7/4日本原電東海第二発電所入り口付近
正面の交差点から左に入ると原電私有地となる。すでに19時を過ぎており、展示館は閉館のため入構しなかった

◆4月末に持ち込まれた無謀な計画
 去る参院選選挙期間中、人の居ないところばかり訪問する変な選挙カーがありました。スピーカーも載せていないヘンテコ選挙カーです。この車は、おしどりマコ氏の選挙カーで、ひたすら国内の原子力・核施設の周りに出現しました。

 この車の中の人は、私と、Aさんの二人で、行き先の設定と解説は私の役割ですが、走行距離の長いときには私も運転しました。

 この計画、四月末に横川圭希さんが提案してきたのですが、ただで全国の原子力・核施設を訪問できるなど最高なので、もちろん二つ返事で引き受けました。

 車の運行中は、ずっとツイキャスで実況中継を行うので、車内では何かしゃべっていれば良い、ポケモン談義を終日行っても構わない、原稿を書いていても良い、宿では自由なので原稿を書ける、行き先も内容も私にお任せ。お金要りません。こんなに美味しい話はありません。

 しかし、選挙公示日から投票日前日までの16泊17日で南大隅町から幌延町にまで広く分布する国内原子力・核施設・候補地を訪問するには航空機移動は必須でしょうし、航空機を使っても無理があります。そもそも選挙期間が定まらないのでいつ上京すれば良いかも直前まで分からない始末でした。

 かなり無茶な計画だなと一抹の不安がありました。

◆7/4参院選公示 いよいよ出発
 自公政権のサボタージュにより全く盛り上がらない国会が閉会し、衆参同日選挙にもならず、参院選公示日は7/4と決まりました。細かなことは何も決まらぬまま、私は7/3の松山空港発の航空券を渡され上京し、四谷のおしどりマコ選挙事務所に向かいました。

 翌7/4の正午新宿での出発式の予定は、悪天候などにより変更、遅延し、おしどりマコ選挙カー二号(通称:コロラド号)は、3時間近い遅れで四谷を出発しました。運転は、もっぱらAさんによるもので、私はコパイロット(副運転士)として、Aさんが疲れたときのみの予備です。どうも「へこみデミオ」のインパクトがあまりにも強く、レンタカーを「へこみレンタカー」にされては困るようです。ですから私の運転区間は、高速道路限定となりました。

 16泊17日のツイキャスによる実況は、現在も録画が公開されており、リンク先はこちらにまとめてあります。

“コロラド先生と相原さんの #全国原発キャラバン #原発どうでしょう #おしどりマコ・ケン 関連まとめ一覧(2019.7.6作成・7.20更新完) – Togetter”

7/4四谷三栄町 おしどり選挙事務所前にて出発前記念撮影

◆早速、重大インシデント発生
 3時間近い遅れで出発したコロラド号ですが、常磐道に入った時点で早速重大インシデント発生です。謎の大型リュックが車内に放置されていました。まさか爆弾!?

 いえ、オフィスおしどりの若い衆が、これから17日間戻ってこないコロラド号の中に私物のリュックを置き忘れてしまっていたのです。金目のものは入っていませんが、ないと困るとのこと、早急に返送するために高速道路を降りる羽目になりました。嗚呼、更に1時間の遅延で合計4時間の大遅延です。先が思いやられます。

 金目のものは、いただいておこうと思ったのですが、心優しいAさんは手つかずで返送してしまいました。

7/4大洗にて不審なリュックサックを発見、四谷に返送するAさんGoPro画像より)

◆第一日目7/4大洗後学センター東海村原研、原電東海第二発電所
 第一日目は、JAEA大洗研究所(旧動燃大洗工学センター)、JAEA東海村、原電東海第二発電所を経て、いわき市にて宿泊です。

7/4 JAEA(日本原子力研究機構)大洗研究所(GoPro画像より)
左がJMTR(材料試験炉)、中央左がHTTR(高温工学試験研究炉)、右は民間のゴルフコース。研究所は、周りをサツマイモ畑、落花生畑、集落、ゴルフ場、海水浴場に囲まれている

 15時までに到着予定の大洗工学センターでしたが、到着したのはすでに18時。あまりも遅くなってしまい、日没間近です。ここには、JMTR、HTTR、FBR実験炉常陽という日本の原子力開発を支えてきた研究用原子炉がありますが、すべて福島核災害による新基準適合がまだで、休止中です。とくに最も重要なJMTRは、廃止が決まっており、日本の原子力開発にとって大きな損失となっています。いくら炉心構造体や原子炉構造体の中性子照射シミュレーション技術があるにしても、実際に照射実験を行うJMTR無しで今後どうやって行くのか、私には理解できません。

