HAPAにケリィが戻ってきた

 ビルボードライブが届けるハワイ音楽の定番といえば、メンバーのマラニ・ビリュー急逝にもかかわらず6月に来日してくれたカラパナと、新作『Beautiful Day』をリリースしたばかりの3人の歌姫グループ、ナ・レオだろう。そして今、新たなラインナップが加わろうとしている。ハワイスーパーギタリスト、バリー・フラナガン率いるデュオグループ、HAPA(ハパ)の公演が決定したのだ。しかも、オリジナルメンバーでの来日だ。そう、ヴォーカルにケリィ・カネアリィが戻ってきた。

 長年の下積み演奏を続けてきたマウイのロコボーイ、そんな二人がデビューしたのが1993年ハワイのグラミー賞であるナ・ホク賞をほぼ総ナメにして、ハワイ音楽界の寵児となった。次作も順調にリリースされ、日本に何度も来日した。でもバンドというのは難しい。二人が袂を分かったのは、デビューからほぼ10年後のこと。以降、彼らが交わることはなかった。バリーはHAPAの名を引き継ぎ、相棒が何人か入れ替わった。ケリィはカウアイ島に引っ込み、ソロ活動に専念した。そんな二人が再びタッグを組んだ。

 ポスト・ケリィのHAPAも素敵ではあったが、HAPAの名曲のほとんどはケリィ在籍時に生まれたものだ。「レイ・ピーカケ」「クウ・レイ・クウ・イポ」「ヘエイア」……そして、今なおフラダンサーにとってマスト音源の「カ・ウルヴェヒ・オ・ケ・カイ」。およそ15年の時を経て、今回はそれらをオリジナルの歌声で聴くことができる。バリー&ケリィの盟友であり、いつも一緒に来日していたマウイのチャンター、故チャールズ・カウプもリユニオンをきっと喜んでいるだろう。僕としては、二人によるニューアルバムを早くリリースしてほしいと願っている。ひょっとしたら、そんなニュースも届けてくれるかもしれない。このステージは本当に見逃せない。

ハワイの魔法にかかる夜

 ハワイには花やレイの歌が多い。それは、愛しい誰かのメタファーであったりする。香しい花のように素敵なあなたを、レイのようにいつまでも身につけていたい。共に踊られるフラは、そんな恋心をハンドモーションで表現する。彼女たちの歌声を聴いていると、そしてフラを見ていると、香りがステージに漂うような気がしてくるし、レイをかけられたような錯覚におちいる。そう、10月にナ・レオとアリアナ・セイユがビルボードライブに登場する。

 ナ・レオは今年で結成35周年だ。息の長い活動。そして、ため息がもれるほど美しいハーモニー。そのハーモニーに乗って舞うのが、ハワイを代表するフラダンサー、アリアナ。ナ・レオのレパートリーハワイの名曲「ワイキキ」がある。それはワイキキの魔法にかかった男の歌だ。この公演も、きっと彼女たちの魔法にかかる2日間。そんなマジカルな夜が再びやってくる。

TEXT:神保滋


◎公演情報
【HAPA】
ビルボードライブ東京
2019年8月20日(火)- 21日(水)
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30


【ナ・レオ featuring カウイ・デリレイ】
※当初予定しておりましたアリアナ・セイユ(ダンサー)の出演がキャンセルとなり、カウイ・デリレイ(ダンサー)に変更となりました。
ビルボードライブ東京
2019年10月9日(水)- 10日(木)
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30

ビルボードライブ大阪
2019年10月12日(土)
1stステージ 開場15:30 開演16:30
2ndステージ 開場18:30 開演19:30

<コラム>HAPA、ナ・レオ来日記念 ~HAPAの名曲とナ・レオのハーモニー。そんなマジカルな夜がやってくる。