ソフトボール競技の東京五輪の「ビフォー・アフター」が懸念されている。

 来年夏の本番まで「あと1年」を切った。その名の通り、日本が舞台となるジャパンカップ国際女子大会(8月30日開幕)の前売り券の販売はイマイチ、絶対的エース・上野由岐子を欠きながらも準優勝を勝ち取った7月のインターナショナルカップでも、盛り上がらなかった。

「国内リーグ戦は閑古鳥が鳴いています。上野が投げる試合でも空席が目立っており、五輪後、国内リーグの存亡が取り沙汰されるかもしれません」(体育協会詰め記者)

 今さらだが、野球・ソフトボール競技は東京五輪の追加種目に当選し、大舞台に復活した。「海外では競技者人口が少なくても、日本では一番人気」というのが国内の定説だった。しかし、それも通用しなくなってきた。

「五輪のソフト競技開場を視察した際、現地ホテルでのシンポジウムも開催されましたが(7月24日)、満員とはなりませんでした。五輪・パラリンピックの組織委員会理事でもある王貞治氏が同行しましたが…。五輪で金メダルを獲らなければ、国内のソフト離れは止まらないかも」(前出・体協詰め記者)

 競技者人口は減っていないそうだ。その影響だろう。「五輪後、日本のソフト選手たちが海外のクラブチームに引き抜かれる」との情報も駆けめぐっていた。

「アメリカを始め、ソフトボールの強い国はたくさんありますが、試合興行で大きな収益を上げているわけではありません。学校スポーツとして対抗戦をやっているので、卒業後に優秀な選手が集まって地域クラブのチームで活躍しています。アメリカは学校対抗のスポーツはどの競技も盛り上がるので、その延長で一定数以上の観客は確保できています」(特派記者)

 宇津木妙子元監督が現代表チームの試合会場を訪れ、静まったスタンドをみて驚いていたという。上野が連投して金メダルを獲った北京五輪当時と比較しての驚嘆だった。

 その上野の名前は、アメリカでも知れ渡っている。また、藤田倭などまだ伸びしろのある中堅選手も日本には少なくない。「東京五輪」で金メダルを獲り、“アフターの危機”を脱出できなければ、主力選手の「海外移籍」が一気に始まるだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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