俳優・柄本佑さんと女優・瀧内公美さんが共演する映画「火口のふたり」。同作は、離婚や会社の倒産ですべてを失った永原賢治(柄本さん)は、旧知の女性・佐藤直子(瀧内さん)の結婚式に出席するため秋田県に帰郷します。再会した賢治と直子は「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」という直子の提案でかつてのように体を重ね合い…直木賞作家・白石一文さんの小説「火口のふたり」の映画化です。

 オトナンサー編集部では、柄本さん、瀧内さんにインタビューを実施。賢治と直子の関係性や荒井晴彦監督との仕事、お互いの印象などを聞きました。

瀧内「30歳前に挑戦したい」

Q.賢治と直子の関係性をどのように感じましたか。

柄本さん(以下敬称略)「セリフで『やっちゃいけないなんじゃないか』『近親相姦(きんしんそうかん)みたいでやだ』とありますが、好きになったものは仕方ないと思います。社会とかそんなもん関係ないよと単純に思いました。体、肌が合うと実感しているので、それは誰も否定できないことだと思います」

瀧内さん(同)「佑さんの言う通り、体が合うと感じてしまったら、そうなるのも仕方ないかなと思いました。でも、直子を演じるに当たって、賢ちゃんが好きだからという気持ちを一番大切にしていました。二人とも社会になじめない、直子もなじんでいるふりをしているだけで、本質的にはなじめないんだろうなと思っていました」

Q.柄本さんは荒井監督とのお仕事を熱望されていたとのことですが、いかがでしたか。

柄本「僕のことを5歳から知っている方で、荒井さんの本や映画が好きなので、いざ本人の前で芝居をすることになり緊張しました。知られているからこその緊張と安心とがないまぜになる不思議な気持ちでした。待ち時間は安心していましたが、撮影中は見られていると感じて緊張しました」

Q.瀧内さんは「脱ぐのは嫌です」と別のインタビューでおっしゃっていましたが、今回も挑戦だったと思います。この役をやりたかった理由は。

瀧内「二人芝居だったということ、お相手が佑さんだったこと、荒井さんのセリフを口にしたかったことです。普段は口数が少なくて心の内で感じている役が多かったので、たくさん会話をする役に、30歳になる前に挑戦したいと思っていました」

Q.セリフの掛け合いでは、どのようなことを意識されましたか。

瀧内「本読みの時に、荒井さんに『速い速い』と言われたので、ゆっくり丁寧にしゃべることを意識しました。あとは説明せりふが多いので、どうしゃべるかを常に考えていましたね」

柄本「その時の流れや空気に身を任せるようにしていました。身を任せすぎて極端な方向にいきすぎたら、荒井さんが止めてくれました。一回一回の撮影が長く、その中で何度もテークを重ねてという撮影方法ではなかったので、いろいろ反応して方向を決めていく、前回のことは忘れて毎回ゼロから始めようという感じでした」

Q.リフレッシュ方法は。

柄本「最近はボクシングです。3カ月前からボクシングを始めました。この1年で10キロ痩せました。ある日、家の階段を上った時に足腰に来て、体重と一緒に筋肉も落ちてしまいました。フィジカルを鍛えようと思って、ただ器具で鍛えたいとは思わず、ボクシングにしようと思いました」

瀧内「朝、コーヒーをドリップすること、銭湯に行くことです。昔ながらの銭湯が好きで、熱くてスッキリするんですよね。あとはレコードで音楽を聴くことですかね」

 映画「火口のふたり」は8月23日から全国公開。

柄本佑さん】
スタイリスト:林道雄
アメーク:星野加奈子

【瀧内公美さん】
スタイリスト:馬場圭介  
アメーク:中島愛貴(raftel)

オトナンサー編集部

(左から)柄本佑さん、瀧内公美さん