空港保安検査員shironosov/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

空港のセキュリティチェックでは、搭乗者ができるだけ不快な思いをしないよう、丁寧な対応を心掛けてくれる検査官も多いものだ。だが、時にはこんな態度の悪い検査官も…。

■紙キレを渡された搭乗者

米国ニューヨーク州にあるグレーター・ロチェスター国際空港から、利用者が眉を吊り上げるような不快な話題が伝えられた。

セキュリティチェックにあたっていた米運輸保安局(Transportation Security Administration 以下TSA)の職員が今年6月、40代の男性搭乗者に対してあり得ない暴挙を働いたのだ。

金属探知機を通過した男性に折りたたんだ薄茶色の紙キレを渡し、それを読んだ男性が不快感を示すと、ヒステリックな笑い声をあげた職員。そこには「あんたってほんとブサイクね!」と書かれていた。

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■男性は当局に調査を依頼

男性は決してブサイクと悪口を叩かれるようなタイプではない。これにひどく傷つけられたということもないが、真剣であるべきセキュリティチェックの場で、係官がこんなふざけたことを職務中にするのはいかがなものか。

不快なメモを持ったままカンザスに飛んだ男性は、その後に当局に調査を依頼。監視カメラの映像を分析することで事実が確認され、黒人の女の検査官が解雇となった。

■国民から嫌われるTSA職員

アメリカにおいて「偉そうにふるまうが、不真面目で無礼な人間が多い」と何かと叩かれがちなTSAの職員。残念ながら悶着や事件も多々起きている。

・搭乗者が手荷物や貴重品をプラスチックケースに入れ、次々とX線検査のラインを通過するなか、手癖の悪い女の検査官がある搭乗者の超高級腕時計を盗んで逮捕される。(2015年8月 ニューヨークジョン・F・ケネディ国際空港で)

・脳機能障害があり、聴力と視力が片側しか機能せず、質問にスムーズに答えられなかった19歳の女性の障害者に検査官が腹を立て、恐怖から女性が逃げようとすると頭を掴み、床にねじ伏せて顔面を殴り、鼻血で血まみれにさせる。(2016年7月 テネシー州メンフィス国際空港で)

・感覚処理障害(SPD)という自閉症スペクトラムを抱えている男児について、検査官にしっかりと説明したにもかかわらず、性的虐待とも思えるほどの執拗なボディチェックが行われた。

母親はその動画を撮影してフェイスブックで怒りをあらわに。(2017年3月 テキサス州ダラス・フォートワース国際空港で)

もちろん、ほとんどの職員が真剣に職務にあたっていることも忘れてはなるまい。

■検査官の漫然としたストレスを指摘する向きも

検査官たちは、長い行列ができないよう「テキパキと早く流せ」と言われる一方で、上司からは「しっかりと荷物の中身や搭乗者の身体を検査しろ」と言われ、短気な搭乗者による不平不満にも悩まされている。

それゆえ、セキュリティチェックの現場で働くTSAの職員について、非常に強いストレスと漫然と闘っていると指摘する向きは多い。

身分の保証もあるTSAの職員が、敢えて失業につながるような愚行を働いてしまったこのたびの事件。ヒステリックな笑い声といい、強いストレスで彼女の精神がやられていたという可能性はなきにしもあらずだ。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

搭乗者に「あんたってホント…」 無礼すぎた空港保安検査員が解雇に