妊娠中や授乳中のアルコール摂取は胎児や乳児にとって影響を及ぼすと言われる。ニュージーランドで2017年に生後2か月の乳児が死亡したが、その母親はアルコールを浴びるほど飲んだ後にもかかわらず母乳を与えていたことが明らかになった。『NZ Herald』『The Sun』などが伝えている。

ニュージーランドのアヒパラで2017年に生後2か月の乳児が死亡した件について、今月9日に検視官のデブラ・ベル氏(Debra Bell)が報告書を公表した。その内容によると、亡くなったサファイアローズ・モエンガローア・ウィリアムズちゃん(Sapphire Rose Moengaroa Williams)の血中アルコール濃度が100ミリリットルの血液に対して308ミリグラムのアルコールが検出されたという。ちなみにニュージーランドの飲酒運転の法定基準は、血中アルコール濃度が100ミリリットル中50ミリグラムとのことだが、サファイアちゃんはその6倍もの数値だった。

サファイアちゃんは母親のジャニス・トゥア(Janice Tua)が妊娠33週の時に帝王切開で出産し、双子の姉妹ハニーちゃん(Honey)と共に低出生体重児だった。7人の子供がいたジャニスと双子の父親であるジョーウィリアムズさんはホームレスで、家が見つかるまでアヒパラの家族のもとで生活していた。

ジャニスは当時、サファイアちゃんとハニーちゃんに3~4時間置きに母乳もしくは粉ミルクを与えていた。そして悲劇は2017年1月2日に起こった。午前1時頃にお腹が空いたサファイアちゃんが泣き出したため、ジャニスは粉ミルクをお湯に溶かして冷めるのを待っていた。

その時ぐずったサファイアちゃんに、ジャニスは少しだけ母乳を与えた。すると今度はサファイアちゃんと同じベッドに寝ていたハニーちゃんが目を覚まし、サファイアちゃんをベッドに寝かせてハニーちゃんを抱いてあやしていた。

そしてジャニスがベビーベッドに戻ると、サファイアちゃんは鼻血を出してグッタリとしていた。ジャニスに起こされたジョーさんは反応がないサファイアちゃんを床に移動させ、心肺蘇生を施したという。その後、ジョーさんの家族が救急車を呼んだもののサファイアちゃんが目覚めることは無かった。

サファイアちゃんの検死を行った病理学者のサイモン・ステーブルズ博士(Dr Simon Stables)は当時、「心臓から高濃度のアルコールが検出されたが、肝臓の数値はそれほど高くはなかったようだ。また胃の中からもアルコールが検出されていない。血中アルコール濃度が高かったのは母乳が原因である可能性が高い」と示唆していた。

さらに今回の報告書により、ジャニスサファイアちゃん死亡の前日に従弟の家でバーボンのコーラ割りを18缶飲んでいたことが明らかとなった。検視官のベル氏は次のように語っている。

「残念ながら亡くなった乳児の母親は大量のアルコールを飲む選択をし、そのまま乳児に母乳を飲ませるという行動に出ました。」

ジャニス本人もサファイアちゃんの血中から検出されたアルコールが母乳から摂取したものだと認めています。母親の行動が死の要因のひとつだったことが、今回の報告書の重要なポイントとなります。子供は母親の母乳を通してアルコールを摂取することがあるのです。」

しかしながらサファイアちゃんの決定的な死因は断定されておらず、報告書によると急性アルコール中毒、危険な睡眠環境、敗血症、窒息死などが考えられるとしている。

画像は『NZ Herald 2019年8月9日付「Coroner: Breastfeeding mothers should not consume alcohol, after baby dies with high alcohol level in blood」(Photo/ File)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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