プランクトンやオキアミ、小魚などを食べ、大きい個体では10メートル以上にもなるジンベエザメは、メキシコでは保護種に指定されている。メキシコのカンクン周辺の海では夏のこの時期、水面近くを泳ぐジンベエザメを一目見ようと多くの旅行客がカリブ海を目指す。そのカリブ海離島周辺で撮影されたと思われるジンベエザメの写真が拡散し、物議を醸している。

ユカタン半島北東部カンクンから船で気軽に行けるだけでなくジンベエザメが多数見られるカリブ海離島周辺では、ホエールウォッチングを兼ねたシュノーケリングツアーが人気だが、近年はそのマナーの悪さが問題になっている。

現在SNSで非難の的になっているのは、この最低限のルールを無視しジンベエザメの上に乗ってポーズをとるツアーガイドと旅行客とみられる2人の写真だ。すぐそばには船があり、そこから延びる黄色いロープを掴んでバランスを取っているようだが、右手を高くあげ得意そうにしている。

この写真には「これは虐待だ」「動物のストレスを考えてみろ」「厳しく罰せられるべき」「海に潜る資格なし」「最低だ」などといったコメントが寄せられており、ユカタン半島地域コミッションはツアー会社やガイドの特定に動き出した。しかし同コミッションの統括部長であるクリストファーゴンザレスさんは、「現在調査を進めていますが、情報が少なく人物や場所の特定には至っていません。使用されているロープを見る限りでは、メキシコで撮影されたと断言はできません」と慎重な姿勢をみせている。

英メディア『Metro』『Mirror』などは、この写真はカンクンから近いカリブ海の島、ムヘーレス (Isla Mujeres)、またはオルボクス(Isla Holbox)周辺で撮影された可能性が非常に高いと推測している。ただ、この時期にはフィリピンのオスロブ、モルディブ、タイのタオやサムイ島ガラパゴス諸島などでもジンベエザメを見ることができ、撮影場所は明確にはされていない。

ホエールウォッチングのマナーに関しては、世界自然保護基金(World Wildlife Fund)がオルボクス島コミュニティーと連携して対応策を検討していることを明かしており、「悲しいことに、ジンベエザメの上に乗っても構わないというツアーガイドがいることは事実です。観光産業の活性化を図る一方で、動物たちを傷つけることがないよう何らかの規制を設ける必要があり、ツアー会社とも交渉を重ねてきました」と述べている。撮影された場所がどこであるにしても、ツアールールの徹底と早急な対応が求められるのは言うまでもない。

国際自然保護連合(IUCN)はジンベエザメ絶滅危惧種に指定している。現在は7千頭超が生息していると言われているが、環境汚染や地球温暖化による生態系の変化、フカヒレや魚油のための乱獲などにより生息数は減少しており、正確な数は分かっていないようだ。

画像は『Metro 2019年8月19日付「Jerks filmed ‘surfing’ on back of rare protected whale shark」(Picture: CEN)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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