働き改革による残業代減少を嘆く声

生活費を稼ぐために残業をする「生活残業」という言葉がある。2019年4月から始まった働き方改革だが、単純に残業時間を減らすだけでなく、賃金の引上げも行ってほしいという声も少なくない。キャリコネニュース読者から寄せられた、「働き方改革から受けた痛手エピソード」を紹介する。

営業職の20代男性の会社は、残業時間が月30時間までと決まっている。そのなかで外回りと内勤をこなすのだが、必然的に外回りの時間を削って内勤にあてなくてはならない。しかし上司から、「外に出ろ!」と言われるため、終わらない内勤業務を家に持ち帰るという。

「上司に『家でやっている』と言っても、笑っているだけです」

「以前のように、残った仕事をみんなで残業するほうがよっぽど良かった」

販売・サービス職でパート勤務の40代女性は、空回りする現況を語った。働き方改革でほとんどの人が定時で帰されるため、残った少数の人にすべての負担がかかっている。

「それでも社員からお疲れ様の労いもなく、『早く帰れ』という空気が漂います。会社の雰囲気が悪くなり、仕事を残すのも、残ってこなすのも辛いです」

それなのに、会社側に人員を増やす気配はない。女性は、

「短い時間で必死に仕事をこなしても、限度があります。以前の残った仕事をみんなで残業するほうがよっぽど良かったです」

と漏らした。

「昇給やボーナスに響く未来しか見えない。これは私たちを守る政策なのでしょうか?」

自動車部品製造会社に勤務する30代男性は、働き方改革の残業規制について、「生産性を20%向上しようなどと経営層は言い始めましたが、なんの投資もしないまま量産ラインの生産性が大きく上がるはずもない」と苦言を呈す。

「最終的には増員して3交代制などにしていくと思いますが、人件費が増えて経営を圧迫し、昇給やボーナスに響く未来しか見えない。これは私たちを守る政策なのでしょうか?」

と製造業従事者ならではの声を挙げた。

電気・電子・機械系技術職の30代男性の声も切実な問題だ。男性の基本給は10年間も上がらないなか、毎月40~60時間の残業でなんとか生活できていた。しかし、現在は毎月の残業時間が0~10時間に削減された。

「とてもじゃないが子供が2人いて生活できるレベルではない。残業に頼らない生活は、10年前の独身だったらまだしも、家庭を持った現在では無理。そもそも10年間基本給が上がらないのもどうかと思う。ベースアップができるような体制の働き方改革にしてほしい」

営業職の30代女性は、「入社したての子たちは、権利を盾に定時退社。そのツケは私たち、少し上の人たちが無言で尻拭い。もっと上の人たちは、辞められては困るし、建前は働き方改革だから、言うに言えず、結局あちこちで板挟み」と不満をこぼしている。

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