 時間が遅くなったので大洗工学センターを離れ、東海村に移りましたが、もう19時で日没時です。原電東海第二発電所は、珍しく入り口の検問所が通りに面していません。検問所が公道に面しているのは、日本の原子力・核施設に共通に見られる核物質防護(核防)上の重大な欠陥です。これは福島核災害が起きるまで対テロール上重要な検問所を外部から隔離することを怠ってきた日本に多く見られる問題ですが、伊方、島根、女川、原電東海第二などの一部の例外を除いて共通に見られる事です。

 原電については毀誉褒貶著しいですが、少なくとも原子力企業としては当たり前のことを怠っていないと私は考えています。

 しかしJAEA東海村研究所群と原電東海第二に共通する問題は、集落が隣接してしまっていることと、30km圏内の人口が100万人前後ときわめて多いということです。当然ですが、原子力・核防災にとって住民がいつからそこに居住しているかは完全に無関係です。そこに人が住んでいることが防災計画を策定する最重要の条件なのです。

 研究所は、元々広大な国有林である松林を研究所用地として使っているのですが、せっかくの敷地の奥行きを活用せずに国道や民家との緩衝地帯がありません。核防上の欠陥であるだけでなく、とくに先日建屋内のプルトニウム汚染という重大インシデントを起こした旧動燃の核燃料サイクル施設群は、病院や民家、旅館などの居住区と隣接し、更に東電の火力発電所とも隣接しているという、近年までの核防上、核防災上の意識の欠如を感じずには居られません。

◆運用41年を経て、立地不適格な原電東海第二
 原電東海第二は、いろいろ努力はしているのですが、運開から41年を経て、民家は近隣に迫り、30km圏内に100万人の人口を抱えるという、原子力・核防再計画の立案と実施が不可能な環境となってしまい、立地不適格と考えるほかありません。

 仮に、多重防護の第四層までが機能して72時間程度の時間を稼げたと*想定しても、その72時間で100万人を避難させることは不可能と言うほかありません。どう考えても多重防護の第五層を整備することは不可能で、ショーラム原子力発電所(Shoreham Nuclear Power Plant)**よりも条件は遙かに悪いと考えるほかありません。

*これは甘い想定で、第二世代原子炉では、精々24時間から48時間程度しか時間稼ぎは出来ない。72時間とは第三世代プラス原子炉での時間稼ぎ時間。

**合衆国ニューヨークロングアイランドにLILCO(ロングアイランド電灯会社)が建設したBWR 820MWeであるが、全関係者参加避難訓練の実施が出来ず、操業開始することなく1$でニューヨーク州に売却、放棄された。建設期間は12年かかり、55億ドル(1989年当時の邦貨で1兆円前後)を要したが、完成後5年を経て、営業運転に入ることなく廃止となった。営業運転は行わなかったが、5%の低出力試運転を行っていたために施設は放射能汚染をしており、いまだに解体されず荒廃し、合衆国の廃墟愛好家にとっての聖地となっている。なお、建設費は現在もロングアイランド需要家の電気料金に上乗せされ、漸く半分が償還を終えたとされている。

7/4日本原電東海第二発電所入り口付近(GoPro画像より)
正面の交差点から左に入ると原電私有地となる。すでに19時を過ぎており、展示館は閉館時間後のため入構しなかった。

7/4 JAEA研究所正門(GoPro画像より)
こちらは大洗研究所と同じく正門検問所が公道に面しており丸見えとなっている。核防上好ましくない

◆先が思いやられるよ
 東海村をあとにしていわき市ホテルチェックインできたのは22時前でした。当然ですが原稿などとんでもない話で、翌朝8時発を目指して休養を取るしかありませんでした。

 4時間の遅延がなくても18時着と推測されますが、遅延がなければ取材を念入りに行いますので、おそらく20事着でしょう。

 どうも最初に聞いた話とかなり違う気がしてきました。先が思いやられるなと感じつつ、翌朝8時発を目指して休養しました。

 次回は、第二日目7/5(金) 福島核災害被災地を縦断し、仙台市から女川原子力発電所に向かい、石巻泊となります。

<取材・文・撮影/牧田寛>

【牧田寛】

Twitter ID:@BB45_Colorado
まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

7/4日本原電東海第二発電所入り口付近(GoPro画像より) 正面の交差点から左に入ると原電私有地となる。すでに19時を過ぎており、展示館は閉館時間後のため入構しなかった。