異例づくしの中、大盛況のうちに幕を閉じた「コミックマーケット96」(C96)。

【コミケでの大コケから2年…VRアイドル「えのぐ」の岩本町芸能社が語る未来の画像・動画をすべて見る】

客足も落ち着きを見せる4日目の企業ブースが展開される青海展示棟に、どうしても取材をしたいとあるブースがあった。

それは岩本町芸能社。現在、5人組VRアイドルグループ・えのぐなどを運営するチームだ。

というのも、えのぐのマネージャー・丸茂さんのTwitterに2年前の夏コミを振り返る呟きを見つけたからだった。



そう、岩本町芸能社といえば2年前の夏コミに初参加。「コミケ開催期間中にTwitterのフォロワー1万人突破したらデビュー」を目指し、そして見事に大爆死を遂げたことで大きな話題を集めていた。

あれから2年が経った今、スタートと同じ夏コミで彼らは何を思うのか。取材に訪れた我々をブースで待ち受けていたのは、なんとも異様な光景だった……。

2年前の夏、何が起きたのか?

KAI-YOUでは当時も、丸茂さんに取材をさせていただいた。



「大爆死」と前述したが、フォロワー1万人の目標に対して、実際に期間中に集まった人数は400人だったことを思えば大げさな表現ではない。

特に大きく注目を集める決め手となったのは、目標達成が絶望的になったコミケ初日の深夜、Twitterでのやりとりだった。

なんと、公式アカウントの中の人が、VRアイドルのマネージャー個人のアカウントに対して今回の失態について説明を求め、マネージャーは困惑しながらも経緯を語るという珍事が起きたことだった。一体何を見せられているのか、Twitterは騒然としたのは言うまでもない。

当然運営としての不備に指摘が集まる一方、その段階で早くもVRアプリ「cluster.」と連動した試みとして注目を集めたことも事実で、「このまま終わってしまうのはもったいない」という声も集まり、その翌月「9月中にTwitterのフォロワー1万人を条件にしたデビュー」を目指して再スタート。

無事に1万人を達成しデビュー。その後規模を拡大させ、グループとしてえのぐも発足し現在に至る。

岩本町芸能社、謎の設営の意図とは……?

初の4日間、初の2拠点開催となった今回の夏コミ。4日目ともなると多くの一般参加者は同人ブースの集まる西・南展示棟へ流れ、企業ブースのある青海展示棟は身動きが取れないということもなく、冷房の効いた空調と合わせて快適な環境となっていた。



各企業ブースの立派な設営、賑わいの中でバーチャルYouTuber(VTuber)関連もしっかりと存在感をアピールしており、業界の盛り上がりを感じさせる。



しかし目当てとしていた岩本町芸能社のブースがなかなか見つからない。それもそのはず。配置図とサークル番号を確認し改めて訪れた彼らのブースは、想定していたものとは全く違う雰囲気を醸し出していた。



なんとも手作り感のある設営に、謎の自転車お遊戯会のような緩い飾りと筋骨隆々の男性が自転車を漕ぐ姿とが、真っ向からぶつかり合っている







一体、どうしてこんなことになってしまったのか。話によると今回の設営は岩本町芸能社に所属する俳優・馬越健太郎さんのプロデュースによるものらしい。自転車は接続された扇風機の発電を担っており、暑い中やってきた一般参加者に涼んでもらおうというコンセプトだ。自転車を漕ぐ男性が笑顔で答えてくれた。



馬越さんは2017年末、えのぐの生放送に何の前触れもなく登場し、その後は独特なセンスとトークスキルを武器に人気を集めている。なお下半身は馬。今回の設営も彼のセンスが存分に発揮された結果のようだ。




えのぐのマネージャー・丸茂さんによると「毎日ブースのレイアウトを変えるだとか、ただ物販するだけではない工夫をするようにした」とのことだった。



確かにえのぐの公式Twitterを見ると、取材時にはなかった自転車の走行距離が更新されていた。毎日の来場者やSNSで情報を確認するファンが「明日はどうなるんだろう」と思わせるイベントにするという意図が感じられる。

大爆死からの2年とこれから

大爆死という逆境からの2年間。丸茂さんは「2年前は右も左も分からない状態。バーチャルタレントも今のように沢山いるわけではない新たなジャンル」だったと振り返る。



VRアイドルグループとして活動するえのぐは他のVTuberとは方針・アウトプットが異なる中で「新しいことへのチャレンジをし続けたこと」と「そこにいただいた、ファンの方や周りを取り巻く方々からのご意見」が成長につながったと語る。

えのぐの活動で他のVTuberと異なる点といえば、特に活動の当初から地方の巡業に力を入れているところが特徴的だ。「4月から仙台・札幌・金沢と東日本、先月から愛知・大阪と南下している」行脚の中でえのぐを知ったファンも今回のコミケに参加していたようだ。




「YouTubeでの多数への発信だけでは届かないものがある。実際に赴いて一人ひとりに対して伝えるのは地道だが、続けていればブースまで来てくれるような熱量を持って応援してくれるファンにつながる」という実感を得られたとのこと。

今後の活動については「リアルに赴いておこなうイベントとバーチャルライブイベントの両輪がうまく回るようになれば」と語っていただいた。



8月23日(金)にはスマートフォンアプリ「INSPIX LIVE」のリリース記念ライブが予定されているえのぐ。スマートフォンアプリでの開催ということで、彼女たちのライブパフォーマンスをより身近に楽しむ手段としてうってつけのライブとなるだろう。



“怒涛”と言う他ない、夏コミ4日間
コミケでの大コケから2年…VRアイドル「えのぐ」の岩本町芸能社が語る未来