お盆のシーズンに増えるレジャー中の事故。今年も、子どもを含む水の事故の犠牲者が全国で相次いでいる。館山市の海岸でライフセーバーを務める男性は「この時期は遊泳禁止になっている場所で泳ぐ人も多い。ライフガードがいない海は絶対入水しない方がいい」と訴える。

 また、山での事故も発生している。警察庁データによると、平成以降全国の山岳での遭難者数は増え続け、去年は3129人と過去最悪を更新した。水難救助の場合、海上保安庁や日本水難救済会が担当し、基本的には無償となっているが、山岳救助の場合、埼玉県が昨年1月から防災ヘリの費用を請求するようになっており、民間のヘリなら1時間で50万円以上(特定の山域では5分5000円の場合もあるという)、救助隊員1人についても1日あたり3万~5万円前後の費用がかかるという。

 そこで事故が報じられる度に登場するのが、"自己責任"というフレーズだ。ネット上には「登山も海水浴も釣りも海外旅行も自己責任からしっかり準備して、行くなってとこには行くなよってだけなんだけど」「遊びじゃん。趣味じゃん。誰も頼んで無い。必要性もない。なんで税金を使って助ける必要が?」「迷惑な登山客はお断り。登山は基本自己責任。過保護すぎますよ」といった意見が飛び交う。

 13日放送のAbemaTVAbemaPrime』では、こうした"自己責任論"について議論した。

 学生時代、先輩がサーフィン中に水難事故に遭ったというテレビ朝日の三谷紬アナウンサーは「台風が上陸する前日、3人で海岸に行き、1人だけ別のところにいたので居なくなったことに気が付かなかった。本当に多くの人が探しに行ってくれたが、"台風上陸の前日に行くのは自己責任だ"と非難された。今思えば、確かに自己責任だったと思う。ただ、全く関係のない人が、渦中にいる人のことを考えずに"自己責任だ"と言い放つのはどうなのだろうとも感じた」と振り返る。

 災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は「サーフィンの場合、台風とは特殊な関係があって、ある程度の上級者になると、遠くに台風が来ている時に一番いい波を体験できるということがある。ただ、あえて行くという場合、リスクを低減できる準備や態度をもって海に向きわないといけない」とした上で、「結局、事故が起きた瞬間には原因ははっきりせず、あとになって管理責任の問題や、止むを得ない事情が発生していたのではないか、といったことが分かる場合もあるので、全てが自己責任というわけではない。特にサーフィンや釣りに関しては、ものすごく叩かれるが、結局、当事者とそうでない人の感覚に乖離もある」と話す。
 

 よしもと新喜劇の小籔千豊は「"世界一周に行く"と言って遭難し、助けてもらった人もいる。あれは冒険で、まさに危険を冒していたわけなので批判もされたが、だからといって放っておくということでもない。僕たちも何か起きたら助けてもらうが、まずは自分で自分のことは守らなければいけないし、"事故が起きたら自己責任だぞ"と念頭に置いて進むべきだと思う。もし"自己責任"という言葉が無くなったら、自分の子どもも台風直撃の日に海に行ってしまうと思う。"台風が来ているけれど、めちゃくちゃ気をつけていく"ということであれば、"気をつけて行きや"と言える。その辺りの微妙な心構えで腹が立つ・立たないの差が出てくると思う。やはり、"もしもの時"にはたくさんの人に迷惑をかけることになるし、税金だって使うことになるということを頭に入れていたかどうかだ」とコメントした。
 

 エッセイストの小島慶子氏は「何が起きるかを100%予測することはできない。私も万全の体制で、一点の曇りもない天気の中で出航し、直後に雷雨に見舞われた経験がある。慌てて浜に戻ってきたら、近くの建物に落雷した。自然とはそういうものだ」とした上で、"自己責任"論について次のように指摘した。

 「"自己責任だ"と言うことでバカなことをする人が減らせる"抑止力"になると思っているのかもしれないが、遊泳禁止の場所で泳いだ無謀な人だったとしても放置していいわけではないし、どんなバカな理由で事故に遭った人だとしても、人命は救助しないといけない。死んだりケガをしたりすることを望んでいたわけではないのに、"自己責任なんだから助けるのはおかしい"という考えはあまりにもひどい発想だ。そういって憂さ晴らしをしたいだけではないかと思うし、助けてもらうことを恥ずかしいと言ってしまえば、助けられた人が"あいつは人に迷惑をかけた奴だ"となってしまう。"自己責任"という言葉は他人を責めるためにあるのではなく、自分を守るためにある言葉だ。誰かを責めたり、"こんなやつに同情する価値はない"と非難したりするための言葉ではない」。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「最近、山や海についての楽しいところばかりがメディアでフィーチャーされているように思う。その裏側にあるリスクをちゃんと伝えなければいけない。また、批判して問い詰めるのではなく、教訓とするためにはどういうコミュニケーションが必要かということを、批判する側の人にも知ってほしい」と指摘。ノンフィクション作家の石井光太氏は「"誰の責任か"という議論がそもそもナンセンスだ。集団心理の問題、環境・社会の問題、などが積み重なって事故が起きることもあると思うし、本人が想定していた以上の何かが起きることもある。それなのに、僕たちは原因を一つにまとめたがるし、そこに対して文句を言いたがる。"自己責任"はその最たるものだと思うし、防ぐためには何をしないといけないのかという必要な議論しないでいるのは非常にナンセンスだと思う。取材で事故のご遺族に会ったこともあるが、皆さんに共通するのは"止められなかった""自分のせいだ"と思っている点。残された人は深い傷を負って、立ち直るのもすごく大変だ。だからこそ防ぐためにはどうしないといけないのかを皆で考えないといけない」とした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 

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