舞台「この音とまれ!」が、8月17日(土)に東京・新宿の全労済ホール/スペースゼロにて開幕。初演前日には久遠愛(くどお・ちか)役の財木琢磨、鳳月さとわ(ほおづき・さとわ)役の田中日奈子、倉田武蔵(くらた・たけぞう)役の古田一紀らメインキャスト7人が出席した記者会見と公開稽古が行われた。

【写真を見る】注目はキャストによる原作の人気楽曲“龍星群”の生演奏! 会場中に美しい箏の音色が響き渡った

主演の財木は「原作を読んだとき、“届ける”という言葉がすごく印象的でした。この言葉を大事にして、この舞台を皆さまに届けるという気持ちで最後まで駆け抜けていきたい」と、本番への意気込みを語る。

■ クライマックスで“龍星群”を生演奏

本作は、2019年4月にアニメ化もされた「ジャンプスクエア」(集英社)連載の人気漫画の舞台化作品。和楽器“箏(こと)”に情熱を注ぐ高校生たちの青春が描かれる。

物語クライマックスでは、アニメでも話題になった原作の人気合奏曲“龍星群”の生演奏が披露され、キャストたちはこの日のために、2019年2月から箏の稽古に励んできた。

ファンの注目が集まるこの生演奏だが、初めて箏に触れたときは、「できるのか?」(財木)という疑問しか出なかったという。

財木は「音は鳴らせてもそれが正解の音なのかも分からないし、実際の演奏映像は本当にすさまじく、『弾けるもんか!』という気持ちでした」と振り返り、田中に至っては、稽古開始30分で十七絃に変えられる(財木らは十三絃)スパルタぶりだったという。「もう動揺で。私は彼らを支えられる音を出せるのかとパニックになりました」と、当時の心境を明かした。

そんなゼロからのスタートの中、2人には原作通りにソロパートが待っている。

財木は「“音に気持ちを乗せる”というのが最初は全く分からなかったんですけど、芝居稽古をするようになってから、だんだんその感覚が分かってきた気がして。じいちゃんに語り掛けるような気持ちで弾いていきたい」と、作中、亡くなった祖父を思いながら弾く愛の心情に心を重ねていると話す。

一方の田中は、「私(さとわ)は孤独な、暗い面を主に表現する音程、リズムになるので、その気持ちを表現するように、深い海の中に沈み込むようなイメージで。後半は前向きな気持ちも表現するという難しい曲想なんですけど、音だけでなく、弾き方、佇まいでも出せるように頑張っています」と、演奏に込める思いを語った。

■ 箏生演奏と、そこに至るまでのドラマを

舞台の脚本は漫画原作者・アミューが監修し、キャストたちは生演奏に至るまでのドラマにも注目してほしいとアピール。

「生演奏の前の緊張感がすごくリアルで、お客さまも(時瀬高校の)生徒になった気持ちで最後まで見ていただきたい」(財木)、「その前の物語があっての生演奏。それがあっての緊張感。その後の物語へとすごくつながっています」(田中)と、それぞれドラマへの思いを言葉に乗せた。

舞台「この音とまれ!」は、8月17日(土)~25日(日)まで東京・渋谷の全労済ホール/スペース・ゼロにて12公演。

9月7日(土)、8日(日)には福岡・ももちパレスにて2公演、9月14日(土)、15日(日)には大阪・森ノ宮ピロティホールにて3公演が上演される。(ザテレビジョン・文・撮影:鈴木康道)

8月17日(土)に開幕した舞台「この音とまれ!」。主演の財木琢磨(前列左2番目)をはじめ、メインキャスト7人と、脚本・演出の伊勢直弘(前列右2番目)が登壇しての記者会見が行われた