TVアニメ「彼方のアストラ」を盛り上げるためのキャスト&スタッフによるリレー連載。第10回のゲストは、CGディレクターを担当する・加藤大輔さんが登場。アニメに欠かせないCGで作品を支える加藤さんに、本作でのこだわりをお聞きしました。

TVアニメ「彼方のアストラ」より

――CGディレクターという立場から原作コミックをご覧になって、どんな印象をお持ちになりましたか。

加藤 ディレクターの話を伺って初めて原作を読んだとき、宇宙ものでキャラクターが沢山いて、CGでやる要素がいっぱいの作品で大変そうだなぁと感じましたが、それと同時にどんどん物語に引き込まれていく自分もいたので、これは作るのも楽しそうだなと感じていました。

――本作のCGの方向性などを決める上で、安藤(正臣)監督とはどのようなお打ち合わせをされたのでしょうか? 

加藤 監督からは本作でアストラ号とかキャラクターをCGにした場合どこまでのことができるのか相談を受けまして、より効果的な画作りの手段を探りました。また作画の効率化を図るため本作でもアストラ号の船内の大半はCGレイアウトを使用していて、キャラの対比に合わせた人形を置いて演技を見据えた舞台の広さの設計などもしています。

――アストラ号のCGを制作される際、どんなことにこだわりましたか? 

加藤 アニメ版のアストラ号は原作版そのままではなく大きく形を変えたいと言われ、これはこれまでの原作ファンにも受け入れてもらえるものにしないといけないなと感じていましたので、上がってきたデザインを作っていく上でCG側からも味付けとしていろいろな箇所に要望やアイデアを出させていただきました

こういったデザインの段階からこちらからの要望やアイデアを反映させていただける機会は他の作品ではなかなかないことなので、その点はとても楽しかったです。

――謎の球体もCGで制作されているとうかがいました。

加藤 原作の中ではこの球体がキャラクターたちを飲み込んだときに、形状や動きがどう変化するか?というところまでは描かれていなかったので、何度も監督の中のイメージとのすり合わせをして、吸い込まれる怖さが一番出るにはどういう表現をしたらよいのか結構悩みました。

――「彼方のアストラ」に参加されたことで新たに得られたものはありましたか?

加藤 大きく言えば経験でしょうか。今回が初めてのディレクター作品になるのですが、今までとはまた一段違った経験が積めたので、大きな財産になったと感じています。

――CGディレクターとしての視点で、今後注目してほしい部分はどんなところでしょうか?

加藤 物語も終盤に差し掛かり、物語の核心へと迫っていきます。作り手も毎話ドキドキしながら制作していますので、一緒にドキドキしながらB5班の 旅の結末を見守ってもらいたいです。(WebNewtype・【取材・文:岩倉大輔】)

TVアニメ「彼方のアストラ」より