シリーズでお送りしている“ラ・リーガ初挑戦の選手たち”。第3回は、今夏ドルトムントからレアル・ソシエダに完全移籍で加入したスウェーデン代表FWアレクサンデル・イサクを取り上げる。母国の偉大な先輩とも比較される同選手について、7つのトピックを紹介する。

◆■愛称は「キリン

イサクは1999年9月21日生まれの19歳。エリトリア出身の両親のもと、スウェーデンの都市ソルナで誕生した。最大の特徴は190センチの長身、そして長い首だ。その見た目から、スウェーデンでは「キリン」の愛称で親しまれているという。ただし、背が高いだけでなく、足元のテクニックにも優れていることから、同胞の先輩ズラタン・イブラヒモヴィッチと比較され、「黒いイブラ」と呼ばれることもある。

◆■105年ぶりに記録更新

イサクは地元の強豪AIKソルナで育つと、16歳でトップチームデビュー。2017年1月8日には、スウェーデンA代表デビューを飾った。その4日後、代表出場2試合目となったスロバキア戦で初ゴールをマーク。17歳113日での得点は同国史上最年少であり、実に105年ぶりの記録更新となった。

◆■オランダで覚醒

2017年1月、レアル・マドリードも獲得に乗り出すなか、ドルトムントへと移籍。2022年夏までという長期契約を結んだ。しかし、ドイツでは出番に恵まれず、今年1月にオランダヴィレムⅡへレンタル移籍。この決断が功を奏し、リーグ戦16試合に出場して13ゴールを記録。エールディヴィジの後半戦で最も多くのゴールを決めた選手となり、評価を高めた。

◆■PKだけでハットトリック

今春には、エールディヴィジ史上初となる偉業を成し遂げている。3月30日に行われたフォルトゥナ・シッタート戦で、44分と58分、61分に訪れたPKのチャンスをすべて成功。同リーグ史上初となる“PKだけでハットトリック”を達成した。日本では、2000年当時、ジュビロ磐田に所属した藤田俊哉氏が川崎フロンターレ相手にPKだけでハットトリックを達成している。

◆■今夏の大当たり

今回がスペイン初挑戦となるイサクだが、チームへの適応は順調のようだ。実戦デビューとなった地元クラブとの練習試合で初ゴールをマークすると、ミルウォール(イングランド2部)とのテストマッチでは2ゴールを記録。夏のプレシーズンだけで4得点を挙げる活躍を見せ、650万ユーロ(約7億8000万円)の移籍金は破格だったという意見も聞こえてくる。スペイン紙『マルカ』も、「レアル・ソシエダが引き当てた今夏の大当たり」と最大級の賛辞を送った。

◆■神童トリオを形成

レアル・ソシエダは今夏、エールディヴィジ経由でもう1人の神童を獲得している。それが、ノルウェー代表の史上最年少デビュー記録を持つマルティン・ウーデゴーアだ。2015年に16歳レアル・マドリード入りしたものの、期待されたような活躍を見せられず、過去2シーズンはオランダで武者修行。ただ、昨季はエールディヴィジで9得点12アシストと成長の跡を示した。同世代で、なおかつ過去のキャリアも似ているイサクとのコンビは要注目だろう。またレアル・ソシエダにはかつて“神童”と称されたアドナン・ヤヌザイも在籍しており、彼らが形成する攻撃トリオからは目が離せない。

◆■語学堪能

19歳にして、スウェーデンドイツオランダ、そしてスペインと欧州各国を渡り歩いているイサク。スウェーデン語、英語、ティグリニャ語(エリトリア公用語)、そしてドイツ語の4カ国語を操ることができ、現在はスペイン語を学んでいるという。さらに、レアル・ソシエダの本拠地であるサン・セバスティアンはバスク州にあることから、バスク語のマスターにも意欲を見せているようだ。

(記事/Footmedia)

[写真]=Getty Images