田中貴金属工業は8月20日、東京・丸の内で「2019 リフィニティブGFMS貴金属セミナー」を開催した。世界150カ国以上で4万社を超える企業・機関に金融情報を提供するリフィニティブGFMS社が、昨年の貴金属市場を振り返り、今後の市況展望を発表した。田中貴金属工業の理事 貴金属市場部長の金子智秋氏は、「金価格が6月-7月を起点に上昇し、年初の高値1350ドルを突破し、1500ドルに乗せるという新たな局面を迎えている機会にリフィニティブの分析情報をアップデートできることは、今後の貴金属市場を見通す良い機会になる」と語っていた。
 
 同セミナーは、毎年1回のペースで開催されているが、昨年までは「トムソン・ロイターGFMS貴金属セミナー」としていた。昨年10月トムソン・ロイターのファイナンシャルリスク部門が「リフィニティブGFMS社」として独立した事業体になったため、今年からリフィニティブの名前を冠したセミナーに改めた。市場の分析にあたっているチームは、従来と変わらない。
 
 リフィニティブGFMS社の貴金属市場調査の責任者であるキャメロンアレクサンダー氏(写真:左)は、金価格の見通しについて講演した。同社が予想する2019年の平均価格は1トロイオンス=1390ドル、20年に1460ドル、21年には1600ドルの大台を超え、平均価格で1515ドルに達すると見通しを語った。
 
 アレクサンダー氏は、「米国の利下げによる米国債市場の利回り低下と株式市場の頭打ち感から投資対象としての金の魅力が高まるだろう。今後も予想される米FRBによる利下げは、ドル安の要因であり、それによって金価格を上昇させるだろう」と、価格上昇を見通す背景を説明。「米国株価が上昇し過ぎているのではないかという懸念があり、金でリスクヘッジしたいという根強いニーズがある」と語った。
 
 ただ、2019年も供給が需要を上回る供給過剰な状態が4年連続で続きそうなこと、また、金の購入で影響力が大きい中国とインドによる需要に力がないことなどが、金価格の上昇を抑える見通し。金価格が上昇する過程では、中古金スクラップの供給量が押し上げられるだろうとしている。
 
 一方、リード・アナリスト-GFMSのヨハン・ウィーベイ氏(写真:右)は、プラチナパラジウムの市場について見通しを語った。ともに、自動車業界を大きな需要主とする貴金属だが、10年来の安値に価格が下落したプラチナが底打ちの兆しとなる一方、高値に買い進められたパラジウムは上値が重い展開になりそうだと見通している。
 
 プラチナの予想平均価格は、2019年に1オンスあたり842ドル、20年は890ドル、21年は975ドルと堅調を予想。パラジウムは、19年に1481ドルから、20年は1520ドル、21年は1450ドルともみ合いを予想している。

世界経済の減速見通しが金価格を押し上げ、プラチナも底入れへ=田中貴金属がリフィニティブ貴金属セミナー