「どっちに行ってくれてもいいんだけど」そんな風に私が高みの見物をしていたのは月曜日、週末の間はクラブ同士の仲の良さや向こうはGKの補強をしたがっているという事情から、ケイロル・ナバスを付録にできるレアル・マドリー入りに傾いていたネイマールの移籍先の噂が一変。PSG弁護士がカンプ・ノウを訪れるところを目撃されたことから、バルサ入り濃厚に変わっているのに気がついた時のことでした。いやあ、折しも先週末はどのチームもプレシーズン最後の試合を実施。その結果からすると、どうしたってネイマールが必要なのはジダン監督のチームのような気がするんですけどね。

かといって、公私に奔放な彼の入団をマドリーファンが熱望している訳ではないんですが、何せ最後の親善試合、マドリーは昨季セリエAの6位だったローマにも勝ちきれず。その脇で、チーム合流初日にふくらはぎを負傷したメッシアメリカツアーに参加していなかったにも関わらず、バルサルイス・スアレスの2発とグリーズマンの移籍後初ゴール、そしてデンベレの一発でセリエA2位のナポリに0-4と大勝しているとなれば、ネイマールなんていなくったって、全然、困らないじゃないですか。

そんなことはともかく、たまたまなんでしょうが、マドリッドの4チーム中、3チームイタリア勢と対戦した先週末、開幕戦に期待を持たせてくれたのは日曜午後10時(日本時間翌午前5時)から、ワンダメトロポリターノでの兄弟分ダービーで激突するアトレティコとヘタフェ。ええ、プレシーズンマッチフィナーレではそれぞれ、セリエA1位のユベントス、4位のアタランタと対戦したんですが、どちらも見事に勝利を飾ることに。

先にキックオフしたのは先輩格のアトレティコで、ストックホルム近郊にあるフレンズアレナでは開始10分、木曜朝のマハダオンダ(マドリッド近郊)でのセットプレー守備特訓には参加していなかったGKオブラクが、CKからキエッリーニの撃ったシュートparadon(パラドン/スーパーセーブ)するなど、4年連続サモラ(リーガで失点率が一番低いGKに与えられる賞)の貫禄を示してくれたんですが、いやいや。いるんですよ、今季のアトレティコにはもう1人、煌めく才能を持った選手が。

それはもちろん、敵エリア内で混戦になった末、最後に放ったシュートをDFに当ててしまったコケではなく、24分、トリピアーが上げたクロスを流し込んだジョアン・フェリックス。どうやら、「He comenzado en la derecha, pero después cambié con Lemar para jugar de delantero/エ・コメンサードー・エン・ラ・デレッチャ、ペロ・デスプエス・カンビエ・コン・レマル・パラ・フガール・デ・デランテーロ(右サイドスタートしたけど、それからFWとしてプレーするため、レマルと位置を変わった)」(ジョアン)というのが功を奏したか、いきなりゴール前に現れてゴールを決めているんですから、ビックリしたの何のって。

もっとも相手は天下のユーベ、攻勢をかけられ、自陣エリア付近での戦いを強いられた彼らは29分、なかなかクリアできなかったボールをケディラに撃ち込まれてしまうことに。これで同点にされてしまったんですが、大丈夫。その4分後には再びジョアンの才能がほとばしり、今度はレマルのロングパスを地面に落ちる前にシュートして、勝ち越し点を奪ったとなれば、いや、こんな選手、本当にアトレティコなんかにいていい?

うーん、シメオネ監督によると、彼の長所はその学ぶ姿勢にあって、「El talento es innato, pero las ganas de aprender son el camino mas corto que un jugador tiene para rendir/エル・タレントー・エス・インナートー、ペロ・ラス・ガナス・デ・アプレンデール・ソン・エル・カミーノ・マス・コルト・ケ・ウン・フガドール・ティエネ・パラ・レンディール(才能は天賦のものだが、学びたいという意欲が選手のパフォーマンスを高めるのには一番の近道)」だそうですけどね。まだたったの19歳にここまでサラッとゴールを決められてしまうと、その日、同じピッチに立っていたポルトガル代表の大先輩、34歳のクリスチアーノ・ロナウドなど、世代交代の波をひしひしと感じしまったかも。

