性的暴行(Tinnakorn Jorruang/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

睡眠導入剤などの薬剤を飲食物に混入し、相手を抵抗できない状態にしてわいせつ行為に及ぶ犯罪が相次いでいる。今回は、埼玉県で事件が発生。しらべぇ取材班は、埼玉県警と内閣府を直撃し、実態を探った。

■家出中の少女を…

埼玉県警捜査1課と少年捜査課、幸手署の合同捜査班は19日、準強制性交の疑いで、さいたま市見沼区大谷、自称アルバイトの男(35)を逮捕した。

容疑は昨年12月30日夜、当時住んでいた幸手市西2丁目の借家で、大阪府の10代の少女が酒に酔って熟睡し、抗拒不能な状態で性的な暴行をしたもの。

同課によると、男は昨年12月上旬、SNS(会員制交流サイト)を通じて千葉県船橋市内で少女と知り合い、幸手市の借家で寝泊りさせていた。少女は家出中で、母親から捜索届が出ていたという。

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■薬を飲まされて…

男は犯行当日に酒を買い、少女と一緒に借家で飲酒。少女は男に精神安定剤だと言われて薬を飲まされたという。

男は「少女が18歳未満との認識はあったが、同意の上の行為。無理やり薬などは飲ませていない」と容疑を否認。少女は今年1月中旬、男の家を出て大阪に帰り、母親に被害を申告し、母親が大阪府警に被害届を提出した。

■「頭痛薬とすすめられた」

「デートレイプドラッグ」とも呼ばれる強力な薬剤はインターネット上の取引などで容易に入手できる状況で、会員制交流サイト(SNS)で知り合った少女らを標的に犯行を繰り返す悪質なケースも出ている。

内閣府男女共同参画局によると、以下のような被害が起きているという。

「カラオケボックスで、トイレに立った後、残っていた飲み物を飲んだら、意識がもうろうとし、気が付くと服を脱がされた状態で、ソファーの上に一人で取り残されていた。

仕事の打合せの際に出された飲み物を飲んだら、急に眠くなり、下半身の違和感で気が付くと、服を脱がされた状態で床に倒され、裸の人が自分の上に乗っていた」

サークルの飲み会で、先輩からお酒をすすめられ、断れずに飲み続けていたら、身体がだるくなり、気がつくと複数の人に囲まれ、胸や下半身を触られていた」

「人からよく効く頭痛薬だとすすめられて飲んだら、気持ちが悪くなって、体が思うように動かなくなり、服を脱がされて複数人とセックスさせられた。またその様子を動画に撮られた」

相手が抵抗できない状態で、性交やわいせつな行為を行うことは、性別を問わず刑法の処罰の対象となり得る。

■「自分を責めないで」

「お酒を飲んでしまったから」「誘いをことわれなかったから」「逃げるチャンスはあったのに、逃げることができなかった」「自分が不注意だった」などと、自分を責めないことが大事だという。

薬物等を使った性犯罪・性暴力は計画的で卑劣な行為で、被害者の責任ではない。内閣府男女共同参画局は、しらべぇ編集部の取材に対して以下のように述べた。

「被害にあったら、#8113にまず連絡。最寄りの都道府県性犯罪被害相談電話窓口につながる。状況に応じて、医療機関の紹介を受けたり、医療費の公費負担などの制度利用をできたりする場合もある。

警察への相談は、ハードルが高いと感じたら、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを利用してほしい。2018年10月に47都道府県すべてに設置が完了している」

内閣府は、こういった被害の具体的な数を現在調査中で、2020年3月に集計しホームページ上で公表する予定だという。泣き寝入りせずに声をあげていくことが、こういった被害を許さない世論につながっていくだろう。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

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