暑さは少し落ち着きましたが、気温は30度前後で推移し、湿度も高く、「熱中症」の危険は続いています。こうした熱中症を発症するのは、大人も子どもも関係ありませんが、特に幼児や児童は体調の変化を言葉にすることが難しく、常に大人が気にかけてあげる必要があります。しかし、小学校の登下校時は児童だけで帰宅することがあるなど、常時、大人が子どもを気にかけることが難しいのも事実です。

 子どもの熱中症にできるだけ早く気付くには、どのようにすればよいのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

基本的には大人同様の症状がある

Q.幼児や児童が熱中症になった場合、大人とは異なる症状が出るのでしょうか。

市原さん「基本的に大人と同様の症状が出ます。軽度の熱中症であれば、『元気がない』『ふらふらする』『汗を大量にかく』『頭痛』『吐く』などの症状が出ます。重度の熱中症であれば、意識をなくしたり、けいれんしたりすることもあります。

幼児や児童が熱中症になったときは、おなかを痛がることがあります。言葉をうまく伝えられない子どもは、吐き気の症状を言葉として伝えられないため、『おなかが痛い』と表現してしまうことがあります。一般的な熱中症の症状とは異なるので、熱中症であることを見落とす可能性があり、注意が必要です」

Q.幼児や児童が熱中症かもしれない場合、自分で周囲に異変を知らせることは可能でしょうか。

市原さん「まだ言葉をうまく話せない幼児は、自分の異変を伝えることは難しいでしょう。元気がなかったり、泣いたりしているなど、異変に周囲が気付く必要があります。児童であれば周囲に伝えることはできますが、先述のように、吐き気があることを『おなかが痛い』などと別の表現をすることも考えられるため、周囲の大人は子どもと十分に意思疎通を図って訴えの真意をくみ取る必要があります」

Q.親が異変に気付いた段階で重症化直前、という恐れもあります。何らかの意思表示を教えられないでしょうか。

市原さん「『おなかが痛かったら教えてね』など限られた表現なら可能かもしれませんが、幼児に熱中症の症状をきちんと伝えさせるのは難しいのではないでしょうか。周囲の大人が幼児の様子がおかしいと気付いた時点で、幼児から話を詳しく聞き出していくしかないと思います。

小学生であれば、ある程度症状を伝えることができるので、体調がいつもと違うときは我慢しないですぐに周囲に知らせるよう促しましょう。自分の異変を周囲に伝えられれば、後の対応は大人の役目なので、周囲への伝え方まで教える必要はないと思います」

Q.親の緊急連絡先を書いた紙を持たせる、人目につく場所に行くなど、熱中症への備えとして子どもに教えておくべきことはありますか。

市原さん「親の携帯電話などの緊急連絡先の他、職場の電話番号も分かるようにしておく方がいいでしょう。熱中症に限らず、いつでも親に連絡が取れるようにしておく必要はあると思います。

子どもは一人では対応できないので、具合が悪いときに人目につくような場所にいることも大事です。それに、通りすがりの人よりはお店の人、近くにあれば交番の警察官に話しかけるなど、安心して頼れる人に助けを求めることを教えた方がよいです。子どもを狙った犯罪の危険性もあるので、親から注意しておくべきポイントかもしれません」

オトナンサー編集部

子どもの熱中症、どうやって気付く?