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あおり運転男」が世間の賑わせている。報道は、過去のタクシー運転手監禁の疑いでの検挙や「ガラケー女」と出会い系で知り合ったこと、クレーマー気質などという暴露合戦の様相を呈している。

そんな中、今度は山梨県あおり運転をした男が逮捕された。しらべぇ取材班は、山梨県警を直撃。

■執拗なあおり運転

山梨県警南甲府署などは、ことし6月、甲府市の市道で乗用車あおり運転をしながら少年2人が乗ったオートバイを追い回したうえ、車をぶつけて転倒させてけがをさせたとして、稲川会系の暴力団員の25歳の男を、危険運転致傷の疑いで逮捕した。

県警によると、男はことし6月21日午前0時ごろ甲府市国母の交差点付近を走っていた17歳16歳の少年が乗るオートバイに対し、後ろから車間距離を詰めたり、幅寄せをしたりするといったいわゆる「あおり運転」をしながらおよそ5分間追い回した。

そのうえ車をオートバイにぶつけて転倒させ、少年2人にそれぞれ全治2週間のけがをさせたいう。男は2012年以降に発砲などの抗争事件を繰り返した稲川会系山梨一家の2次団体橋本組の組員。

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■あおり運転は殺人未遂の適用も

男は、オートバイを転倒させたあとにそのまま走り去ったが、被害者の少年の1人が男と面識があり、この少年から被害届を受けた警察が裏付け捜査を進めていた。

男は調べに対し、「やったかやってないか言いたくありません」などと供述しているという。県警は、男や乗用車に同乗していた別の少年から話を聞くなどして、当時の詳しい状況や動機などを調べている。

県警は、しらべぇ編集部の取材に対して、

あおり運転罪というものがない。そのため、今回は危険運転致傷罪の構成要件を満たしたため、この罪状で逮捕した。あおり運転は、個別具体的にどの犯罪の構成要件を満たしているかを調べていく。当然殺人未遂罪等の適用もあり得る」

と述べた。

■重罰化の意見で…

飲酒運転による悲惨な交通事故の発生が多発し、さらには従来からの刑法では罰則が軽く、重刑化の意見が出たことから、2001年6月に危険運転致死傷罪が新たに施行された。

危険運転致死傷罪(刑法第208条の2)とは、これまで過失犯である業務上過失致死罪として処罰されてきた飲酒運転や著しい高速運転など、基本的な交通ルールを無視した無謀な運転による悪質・重大な死傷事犯について、故意犯である暴行による傷害、傷害致死に準じた犯罪として処罰しようとするものである。

同罪が適用対象になる行為によって死傷事故を起こした場合、死亡事故で1年以上20年以下の有期懲役、負傷事故で15年以下の懲役が科せられる。

■事故防止への期待

JAFによると、2001年12月の法施行後の9ヵ月間に発生した交通事故のうち、危険運転致死傷罪を適用したものは203件あったという。2001年に危険運転致死傷罪を新設、2007年には飲酒運転の罰則強化が適用された。

さらに2009年には運転殺人・傷害、危険運転致死・致傷、酒酔い運転・麻薬等運転、救護義務違反といった悪質かつ危険な行為を「特定違反行為」として、基礎点数の大幅引き上げや欠格期間の延長(最長10年)を適用する改正も行われた。

これらの導入に伴う事故の防止が期待されている。

■あおり運転罪の新設を求める声

ネット上では、あおり運転罪の新設を求める声が多数あがっている。

あおり運転に関して厳しい法律を作るべきだ」

「人命の危険に晒すあおり運転は一発で免許取消ぐらい厳しい罰則に法改正するべきだと思う」

「一般道、高速道でも、もっと覆面パトカーを増やしてほしいですね」

「現行犯でなくても、証拠提出でどんどん逮捕できるようにしてほしい」

あおり運転に対して、今世間の厳しい目が向けられている。早急な「あおり運転罪」の新設を期待するとともに、現行法を適用した摘発にも期待したいところだ。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

山梨・あおり運転した男が逮捕 県警は「殺人未遂罪の適用もあり得る」