ジェズスのゴールがオフサイド判定で取り消し、PKのやり直しも発生

 マンチェスター・シティは現地時間10日に行われたプレミアリーグ開幕節のウェストハム戦で、イングランド代表FWラヒーム・スターリングハットトリックなどで相手を圧倒して5-0で勝利した。大量得点で快勝を収めたなか、今季から正式導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入によりシティの得点がオフサイドの判定となった場面もあった。“VAR賛成派”のジョゼップ・グアルディオラ監督は、「私の願いはVARが間違いを犯さないこと」と新システムについて言及したと、英紙「デイリー・ミラー」が報じている。

 シティは前半25分にブラジル代表FWガブリエル・ジェズスのゴールで先制。後半6分にベルギー代表MFケビンデ・ブライネのスルーパスからスターリングが追加点を挙げるなど、順調にゴールを重ねていった。さらに、スターリングが2得点を追加し、途中出場のアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロもPKで得点を挙げ、結果的に5-0とワンサイドゲームでシティは開幕戦に勝利した。

 その一方で、今季から導入されたVARが目立つ試合にもなった。後半10分にはジェズスがゴールネットを揺らしたが、VARによってアシストをしたスターリングがボールを受けた時にオフサイドだったことが明らかとなり、ウェストハムの間接FKに判定は変更された。その後、後半30分にスターリングが決めた得点もオフサイドの疑いからVARによる映像確認があったが、この得点の場面ではオンサイドポジションの判定となりゴールは認められた。

 また、後半39分にアグエロがPKを蹴ったが、ウェストハムGKウカシュ・ファビアンスキにセーブされて失敗となった。しかし、VARによって確認された映像でアグエロがボールを蹴る前に、ウェストハムMFデクラン・ライスらが先にペナルティーエリア内に進入したと判定されて、PKのやり直しとなった。

 すでにワールドカップなどの国際大会ではVARはお馴染みとなっているが、いまだに賛否両論の議論は絶えない。以前からVAR導入に肯定的だったグアルディオラ監督は、試合後の会見で「集中し続ける必要がある」とVARによる影響を危惧しつつも、「良い教訓になるだろう」との見解を述べている。

昨季CLでは悲劇的な経験も…「精神的に強くなければならない」

「(昨季のUEFAチャンピオンズリーグ/CL)準々決勝のトットナム戦、我々が95分に得点をした時にも起きた。6万人のファンが喜び、跳ねて踊り回った。でも、1秒後に我々はすべてを失った。それがオフサイドだと分かったからね。今はその時と同じ状況だ。その情熱は、今となってはコントロールできる感情となっている。VARが我々の側ではなかった時、精神的に強くなければならない。将来に向けて良い教訓になるだろう」

 昨季のCL準々決勝でトットナムと対戦したシティは、第2戦の試合終了間際にスターリングがゴールを決めたが、VARによりオフサイドとなった。これにより2戦合計スコアが4-4となって、アウェーゴール差で敗退が決まる悔しさを味わっていた。VARによって感情的な影響があると告げたグアルディオラ監督は、その判定にミスがないことを願っている。

「私の唯一の願いはVARがミスを犯さないことだけだ。VARがミスを犯し、それが頻繁に起きてしまうことが気がかりで、レフェリーが判定を下すにはより良いことだが、我々は常に受け入れなければならない」

 今季から導入されたVARは、開幕戦から注目を浴びることになった。激しい肉弾戦が繰り広げられるプレミアリーグでは、VARが介入してくるシーンを目にすることが多くなりそうだ。(Football ZONE web編集部)

VARへの見解を語ったグアルディオラ監督【写真:Getty Images】