食事の前にいう「いただきます」の言葉にこめられた意味は、諸説あります。
たとえば、食事を作ってくれた人や食材を収穫してくれた人などへの感謝の意味。つまり、食事が提供されるまでに関わったすべての人たちに向けられたものです。
もう1つは、食材そのものへの感謝。植物であれ動物であれ、食材に宿る『命』を私たちは「いただいている」わけです。
そうした命をもらうことへの感謝が「いただきます」という言葉にこめられているともいわれています。
※写真はイメージ
しかし、最近では食事に対する『感謝』の思いが薄れてきているように感じることも…。
大阪にある飲食店『なんば赤狼(@nanba_sekirou)』さんの投稿をご紹介します。
店主「今後、ご入店はお断り致します」
投稿者さんの店は、日本では一般的に食べられていない、ワニやカンガルーなどの珍しい肉を使った料理を提供する飲食店です。
そのため、食材に対する物珍しさから好奇心で来店する客も多くいます。
ちゃんと注文した料理を味わうのであればまだしも、中にはこんなモラルを欠いた行動をとる人もいるのだとか…。
3人で来て5人前の料理を注文、更に追加注文して大量の料理を前にスマホで写真だけ撮り8割り方残して行かれた方には流石に今後料理をお出ししたくないのでご予約もご入店もお断りしたいと思いました。
— なんば赤狼 (@nanba_sekirou) August 15, 2019
お金を払ったらインスタ映えの為に料理を大量に残しても構わないと思っている方々は御遠慮下さい。
命を貰ってその肉で生計を立てる者として、こんなに悲しい事はありません。
— なんば赤狼 (@nanba_sekirou) August 15, 2019
Twitterを見てお電話頂いた方ですが、お顔は覚えておりますので今後ご入店はお断り致します。
珍しい料理を前に、思い出として写真に収めたくなる気持ちは理解できます。
しかし、飲食店にもかかわらず、食材の味を確かめずに写真撮影だけで満足してしまっては本末転倒。
自分勝手な理由で粗末に扱われる『命』を考えると、やるせなくなります。
投稿にこめた店主の思い
投稿者さんが「予約も入店も断る」と強く主張するのには、料理を大量に残されたことへの憤りだけでなく、食材の『命』に対する思いも関係していました。
賛否両論はあるかと思います。
— なんば赤狼 (@nanba_sekirou) August 15, 2019
しかし、店主の私は山の恵みで育った田舎者です。
食べ物を粗末にする事がどうしても見に刷り込まれて受け付けません。
命を戴き生かされている、骨から肉を外し血とその肉に触れて自身が別の命から生計を立て、またそれらを食べて生かされていると考えています。
大量に料理を残す客に対して「常識を疑う」「ふざけてる」と怒りのコメントが多く寄せられた一連の投稿。また、投稿者さんは、一連の投稿にこめた思いをこうも語ります。
生きることは食べること。尊い命をいただくこと。そして植物も動物も、食べられるために生まれて来た命など1つとしてこの世にはありません。
感謝を忘れてはならないことだけ、人々の心へと届いてくれたら何より幸いです。
食材になる前は、もとは1つの命。それが人間の都合で食材になり、私たちの命をつないでくれています。
私たちが生きていけるのは、ほかの『命』をもらっているからこそ。だからこそ、感謝の思いを忘れてはいけません。
[文・構成/grape編集部]
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