香港のデモをめぐって新たな展開があった。Twitter社とFacebook社は19日、中国当局による情報操作の組織的関与がわかったとして、抗議活動を妨害するような内容の投稿をしていた複数のアカウントを停止したことを発表した。
 
 Twitter社によると、中国政府は偽のアカウントを使用、香港のデモ参加者を「ゴキブリ」と呼んで中傷。ほかにも「立法会は暴動を経てほぼ廃墟に。『星島日報』の報道によれば昨日、警察は捜査本部を立ち上げ、立法会で実況見分を行い、すでに10名の暴徒の情報が手に入った。彼らは暴力的な攻撃や包囲などに関わっており本日中に逮捕された」「香港の立法会を破壊した人たちは狂っているのか?それとも悪い人たちから利益をもらっているのか?これは完全に暴力的な行為であり、私たちはあなたたちのような過激派に香港にいて欲しくない。ここから出て行ってくれ!」といった投稿をすることで香港の政治的対立を煽っていたと指摘、936件にのぼるアカウントを削除した。

 また、Facebookは中国本土から発信され、偽装されたとみられる複数のアカウントページを削除。ISの写真と重ね合わせてデモ参加者批判した投稿や、中国政府に関係する個人のリンクが検出されたとしている。

 講談社特別編集委員の近藤大介氏は「"五毛党"と言って、以前、"習近平主席偉いね"などと投稿すると5毛(1元の半分)のお小遣いがもらえて、失業者対策にもなっていた。今はこれよりも巧妙になっていて、請け負ってやっている広告代理店もある。中国では合法的にそういうこと行われてきた。また、戦略支援部隊という、習近平主席肝いりの部隊があり、自身も今月、1日かけて視察までしている。」と説明。

 その上で投稿に使用された文字に着目し、「例えば"有何區別?"は、"なんの区別があるの?"という意味だが、區という字が繁体字になっていることから、中国国内向けというよりも香港人向で、台湾人にも見せたいという意図があると思う。また、別の投稿では"废青"、つまり"廃人になった青年"という意味の、中国政府系メディアがしきりに国内で流行語にしようとしている言葉では簡体字を使っている。これは中国国内へのメッセージとして言っているのだと思う」と指摘。また、英語でも発信されていることについては「数日前、香港を最も厳しく批判している最大の国際紙『環球時報』の記者が香港空港で被害を受けたとして、"言論を奪った"と大々的に英語でも発信している」とした。

 ジャーナリストの山田敏弘氏も「国内向けと海外向けに分け、明確な目的を持ってメッセージを出している。例えば"悪い人たちから利益をもらっているのか""裏で誰かが暗躍をしているのではないか"というようなニュアンスを出してみたりしていて、プロパガンダになっている。今回削除されたTwitterアカウントは936件だが、これはアクティブなものだけが対象で、そうでないものが20万件くらいあると言われている。それだけ組織立ってやっているということだと思う」と話す。

 「戦略支援部隊に各省庁からも人員を集めて、プロパガンダからサイバー攻撃までやっている。本当にありとあらゆる省庁から人を呼んできている。それだけでなく、一般の市民の人たちにも協力させ、とんでもない人海戦術でやっている。加えてかなり自動化もされている」。

 中国外務省は20日、Twitterアカウントを削除したこと、そして国営メディアからの広告を受け付けないと指針を見直したことについて不満を示し、中国メディアソーシャルメディアを通じて海外の中国の政策を紹介することは理にかなっていると反論。一方、TwitterFacebookアカウントを削除したことについては"情報を把握していない"として具体的な言及を避けている。

 近藤氏は「中国側もこうした事態を覚悟はしていたと思うが、アメリカとの対立がまた1ランク上がりつつある。やはり中国が恐れているのは、"ハイテク産業がアメリカグループ"と"中国グループ"に分断されること。ただ、ファーウェイの問題が典型だが、すでにそれは始まっている。中国の主張としては、GAFAアメリカ政府のスパイ活動に加担していたことがあるということ。また、自国の企業が海外に出ていくのは良いが、海外企業が入ってくるのは嫌がる。それは自由なことを言わせなければいけないからだ。中国というのは常に守りの国だ。今、攻めているように見えるが、14億の人たちが香港みたいにやりだしたら困るという思いが根底にはある。なんとか香港で食い止めて、大陸の中に入れてはいけない。そこにすごく神経を緊張させているのだと思う」と分析していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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神経を尖らせる中国当局、TwitterとFacebookを使って香港デモ妨害?国内外に向けメッセージを"出し分け"か