連続テレビ小説なつぞら」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第21週「なつよ、新しい命を迎えよ」122話(8月20日・火 放送 演出・演出・橋爪國臣・田中健二)視聴記録
「あまり絵を動かさないほうがかっこいい」
イタリアから日本に戻ってきた麻子(貫地谷しほり)は、なつと坂場の新婚家庭を訪問、テレビアニメを作る会社・マコプロダクションをつくったから坂場(中川大志)に来てほしいと誘う。ほんとうはなつ(広瀬すず)にも来てほしいという麻子だが、なつはいま東洋動画を辞めるわけにはいかない。なんたって作画監督を任されるのだから。あと、あんなにたくさんの人を巻き込んで労働条件の交渉したのだから。

「いまの会社、辞めるわけにはいかないんでしょ」と言う麻子。「いまの会社」とまるで知らない会社みたいな言い方なのは、辞めて年月も経ったうえ、ライバル会社を立ち上げるからもうすっかり他人事なのかも。

麻子の会社は、「あまり絵を動かさないほうがかっこいい」という考え方、つまり、枚数を少なく安価に仕上げる方法論。ただし、女性社員に関しては、子供ができても辞めなくていいように、環境を整えようと考えている。仕事内容は合理的に、働き方は先進的に、新しい時代の会社になりそうだ。

麻子のキャラクターづくりの参考人物ではないかと言われている中村和子は、東映動画から手塚プロに引き抜かれ、「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「ふしぎなメルモ」「W3」等の手塚アニメで大活躍したアニメーター。実際、絵を動かさないほうがナウだというようなことを言ったとされる。「ナウ」…。

子供を生んだ女性にも働きやすい環境を整えていたのは、スタジオジブリ。会社のそばに保育園をつくって、社員の子供はそこに預けることができた。2008年に開園。初代園長は宮崎駿

「待ちわびているのよ」
アニメの仕事に戻りたいと思っていた坂場の気持ちをよくわかっているなつは、麻子の申し出を喜ぶが、坂場は顔を曇らせる。子供が生まれるのに、ふたりして働きに出るわけにはいかないと考えているのだ。
「のんきに喜んでいるわけにはいかない」とかなりシビアな言い方をする坂場だったが、その後、なつは茜(渡辺麻友)から、坂場がミルクの作り方、おむつの取り替え方、縫い方などをなつに内緒で習いに来ていると聞いて驚く。
「楽しそうに見えたなあ。待ちわびているのよ、子供が生まれてくることを」と言う茜。赤ちゃんができて、その愛おしさに会社を辞めてよかったと感じている茜だから、坂場がただ仕事を諦めているのではなく、生まれてくる子を大事にしていることが理解できるのだろう。
渡辺麻友、いかにも家にずっといます、という感じの服装がハマっている。ふんわりあったかそうな雰囲気にホッとするも、「(坂場が)なっちゃんが昼間働いている間、ここに来ているのよ」というセリフ。これだけ聞くと、昼メロ的などっきりセリフにも思える。昼メロだったら坂場が茜と浮気していることをなつに激白みたいなドロドロ展開になっていきそう。

とはいえやっぱり坂場は仕事にも惹かれていて、さっそくマコプロを訪れる。建設途中のそこには麻子に引き抜かれた下山(川島明)がいた。東洋動画には引き止められなかったと笑う下山。坂場はともかく、下山はけっこう会社の功労者な気がして、会社の対応が切ない。まあ、バンドや劇団もそうだけど、方向性の違いというのはあるものだが。

子供を優先し、一年間は、マコプロに入社するのは我慢することにした坂場。子供と仕事の両立に悩むのみならず、子育ての練習をすでに行っているのが坂場であることが興味深い。そして、なつのほうが「イッキュウさんにも夢を諦めてほしくない」と心配するところも。
おむつを縫っている坂場がいじらしい。「ここまでやったらすぐご飯の支度するから」と裁縫から料理まで何から何までやっている。不器用なのに。
男性作家が書いているからか、なつよりも坂場の葛藤のほうが伝わってくる。恥ずかしいから、茜に育児を習いに来ていることを内緒にしているというようなちょっとした一言があるだけで違う。
男が主役の朝ドラも何作もあるが、ここまでイクメン寄りに描いたものも珍しい。これも時代の流れであろうか。今後、イクメン主人公の朝ドラも誕生してもおかしくはない。

【第21週あらすじ】「なつよ、新しい命を迎えよ」8月19日・月〜8月24日・土】 
なつは妊娠を咲太郎や、富士子ら十勝の家族に報告し、盛大な祝福を受ける。そんな中、麻子(貫地谷しほり)が日本に帰ってくる。なつたちの新居を訪れた麻子は、アニメの制作会社を設立したことを伝え、もう一度、現場に復帰しないかと坂場に話を持ちかける。坂場にとっては願ってもないチャンスだが、なつたち共稼ぎ夫婦には子育て問題が大きく立ちふさがる。そんな不安を抱えつつも、臨月を迎えたなつは仲(井浦新)や神地(染谷将太)らに見送られ、産休に入る。予定日が迫る中、なつは突然の腹痛に襲われる。一大事というタイミングで現れたのは、富士子や泰樹たちだった。

123回あらすじ  8月21日・水 放送


帰宅したなつ(広瀬すず)に坂場(中川大志)は、なつの仕事中、麻子(貫地谷しほり)の会社に行ってきたことを打ち明ける。坂場は、子供が生まれ、預けやすい年齢になるまで入社を待ってもらうと決めたと言う。なつは保育園の事情を調べ、熟考の上決断をした坂場に感謝し、思わず涙を浮かべる。いよいよ、出産の日が近づいてきたなつは、仲(井浦新)や下山(川島明)、神地(染谷将太)たちに見送られ、産休に入るが…。

124回あらすじ  8月22日・木 放送
なつ(広瀬すず)がお腹の痛みを訴えた時、玄関の呼び鈴が鳴る。慌てて坂場(中川大志)が戸を開けると、富士子(松嶋菜々子)の姿が。さらに、剛男(藤木直人)、泰樹(草刈正雄)までもが十勝からはるばる駆けつけてきたのだった。いったん痛みが治まったなつは、久々に富士子らとともに食卓を囲み、和やかな時間を過ごす。そんな時、富士子から夕見子(福地桃子)について思わぬ知らせを受け…。
(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーランルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーランルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベスマリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュ踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海


脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武