積極的な登用をしている企業からは、一定の効果が得られたという声も出ています

帝国データバンク8月15日「女性登用に関する企業の意識調査(2019)」の結果を発表した。調査は同社が実施している「景気動向調査」の7月度分と同時に行われた。対象になった全国2万3650社のうち、1万91社から回答を得た。

女性従業員割合は平均25.2%と、昨年より0.3ポイント上昇した。「30%以上」と回答した企業は3割を超え、比較可能な2014年以降で最も高くなった。女性従業員割合が1割に満たない企業は28%だった。

管理職に占める女性の割合は平均 7.7%で、過去最高を更新した。「30%以上」と答えた企業は7.1%で、昨年より0.3ポイント上昇している。しかし、「女性管理職がまったくいない」と答えた企業も46.7%と半数近い。格差是正には、さらなる取り組みが必要のようだ。

女性登用に積極的な企業「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」


女性管理職の平均割合を規模別にみると、「小規模企業」で10.6%、「中小企業」で8.2%、「大企業」で5.5%と、規模が小さいほど割合は高かった。業界別では、「小売」、「不動産」、「サービス業」で高く、「建設」、「運輸・倉庫」、「製造」などが低い傾向にあった。企業からは、

「女性の登用を行いたいが、中小企業は女性を管理者として育成する人的な余裕がないのが実態」(給排水・衛生設備工事、東京都
「重要と思うが、運輸業ではもう少し時間をかけて変えていくしかない」(一般貨物自動車運送、愛知県

といった意見がみられた。

社内外を問わず女性の活用・登用を進めている企業は50%。その効果については、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」(68%)が約7割と突出して高い。このほか、「多様な働き方が促進された」(28.4%)、「女性の労働観が変化してきた」(27.5%)が上位となった。

女性の活躍を促進するために重視する取り組みを聞くと、家庭での負担軽減に関する項目がトップ3を占めた。1位は「妊娠・出産・子育て支援の充実」(60.5%)で、2位は待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービスの充実」(59.0%)、3位は育休復帰支援などの「仕事と子育ての両立支援」(58.4%)が続いた。

同様の質問を行った 2015年7月調査でも同じ項目が上位にあがっている。企業は、家庭の負担軽減が女性の活躍促進にとって重要な項目と認識しているようだ。「働き方の改革」を挙げた企業は、2015年調査と比較して23.8ポイントも増加している。企業からは、「働き方改革で女性が活躍できる職場になったと思う」(不動産代理業・仲介、埼玉県)という声が出ていた。