そして後半はドグラス・コスタやラビオの一撃がゴールポストに嫌われたのも幸いし、更に途中から出てきたディバラの3度に渡る強烈なシュートもまずトマスを入れ、次はジエゴ・コスタ、コレアを含む6人、21分過ぎには残り3人のフィールドプレーヤーも交代させていたシメオネ監督でしたが、GKオブラクだけは残したのが当たりましたねえ。見事に防ぎきったため、そのまま2-1で昨季のCL16強対決逆転敗退のミニリベンジを果たしたアトレティコでしたが、コリセウム・アルフォンソ・ペレスに行くため、残り10分程を見られなかった私が後で知ったのはコスタがロスタイムにサポンジッチと交代していたこと。

いえ、親善試合にも関わらず、途中、ユベントスの選手と揉めていたシーンもあったため、最初はせっかく、インターナショナルチャンピオンズ・カップ(夏の国際親善大会)2試合目のマドリーダービーでの退場による出場停止を取り消してもらいながら、またレッドカードをもらっては叶わないというシメオネ監督の気遣いかと思ったんですけどね。実は内転筋に痛みがあり、負傷の危険を避けたというのが記者会見で判明。どちらにしろ、リーガ1節は昨季のバルサ戦での暴言により課された8試合の出場停止処分の最後に当たり、出られないコスタですからいいんですが、モラタもまだパッとしないため、この先、彼からはゴール以外の話題はあまり聞きたくないかと。

そして今回はホームでの新チームプレゼン試合として、全スタンドを解放してアタラタン戦に挑んだヘタフェでしたが、客の入りが悪かったのはご愛敬。一応、相手はCLグループリーグ出場チームとはいえ、スペインでの知名度はそれ程ないため、仕方ないんですが、惜しいところでCL出場をバレンシアに奪われ、今季はELに参加するヘタフェの開幕戦準備は着々と進んでいたようです。ええ、アトレティコの攻撃力を警戒したか、ボルダラス監督はプレシーズンでずっと続けていた昨季、エイバルでは左SBとして名を上げたククレジャを前に、後ろにはラウールカルネーロというダブルSB体制の左サイドに加え、右側も前にダミアン、後ろにニヨムのSB重ねという用心深い布陣を採用。

すると前半10分、ククレジャのラストパスからアランバリが決めて先制することができただけでなく、後半は途中出場したばかりの選手、ファジルのFKからベルガラが18分に、更にファジルのCKからオリベイラが38分に共にヘッドで追加点を挙げたとなれば、まさにこれぞ、セットプレーもバッチリ練習できているという証明に他ならない?おまけロスタイムにもエリック・ガジェゴのパスからアンヘルゴールを挙げ、敵にはムリエルにPKでの1点を許しただけで、4-1で大勝したとなれば、まだ30代FWカルテット最年少、30歳のマタにシュート精度が戻らないのはちょっと気がかりなものの、今季こそ、兄貴分と対等に戦える?

いやまあ、それでもアトレティコの方が強そうではあるんですけどね。ちなみにコレアの移籍が決まれば、ハメス・ロドリゲス(マドリー)なり、この月曜に急速に浮上してきたロドリゴ(バレンシア)なり、6000万ユーロ(約72億円)級のアタッカーを獲るかもしれないという彼らに対して、あと2人程、補強したいヘタフェなんですが、こちらも出の方はイグナシ・ミケールやロベール・イバニェスの移籍話が進んでいるものの、まだしばらく時間はかかりそう。どちらにしろ、この日曜の対戦では両チーム共、この最後の親善試合で先発したメンバーがリピートする可能性が強そうです。

そうそう、丁度、この土曜にはお隣のレガネスでもブタルケで1時間早く、アルバセテ(2部)を迎えての新チームプレゼンゲームが行われていて、この日は後半、ブライトワイテ、サビン・メリーノ、アルナイスゴールを挙げ、終盤に1点を返されたものの、3-1で勝利。1部の相手はリーグ・アンのアミアンだけでしたが、プレシーズン7試合を5勝2分けの無敗で終えたのは大きな自信になるかと。土曜の開幕戦も丁度、3年ぶりに1部に復帰したオサスナとあって、このレベルを維持できれば、白星スタートも見込めそうですが、何せ、連続ホーム開催となる2節目には兄貴分がブタルケにやって来ますからね。

そのアトレティコが、昨季、不調が続いた折りにペレグリーノ監督が採用して以来、成績が上がったという、レガネスの5人DF体制が苦手なのは秘密でも何でもないんですが、いやあ、それをお隣さんまで始めたのを見るのはかなり違和感がなきにしろあらず。そう、先週水曜のレッドブル・ザルツブルク戦で味をしめたか、今回、セルヒオ・ラモスがケガでお留守番となったため、日曜のスタディオ・オリンピコで再び、ジダン監督はナチョ、バラン、ミリタオでCFトリオを編成。

