女優の中丸シオンさん、高橋真悠さんが共演する映画「VAMP」。同作は、父親から虐待を受けている女子高生・美以那(高橋さん)の前に謎の美女・苓(中丸さん)が現れます。苓は血を飲む嗜好(しこう)を持つ「へマトフィリア」を自称し、生きるに値しない男を殺して血をすすっています。美以那は苓に導かれ、少女から大人へ成長していくダークファンタジーです。

 オトナンサー編集部では、中丸さん、高橋さんに単独インタビューを実施。吸血鬼のイメージやアクションシーンなどについて聞きました。

「ファンタジーの世界の話」

Q.脚本を読まれた感想を教えてください。

高橋さん(以下敬称略)「人間ドラマの要素がちゃんとあり、美以那が性的虐待を受けているという重たい設定もあるので、一口でホラー映画とは言えないと思いました。人間ドラマが好きなので、そこが印象に残っています」

中丸さん(同)「監督と仕事をしたのが20代でウルトラマンシリーズでした。それから、いろいろな作品に呼んでいただけるようになりました。この容赦のない題材をどのように描くのか、とても興味を持ちました」

Q.「へマトフィリア」という言葉については、ご存じでしたか。

中丸「知らなかったので調べたのですが、ほとんどのウェブサイトが『18歳以下禁止』になっていて、かなりアンダーグラウンドな世界なんだと思いました」

高橋「ファンタジーの世界の話だと思っていましたが、身近にいるかもしれないということが分かりました。もしかしたら違うかもしれませんが、リストカットで血を見て安心したり、落ち着いたりする人もいるので、遠い存在ではないと思いました」

Q.吸血鬼のイメージを教えてください。

高橋「ホラーが苦手なので、これまで見ていなかったのですが、監督から『僕のエリ200歳の少女』が参考になるから見てほしいと言われて見ました。怖い部分もありましたが、それだけではなく、吸血鬼は人間に近い部分もあるので共感できるところもありました。どこかにいるかもしれないと思うと面白かったです」

中丸「ホラーが大好きなので、小さい頃から黒映画で見ていました。美男美女とニンニク、そしてエロティックなシーンがあったことを覚えています。他のホラー映画でもそういうシーンがあることが多いので、ホラーとエロティックなものは親和性があるのかなと思います」

Q.演じられている役に似ているところはありましたか。

高橋「あまり似ていません。抱えている悩みは違いますが、悩みによって湧き上がった感情は似ているのかなと思いました。私も生きることへの不安感があるので、共感できるところはありましたね」

中丸「共感する部分は少なかったですが、弱い者いじめは許さないというところは私にもあります。唯一そこだけは似ているかなと思いました」

Q.アクションシーンをされてみて、いかがでしたか。

中丸「道場で2、3日教えてもらって、あとは動画やイメージトレーニングでした。精神力を必要とするシーンが続いて、最後にアクションがあったので、『あとは体を動かすだけだ』と思ってやっていました。夜遅い時間からのアクションでしたが楽しかったです」

高橋「ゴスロリっぽい衣装は普段着ないので少し抵抗がありました。ただ映像で見ると、あの衣装あってのアクションシーンだなと納得しました」

Q.監督から何か要望はありましたか。

中丸「撮影が始まる前にいろいろとお聞きしました。ただ、リアリティーを追求するよりもダークヒーローでいてほしいとのことでしたので、方向性を定める上での指針になりました」

高橋「作品に入る前に、監督から性的虐待を受けていた方の本を読んでほしいと渡され、そこを突き詰めてくださるんだと思いました。エンターテインメントだけでなく、そういう問題からも逃げませんというメッセージだと受け取りました」

 映画「VAMP」は8月23日から全国公開。

オトナンサー編集部

(左から)中丸シオンさん、高橋真悠さん