日本の企業では終身雇用制度の維持が難しくなってきており、会社のために長年尽くしてきたとしても突然解雇を言い渡されるケースもあるというが、海外ではもっとシビアなようだ。このほどイギリスで、長年スーパーに勤務していた男性が万引き犯を追いかけたことで解雇され、それを苦にして自殺してしまった。『Metro』『The Sun』などが伝えている。

英ブラックプールで大手スーパーマーケット「テスコ」に17年間勤務していたショーンウィンスタンリーさん(Shaun Winstanley、49)が、店側から解雇された後に自ら命を絶ってしまった。

ショーンさんは優良従業員として表彰されたこともあり、ショーンさん自身もテスコに尽くしてきたようだ。ところがハイフィールド通りにあるテスコに勤務していた昨年5月頃、店に突然強盗がやってきてショーンさんは銃を向けられたという。

撃たれはしなかったもののショーンさんのショックは大きく精神的にも不安定になり、テスコ側から提供されたカウンセリングを5回ほど受けた。しかしその後、普段は自ら休みを取ることをしなかった彼が3回ほど無断欠勤したために処分を受けることもあった。

そしてショーンさんは別の店舗に移ったが、その店で今年1月2日万引き犯を目撃し追いかけようとした。するとこの行動に、店側は「自分自身と顧客を危険にさらした」という理由でショーンさんを解雇したのである。

テスコで長年働いてきたショーンさんにとって、解雇はとても受け入れ難いものがあった。ショーンさんと家族はテスコの判断に納得がいかず、テスコへ解雇を取り消してもらうように裁判所へと訴えた。しかしショーンさんの訴えは2月6日に却下されてしまった。

精神的な疲労が重なったのか、ショーンさんはその1週間後の13日に自宅で亡くなっているところを発見された。死因は窒息死だったという。

ショーンさんの継娘であるシボーン・ウィンスタンリーさん(Siobhan Winstanley、28)は、ショーンさんが死亡した件についてテスコに手紙を送ったが、「その問題は既に終了した」という返答があっただけだった。シボーンさんは父親を亡くしたやるせなさを次のように語っている。

「今も父のいた店に行けば、間違いなく父がそこにいるような感覚を覚えることでしょう。しかしもうそこにはいません。私はテスコに対して怒りを抑えられずにいます。私達は父の遺灰を壷に入れて、リビングルームに置いていますが、毎朝コーヒーを飲む時にその遺灰を見ながら、『もし状況が違っていたら父は死ななくてすんだかも…』と思うのです。」

「私達はテスコを裁判で訴えるべきだったのかもしれません。しかし彼らがすることは、せいぜい遺族への慰謝料を渡すことぐらいでしょう。私はお金なんていりません。ただ父に帰ってきて欲しいだけなのです。」

一方、テスコのスポークスマンは「我々の仲間である従業員の福祉と安全は、我々にとって最も重要なことです。ショーンさんの死について聞かされた時は非常に悲しい思いをしました。ただ残念なことに、我々は彼の個々の状況についてコメントすることはできません」と述べている。

画像は『Metro 2019年8月12日付「Tesco worker killed himself after being sacked for leaving till to chase shoplifter」(Picture: SWNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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