まあ、確かに彼もあとで「No jugamos con cinco defensores, son tres defensas y dos carrileros que juegan altos/ノー・フガモス・コン・シンコ・デフェンソーレス、ソン・トレス・デフェンサス・イ・ドス・カリレーロス・ケ・フエガン・アルトス(5人DF制ではなく、3人のDFと前線でプレーする2人のSBだ)」と言っていた通り、前半15分、モドリッチのスルーパスを受けて先制点を決めたのはマルセロでしたが、やはりローマレッドブルとは違います。序盤にもジェコがゴールバー直撃のシュートを撃っていたり、ペロッティの一打をGKクルトワが弾かなければならなかったりと冷や冷やさせられていたところ、とうとう33分、ザニオロがカセミロを振り切って右サイドをドリブル。最後はペロッティにパスを出すと、そのシュートが決まって、同点にされてしまうんですから、やっぱりDFは数が多ければいいってもんじゃない?

いやあ、38分にもマドリーはマルセロのクロスをカセミロがヘッドで決めて、再びリードしたんですけどね。その2分後にはウンデルのスルーパスからジェコが1点を返し、試合は2-2でハーフタイムに入ることに。おかげで後半はナチョとバルベルデを下げ、ビニシウスとヨビッチを投入。4人DFに戻しただけでなく、FW4人体制という、これまた極端に攻撃的な布陣に変わった彼らだったんですが、最後は直近2回の遠征に招集されず、完全に放出要員と見られていたベイルまで入れて、勝利を求めたものの…2-2のまま、試合は終了。その後のPK戦では5人全員が決めたローマに対し、GKパウ(ベテイスから移籍)を前に最後のキッカー、マルセロがPKをバーに当ててしまったため、5-4で負けてしまいましたっけ。

まあ、PK戦による勝敗はともかく、これでプレシーズンマッチ7試合を2勝2分け3敗で終えたマドリーはその間、14得点19失点。明らかにもっとゴールを入れるか、失点を減らさないと、常勝チームには戻れないんじゃないかと思うんですが、すでにミリタオとメンディを獲っているため、この先、DFの補強予定はなし。となると、やっぱりネイマールが必要かって話になっちゃうんですが、こればっかりはねえ。

一時期、ベイルやハメスに対して素っ気ない答えをしていたジダン監督も昨季、ゴールが決まらなくて白星が稼げず、早々に解任されてしまったロペテギ監督(今季はセビージャ)を見ているせいでしょうか。「2人は選手登録されているし、この先、どんなことでも起こりうるが、レアル・マドリーの監督として、cuento con ellos al cien por cien/ケントー・コン・エジョス・アル・シエン・ポル・シエン(彼らを100%当てにしている)」と試合後、言っていましたしね。ただ、どうもこのまま、この土曜のセルタ戦から始まるシーズンに突入すると、エル・パイス(スペインの一般紙)で読んだ、中国行きもイングランド復帰も叶わなかったベイルはこのまま待って、シーズン中に監督が交代することに賭けているというのもあながち、ウソには聞こえない?

まあ、そんなことはともかく、最後に気になる久保建英選手について、報告しておくと、いやあ、世間は水曜のアルコルコン戦に続いて、RMカスティージャのテネリフェ(2部)との親善試合に出ると言われていたんですけどね。何故か、試合当日の土曜の午前中、母親らしき女性の運転でバルベバス(バラハス空港の近く)入り。ロドリゴと共にトップチームで練習している姿がビデオに映っていると思いきや、当然ながら、テネリフェ(カナリア諸島)に移動したラウール監督のチームには帯同せず、その試合も3-2で負けていましたが、もっと不思議なのはそれなら何故、日曜午前中にローマに向かったトップチームにも呼ばれなかったのか。

うーん、一足先にバジャドリーへのレンタル移籍が決まりそうなGKルニンも遠征には参加しませんでしたしね。もしかしたら、久保選手がいなかったのも同じ理由なのかもしれませんが、さて。とりあえず、カスティージャは水曜にクルトゥラル・レオネサ(2部B)と、日曜にもブルゴス(2部B)との親善試合が残っているため、それまでにレンタルが決まらない場合、そちらでプレーするんじゃないかと思いますが…カスティージャは招集リストとか、監督談話とか、メディアに出る情報も本当に少ないため、私もバジャドリーに行ってくれた方が嬉しい気がします。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファンワイン生ハムチーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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