ホンダと今季からパートナーシップを結んでいるF1のレッドブルレーシンググループ内トレードを敢行した。F1参戦3年目のピエール・ガスリーフランス)を兄弟チームトロロッソに降格させ、交換で新人アレクサンダー・アルボン(タイ)をセカンドドライバーに起用した。

レッドブルからトロロッソへの移籍を告げられたピエール・ガスリー(左)。隣はマックス・フェルスタッペン(鶴田真也撮影)

何度も「血の入れ替え」をしてきたレッドブル陣営


 コンストラクター(製造者)部門でランキング首位のメルセデスチャンピオンシップを争うチームシーズン途中で所属ドライバーを交代させるのはギャンブルでもある。が、レッドブル陣営はここ数年、何度も大なたを振るってきた。

 例えば、2016年だ。当時レッドブルに所属したダニール・クビアト(ロシア)と、トロロッソでF1参戦2年目のシーズンを過ごしていたマックス・フェルスタッペンオランダ)をシーズン前半で電撃トレードさせた。荒っぽい走りをするクビアトの評判がすこぶる悪く、急成長中のフェルスタッペンをレッドブルレギュラーに抜てき。見事に移籍初戦となったスペインGPで史上最年少優勝を果たした。

 2017年にはシーズン後半に入ってルノーなどを巻き込んだトレードを仕掛け、トロロッソの両ドライバーを新顔にした。その時はカルロス・サインツスペイン)をルノーに放出し、後にダニール・クビアト(ロシア)からレギュラーシートを剝奪。ガスリーとブレンドン・ハートレーニュージーランド)の新人2人を次々とF1にデビューさせた。

レッドブルへの昇格を決めたタイ国籍のアレクサンダー・アルボン(鶴田真也撮影)

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故・星野仙一さんのトレードポリシー

 日本のプロ野球で名将として鳴らした故・星野仙一氏は、監督時代に大型トレードを仕掛けることで有名だった。ただし、やみくもにするのではない。「血の入れ替えは大事。トレードされた選手も相手チームに必要とされているのだから腐ってはいかん」とのポリシーの下で選手を送り出した。

 レッドブルのトレードもそれに近いのではないか。独誌アウトビルトによると、レッドブル首脳陣の1人で選手契約を統括するヘルムート・マルコ相談役は、ガスリーを古巣のトロロッソに戻したことについて「彼はトロロッソシートを与えられた。今後の戦いぶりを見た上で、誰が来季のフェルスタッペンの相棒になるかを決める」と話した。

 F1の場合は車体、エンジンパワーユニット)が各チームで異なるため選手の能力を比較するのが難しい。が、同じマシンを操るチーム内では走行データが記録されており、如実にその違いを把握することができる。ただし、車両の開発はエースドライバーの好みに委ねられることもあり、ドライビングのくせが正反対の場合、セカンドドライバーは苦戦しがちになる。

ガスリーはこのトレードで輝けるのか?

レッドブルの選手として最後のグランプリとなったハンガリーGPを走るガスリー(©Redbull Content Pool)

 ガスリーは決して遅いドライバーではない。日本のスーパーフォーミュラに参戦した時に取材をしたが、そのコースが初走行なのに、あっさりとライン取りやブレーキングのタイミングをあっさりとマスターし、コースを熟知しているはずの日本人ドライバーを凌駕するドライビングを何度も披露した。

 おそらくフェルスタッペンの天賦の才能が際立ちすぎて、ガスリーがくすんで見えてしまう。だからこそ、レッドブル首脳陣はガスリーをクビにせず、トロロッソセカンドチャンスを与えたのではないか。

 逆境をはね返して自ら名誉を挽回させる。これをショック療法を施したとみるのは、考えが甘すぎるか。

[文/東京中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

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故・星野仙一監督とF1・レッドブル、選手トレードに関する共通する考え方とは?