老舗ホストクラブ「愛本店」が入居する歌舞伎町2丁目Jビルが、老朽化のために取り壊されることが決定。2020年6月を持って愛本店も退去することとなったのだ。もっとも、名物社長だった愛田武氏は昨年10月に鬼籍に入り、また愛田氏自身が経営から身を引いて久しかった。

いまから三十数年前、筆者は歌舞伎町2丁目で働いていたこともあり、バブル期のJビルの賑わいを知っている。それだけに昔日の思いひとしおだが、実は歌舞伎町のビル老朽化はJビルだけの話ではない。火災や地震など、もしもの時に起こり得るリスクを真剣に考える時期に来ているのだ。

東京都都市整備局が昨年、1981年5月31日以前のいわゆる「旧耐震基準」に準拠して建設されたビルなどをランク付けしたが、TOHOシネマズの向かいに位置する「ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町」などが最低ランクに位置付けられたのだ。歌舞伎町ランドマークとも言える同ビルへの評価が、歌舞伎町住民を中心に大きな衝撃を与えたのは言うまでもない。

また、ランク付けの基準となった「旧耐震基準」案件であるが、都の調査で指摘こそなかったものの、いま現在もJビル同様老朽化が危惧されている建物が、かなりの数歌舞伎町にはある。風評被害もあり得るので、いちいち名前を挙げては書かないが、筆者が仕事をしていた当時から「年季が入っていた」ビルが現役として活躍している。これらのビルすべて危ないというワケではないが、それでもひと際慎重な管理が求められるのは間違いないだろう。

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歌舞伎町のビルがどのくらい古いのか? を知る上でひとつの目安がある。バブル時代、良くも悪くも名をはせた丸源ビルやコリンズなどの新興不動産が歌舞伎町に進出してきた(現在は他名義となっている)。当時煌びやかで最先端だったこれらのビルですら、はや三十年選手なのである。もちろん、「旧耐震基準」以降の建造物であるため、老朽化と言う言葉はあてはまらないが、前述したようにこれらバブル以降に立ったビルよりはるかに古いビルが数多くあるのが歌舞伎町の実情なのだ。

そしてもうひとつ留意しなければいけないのは、それらのビルなかには、バブル崩壊や失われた二十年の余波で経営権が二転三転しているところもあることだ。管理面にいささかの不安を持つことも仕方がないのであるまいか。

いたずらに不安を煽るわけではないが、日本一の歓楽街・歌舞伎町のビル老朽化は見過ごされがちな問題点と言える。歌舞伎町ルネッサンスやインバウンド効果で賑わういまだからこそ、都はもちろん、消防なども含めた一層の管理強化が望まれよう。(取材・文◎鈴木光司)

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さようなら愛本店(筆者撮影)