お家騒動が長期化している吉本興業だが、今や騒動収束に向けてのキーマンのような存在になってしまったのがダウンタウンの松本人志だ。

 松本の本業といえば、お笑いであることは周知の事実だが、一時期、手を広げていた映画の監督業は、今や吉本内ですっかり“黒歴史”になってしまったというのだ。

 「なぜ松本が監督業に手を広げたかというと、ビートたけしが本名の北野武監督として海外でも評価される存在になったことに憧れたから。お笑いと監督業の“二刀流”を目指したんです」(テレビ局関係者)

 07年に公開された松本の初監督作品が「大日本人」。松本扮(ふん)する変身ヒーローの日常や戦いをドキュメンタリー風に描いた作品で、吉本の映画製作進出第1弾作品。注目度も高く、興行収入は11.6億円を記録した。

 それですっかり味をしめたのか、09年に監督第2弾作品「しんぼる」を世に送り出したのだが…。

 「松本演じる主人公が閉じ込められた密室の中で脱出を試みるストーリーだったが、かなりシュールで観客がついていけなかった。興収は4.7億円と惨敗だった」(映画業界関係者)

 11年には演技未経験の一般人・野見隆明を主演に抜てきし「さや侍」を公開したが興収は6.3億円。そして、13年には大森南朋を主演に起用し、SMを題材にしたリアルファンタジーエンタテインメント「R100」が公開されたが、興収は2億円と爆死してしまったのだ。

 「『大日本人』以外は赤字を垂れ流しただけで、さすがに松本も懲りたようだ。以降、松本の前で映画事業の話はタブーに。とはいえ、映画で成功していれば、ますます鼻高々になり“暴走”していたはず」(芸能記者)

 松本でも難しかった監督業。北野監督は“二刀流”をこなせる唯一無二の存在だったようだ。

ダウンタウン・松本人志