらいじゃないかな。本当に稀有(けう)な人ですね」

田中「こんなふうにおっしゃってくださってますけど、鋼太郎さんも大概ですから(笑)」

吉田「そんなことないんだよ(笑)」

田中「僕から見た2人は、とにかく一緒にお芝居をしていてすごくワクワクできる役者さんです。普段はカットがかかってもモニターチェックに行かないタイプなのですが、2人と一緒だと見に行きたくなるし、自分がいないシーンでも、どんなふうに演じているのかなってすごく気になります。

実際、後から2人のシーンを見ても、爆笑しちゃいますから。ヤラれた〜! とも思いますし。鋼太郎さんはやっぱり憧れの存在ですし、遣都は確かな技術と感性と表現力が素晴らしくて。僕にとっては、常に刺激を与えてくれる存在です」

林「僕にとって鋼太郎さんは偉大な役者さんです。毎回得るものばかりで…。でも、今回は特にコメディー部分に感動しました。

黒澤部長のせりふって、字面で読むとハチャメチャだったりするのに、鋼太郎さんが演じると、ただ面白いだけじゃなくて、何か深いものがあって、さらにその奥に笑いがあるみたいな感覚にさせられるんです。

僕は"おっさんずラブ”のコメディー要素がすごく好きなんですけど、鋼太郎さんにはその神髄を見せていただいているように感じます。

圭くんは…今回の撮影で部長と牧がけんかをするシーンがあって、リハーサルで鋼太郎さんが(連続ドラマでの)『はるぽん(春田)のいいところを10個言えるのかよ!』ってせりふを再び言ったんです(笑)。もしかしたら本番でも言われるかもしれないと思い、そこからすぐに考えたんですけど…」

田中&吉田「(笑)」

林「そのとき、圭くんのいいところが絶対春田さんにもつながるなと思って、一番最初に出てきたのが、愛情深いこと。それから、うそをつかないことでした。キャストとスタッフみんなを愛して、みんなから愛されていて。本当にいい背中を見させていただいていると思います」

まさに相思相愛の中で製作している本作の撮了を目前に控えた今、田中にはこんな夢があるという。

田中「僕は本当、この現場をすごくいいチームだと思っています。それは、僕ら3人だけでなく、スタッフも含めたチームとして。

今僕らは"おっさんずラブ”という作品でこうなっていますが、たとえ作品のテイストがガラリと変わっても、きっと勝負できるだろうと思っています。だから、いつか同じ組、同じキャストで、全く違うことをしてみたい。それが今の僕の夢です」(ザテレビジョン・取材・文=片貝久美子)

8月23日(金)公開「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」に出演する田中圭、吉田鋼太郎、林遣都のSPインタビュー!