recycle5_e

nikofendi/pixabay

 気候変動の影響を受ける中、これ以上の環境破壊を招かないようにと少しでも環境回復を目指す私たちは、日々の生活でできることは行っていこうと様々な環境保護活動を行っている。

 私たちの出すゴミが、環境に悪影響を与えることは誰もが知っていることであり、環境保護に重要かつ身近にできる取り組みのひとつとして、ペットボトルやアルミ缶のリサイクルが実施されて久しい。

 しかし果たして、ペットボトルとアルミ缶のどちらがより環境に悪いのだろうか。

―あわせて読みたい―

明日に役立つ便利なアイディア。20のリサイクル方法
ペットボトル問題の解決策。食べられるし何度も使える藻類でできたボトルを開発(アイスランド)
なぜドイツ人はリサイクルに積極的なのか?世界ナンバーワンのドイツのリサイクル率の理由を探る
世界初。中古品やリサイクル品だけしかないショッピングモールが誕生(スウェーデン)
ペットボトルの代わりに食べられる液状カプセル飲料がロンドン・マラソンのランナーに配布される試み(イギリス)

プロセスに大量の天然資源を必要とするペットボトルとアルミ缶

 今回、複数のサイトがこの問題について綴っているが、ペットボトルとアルミ缶の2つがどのように環境に影響を与えているかを知ることは、リサイクル活動の幅を広げることにも繋がる。そこで注目すべきなのが、両方を作成するプロセスだ。

 ペットボトルとアルミ缶を製造する資源やプロセスに関しては、実はその両方が「最悪」といえるようだ。なぜならば、どちらも製造のプロセスに多くの天然資源を必要とするからだ。

それぞれの原料がどのように環境に影響しているのか

 ペットボトルは、その名称の由来にもなっているが、石油由来のポリエチレンテレフタラート(PET)と呼ばれる樹脂が原料となっていて、これは再生不可能な資源だ。

recycle_e

Hans/pixabay

 地域の水や土地の生態系の破壊、そして油流出の脅威を考慮すると、石油の掘削は環境にはかなり悪いものといえる。

 また、フラッキングと呼ばれる水圧破砕法は、オイルを抽出するプロセスのひとつだが、大量の水を必要とし、気候変動を促す温室効果ガスのメタンを放出。つまり、ペットボトルの生産は、全体的に見てもかなり無駄なプロセスとなるのだ。

 一方で、アルミ缶の製造に重要な原料となるのは、ボーキサイトという鉱石で、この発掘もまた、生態系を破壊し、大気汚染や水質汚染を引き起こすだけでなく、鉱山労働者や地域住民に長期的な呼吸器の問題を含む健康被害をもたらす可能性があるとされている。

recycle3_e

Skitterphoto/pixabay

 米国では、アーカンソー州ジョージア州、アラバマ州の鉱山に少量のボーキサイト鉱石があるが、他国の環境への影響を考慮しながら、アルミニウムのニーズを外部委託しているという。

ペットボトルとアルミ缶のリサイクル率を比較

 では、各容器のリサイクル率はどうなのかというと、アルミ缶の方が優勢だ。

recycle4_e

GreenStar/pixabay

 ペットボトルは非常に薄い素材で作られているために、すぐに劣化する傾向にある。そのためリサイクルしても、再び新たなペットボトルを作ることは不可能となり、繊維にダウンサイクルされ、カーペットや衣類、寝袋などのアイテムに使用される。

 加えて、ペットボトルのリサイクル率は極めて低い。アメリカのサイト『Recycling Today』によると、2017年の全米におけるペットボトルのリサイクル率はわずか29.3%だったそうだ。

 一方、アルミ缶はその特性を失うことなく、再び簡単に缶にリサイクルできるため、リサイクル施設の観点から見てはるかに価値があると考えられている。

 アルミニウム協会によると、これまで製造されたアルミニウムの約75%が今日まで使用されているという。また、アルミ缶のリサイクル率はペットボトルよりも高く、2016年で約50%だったことが報告されている。

recycle cover1_e

annca/pixabay

大切なのは、消費者のリサイクル意識を高めること


 結果としていえば、ペットボトルとアルミ缶の両方が環境には良くない。

 しかし、どちらがより環境に悪いかとなると、何度も再利用でき、無限にリサイクルすることが可能なアルミ缶と比べても、同じものに再生ができないペットボトルといえるだろう。

 とはいえ、これはあくまでも消費者がアルミ缶をリサイクルし、メーカー側がこの材料を再利用することが条件である。

 大切なことは、環境保護のためにも、私たちは新しいアルミ缶の生産に依存すべきではないという意識を持ちながら、ペットボトルとアルミ缶の両方のリサイクルに力を入れることではないだろうか。

References:Aluminum Cans vs. Plastic Bottles: Which Is Worse for the Environment? | Mental Flossなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52278137.html
 

こちらもオススメ!

―料理・健康・暮らしについての記事―

カリフォルニア州で客がレストランにテイクアウト用容器を持ち込み可能にする法案が可決(アメリカ)
なにこれすごい!ラックの下に挟まった電源コードを、ラックを持ち上げずに簡単に外す方法【ライフハック】
6つの木から一番気になるものを選ぼう。あなたの人生を無意識に動かしている本来の性格がわかる心理テスト(占い)
「他人が自分をどう思うかなんて気にしなくてもいい」と思える社会の5つの事実
顧客混乱。狙いすぎて失敗した感のある料理の盛り付け例

―知るの紹介記事―

母親にスマホを没収された少女、ゲーム機を経てついにはスマート冷蔵庫からツイート!?(アメリカ)
思いがけない偶然の出会いから、永遠の親友同士になった地質学者と子猫の物語(アメリカ)
手術後の人体と糖分が大好き。病院で繁殖する恐怖の細菌が発見される(英研究)
成層圏に粒子を散布して地球温暖化を防ぐプロジェクトにビル・ゲイツが出資
カリフォルニア州で客がレストランにテイクアウト用容器を持ち込み可能にする法案が可決(アメリカ)
アルミ缶とペットボトル、どちらが環境に悪いの?