今後送りたい人生を考え、働き方を選ぶ必要があります

何気なく使っている「フリーター」という言葉の定義を答えられる方は、どの程度いるでしょうか。試しに以下の4人のうち、政府が定めるフリーターの定義に含まれるのは何番か考えてみてください。

1. 男性25歳・既婚・アルバイト
2. 女性25歳・既婚・アルバイト
3. 男性35歳・未婚・アルバイト
4. 女性35歳・未婚・アルバイト

総務省統計局によると、フリーターは「年齢が15~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうちで、パートアルバイトの者」と定義されています。つまり、正解は1番のみ。意外と知られていないのですが、女性既婚者と35歳以上はフリーターに含まれません。

2014年度では15~24歳のフリーターは73万人、25~34歳では106万人と報告されています。これは同年齢階級で7%程度を占め、14人に1人がフリーターという計算になります。(株式会社ジェイック常務取締役 近藤浩充)

正社員になると消えてしまう「3つの自由」

フリーターメリットとして真っ先に考えられるのが「時間にとらわれない自由な働き方」です。例えば土日祝日を中心に働き、レジャー施設が空いている平日に休むことでプライベートを謳歌することができます。

仕事内容としては「責任の小ささ」があります。フリーター不祥事等の責任を負うことが基本的にはない点が挙げられます。また、与えられた業務を指示通りに行うだけでよいことがほとんどです。

「嫌ならすぐ辞められる」というのも、フリーターの利点としてよく挙げられます。需要過多の現在はアルバイトの掛け持ちも容易でしょう。

その一方で、正社員として勤務することを考えると、フリーターメリットデメリットに変わります。働き方の自由、責任からの自由、いつでも辞められる自由という3つの自由はほぼありません。そのため、端的に言えば、自由で責任も軽く、嫌ならすぐ仕事を辞めたい20代にとって、フリーターは"気軽"なのです。

一人なら生きていける給与、自信のなさが正社員への就活を遠ざける

フリーターの給与も悪くはありません。東京の最低賃金は右肩上がりで1992年に600円、2010年800円を突破し、2018年には985円となっています。最低賃金審議会が発表した目安によると、2019年には初めて1000円を超えそうです。

厚生労働省の資料より筆者作成

都内のコンビニ求人を見てみると、深夜だと1500円になる場合もあります。仮に時給1200円で1日8時間、週5日働いた場合、月収は20万円程度と、新入社員と変わらない水準です。

つまり、20代フリーターが正社員になるのを躊躇するもう1つの理由に、フリーターでも生活を続けることができ、求人もいくらでもあるという経済状況が根底にあると考えられます。

しかし、フリーターは一生フリーターでいることを望んでいるわけではないのです。厚生労働省2018年度労働力調査によると、15歳~34歳の非正規雇用で勤めている537万人のうち、66万人が非正規雇用で勤める理由を、「正規の職員、従業員の仕事がないから」と答えています。正社員雇用を望むフリーターが一定数いることがわかります

実際、20~30代未経験者の就職支援をしている当社にも、フリーターから正社員を希望される方が多く訪れています。その際に、フリーターを続けてきた理由を聞くと、

「正社員として働く友人が辛そうで、踏み出す勇気を持てなかった」
フリーターを続けてきた理由を面接で聞かれても上手く答える自信がなかった」
アピールできるスキルがなく、就活を避け、年齢を重ねてしまった」

という声が出てきます。正社員になった方が良い、という想いが頭にありながらも、面接に通らない、ブラック企業に入社してしまうことが怖い、というような不安で動けだせない方が多いようです。

送りたい人生を手に入れるチャンスはまだある

そんな中でも、正社員就職を目指し就活を始めた方には、「結婚を考えているため、雇用形態も給料も安定させたい」「同級生が成長していく姿に焦りを感じた」というような理由があります。将来を考え直すタイミングや危機感を感じたタイミングが、就職に一歩踏み出す機会になるようです。

また当社を利用し採用活動を行う企業の方からは、「若い方が、様々な考え方を取り入れやすいため教育しやすい」、「入社後の人間関係に配慮せず採用しやすい」、と、なるべく若い方の採用を望む声もよく聞きます。年齢を重ねないうち、追い込まれる前に、正社員を目指し就職活動を始めるメリットは大いにあります。

一生フリーターとして生きるのも1つの働き方です。選択は個人の自由です。既に述べた通り、フリーターで生活していても新入社員程度の年収は得られます。しかし、正社員として新入社員で入った人はその後もスキルを身につけ、賃金をどんどん伸ばしていき、昇進や転職の機会に恵まれます。現在の日本の平均初婚・初産年齢の30歳前後になる頃には新入社員時代の年収の2倍近くになっている場合もあるでしょう。

だからこそ、自分自身が送りたい人生の理想像を考え、逆算して仕事を選ぶことが大切と言えます。もし、フリーターからの就職を諦めている方がいるのであれば、今のタイミングであれば、まだまだ可能性があります。自分の生き方に合わせた仕事とは何か?をぜひ考えてみてください。

筆者近影

【筆者プロフィール】近藤 浩充
株式会社ジェイック 常務取締役
大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。2012年よりジェイックの取締役となり、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨き、2015年に同社の常務取締役へ就任。『7つの習慣(R)』研修など、社員向け教育研修を提供する教育事業部の事業部長を経て、2019年現在はフリーターや第二新卒、大学中退者などの就職支援を行う「就職カレッジ(R)」等を展開するカレッジ事業本部の本部長と、マーケティング部門の責任者を担う。