コロプラの役職者を含む社員2人が取引先に対し、自社のゲームアプリ「最果てのバベル」内でアイテムを購入するよう不適切な依頼をした問題について、第三者を含む特別調査委員会が8月13日に調査報告書を公表した。「App Store」のセールスランキングを操作して注目度を高めるため、同社マーケティング本部の本部長(以下「A氏」)とその部下(以下「B氏」)が主導していたという。

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 A氏は2016年ごろに「海外系の他社が“課金ブースト”(自社負担によるランキング操作)を恒常的に行っている」とのうわさを耳にして以来、試す機会を探っており、新作の不調が続く中で同タイトルヒットさせるために実行に踏み切ったという。調査では、過去に同様の取引は確認できなかったとしている。

●購入額は未払い、これから調整へ

 この問題では、取引先がコロプラからの依頼を受け、6月13日ゲームアイテムを850万円相当購入した。購入額はコロプラが負担する予定だが、取引先は請求書を送付しておらず、8月14日現在もコロプラは支払いを終えていないという。同社のIR担当者は、支払いの時期について「これから取引先と調整を行う予定」と回答した。

取締役が辞任、社長らは減給

 A・B両氏がこの取引を計画していたことは、同タイトルプロデューサーである森先一哲取締役COO(最高執行責任者)も事前に知っていた可能性が高いという。森先氏はこの問題の責任を取り、13日付で取締役を辞任した。

 コロプラは当事者の2人を懲戒処分とした他、馬場功淳社長と長谷部取締役CSO(最高戦略責任者)の月額報酬の10%を3カ月間減給すると発表した。

●食事の席で依頼 発注の名目は「攻略サイトの立ち上げ」

 報告書によると、A・B両氏が有料アイテムの購入を依頼したのは、Web広告が本業の企業。17年にコロプラが広告業務を発注して以来、2年弱にわたって付き合いがあったという。A氏はこの企業の役職者(以下「C氏」)と親しく、19年2~3月ごろに食事の席で「コロプラの新作が連続してヒットしていない」「(『最果てのバベル』で)アイテムを購入してほしい」などと依頼し、C氏は前向きな返事をしたという。

 これを踏まえ、C氏とその同僚(以下「D氏」)は3月ごろから、情報を漏らさないと思われる社員を自社から8人選び、両氏を含む計10人をアイテム購入の実行役に決めるなどの準備を進めた。

 4月にはC氏・D氏がコロプラを訪れ、A氏・B氏と打ち合わせを実施。iPhoneを700~1000台使用し、周囲にあやしまれないように1台当たりの購入額を分散させ、実際のユーザーの動きに似せることなども決めた。

 詳細が固まったため、B氏は5月、C・D両氏にメールで発注書を送信した。発注の名目は「攻略サイトの立ち上げ依頼」だったという。

 この際、取引を主導したA氏は「『攻略支援のための協力費』として取引先に購入代金を支払うのであれば明確な問題は生じないが、社内外に口外できる施策ではない」と考えていたとしている。

●149台のiPhoneを使用

 その後も準備を進める中で、大量のiPhoneレンタル業者から借りるのが難しいことが分かったため、実行役の10人は自身の端末を含む149台を使うことを決め、6月11~13日に「最果てのバベル」をダウンロードした。

 10人が“課金”をしたのは13日午後2時ごろからで、同日中に約850万円分のアイテムを購入した。この際、コロプラのB氏からは「発覚を防ぐため、課金するだけでなくゲームも進めてほしい」といった依頼もあったという。こうした取引の結果、同タイトルのセールスランキングは「一定程度押し上げられた」としている。

 しかし18日に、A氏・B氏が不適切な取引を行ったという匿名の情報提供がコロプラに寄せられた。これを受けた同社はA氏・B氏にヒアリングを実施。両氏が事実を認めたため、20日から自宅謹慎処分とし、21日に不適切取引があった旨を適時開示した。

●広告宣伝の外部発注は「社内稟議なし」でOKだった

 報告書では、コロプラがこのような取引を阻止できなかった背景について、「コロプラでは広告宣伝業務の社外への発注は特例となっており、社内稟議を経なくても上長1人が承認すれば実行できる状況だった」と指摘。今回のケースでは、A氏がB氏に発注を指示し、B氏は「A氏が承認した」という前提で取引を進めたとしている。

 コロプラでは通常、社員が広告宣伝業務を外部に発注する際は、関係者が参加するメーリングリストなどをメールのCC欄に入れ、一定のチェック機能を持たせていたという。だが今回の取引では、B氏はA氏のアドレスのみをCC欄に入れたため、第三者が確認できなかったとしている。

●稟議手続きを見直しへ コロプラは「信頼回復に努める」

 特別調査委は一連の経緯を踏まえ、不適切取引が起きた要因を(1)コロプラの稟議プロセスが脆弱(ぜいじゃく)であること、(2)広告宣伝費の使い道が担当外の社員から見えづらかったこと、(3)CC欄に関係者を入れるプロセスが無視され、けん制機能が働かなかったこと――だと結論付けている。

 同委はコロプラに対し、(1)コンプライアンス順守の重要性を全社に共有すること、(2)社員にコンプライアンス教育を施すこと、(3)稟議手続きを見直すこと、(4)内部監査室・担当取締役などによるモニタリングを強化すること――などの再発防止策を採るよう求めている。

 コロプラは「株主の皆さまをはじめ、関係者各位に多大なご心配をおかけしたことを深くおわびする」と謝罪。今後は「全社一丸となって信頼の回復に努める」としている。

コロプラのゲームアプリ「最果てのバベル」