TVアニメ「彼方のアストラ」を盛り上げるためのキャスト&スタッフによるリレー連載。第9回のゲストは、色彩設計を担当する・多田早希さんが登場。惑星ごとに色彩が変化するなど、色にもこだわっている本作の見どころに迫ります。

TVアニメ「彼方のアストラ」より

――色彩設計という立場から原作コミックをご覧になって、どんな印象をお持ちになりましたか。

多田 伏線がたくさん出てきてきれいに回収されながら、内容がとても濃い印象を受けました。またいろんな惑星を旅することで、それぞれの惑星のシーン色が作れるということに魅力を感じながらも、宇宙生物などの色作りが難しそうだなと思いました。

――最初にキャラクターの色彩を決める上で、どのようなテーマ、方向性にしたいと考えられましたか?

多田 明るい・元気をテーマして色味もコントラストを強めにして、少年漫画感が少しでも出せるようメリハリつけるよう意識して作りました。

――安藤(正臣)監督とはどのようなお打ち合わせをされたのでしょうか?

多田 惑星ごとに色を変えていくお話やアストラ号などのメカのCG作成についてのやりとりもさせていただきました。 それぞれの色を作るにあたって監督から意見を頂いたり、色チェック時にご相談に乗っていただいたりと、さまざまな面で監督から学ばせていただきとても勉強になっております。

――同様に、キャラクターデザインの黒澤桂子さんや美術監督の甲斐政俊さん、撮影監督の酒井淳子さんとはどのようなやりとりをされましたでしょうか?

多田 キャラクターデザイン様にはキャラクターや服の色などを作った時に見ていただくのですが、そこで色イメージのやりとりなどしました。撮影監督様とはシーンの色変え作成時に、どういう風にその色に落とし込むか、処理入れをどこまで入れていただくかなどのやりとりをさせていただきました

――本作は宇宙空間、宇宙船、各惑星とさまざまなシーンがあります。シーンの色を考える上で大変だったことや楽しかったことなどを教えてください。

多田 それぞれの惑星の色を元に、キャラクターたちに色を乗せて作るのがとても楽しかったです。特に惑星ヴィラヴァースでは緑がメインの惑星でしたので、少し変わった色味で仕上がったなと思いました。そこからのワームホール出現で、更に変わったハイコン色が作れたのでこれも楽しかったです。

逆にイクリスでの色を作成するのに背景の影面が青という独特な色をしていたので、キャラクターたちの明るい色に対して影に青みを入れて作るのに苦戦しました。

――各キャラクターの色彩を設定されるにあたって、楽しかったキャラクター、難しかったキャラクターなど特に印象に残っているキャラクターについて教えてください。

多田 アリエスで特にオッドアイを作ることがとても新鮮で楽しかったです。でもB5班メンバー全員の色を作ってる時に、スーツの色でカラフルな色が作れてこちらも楽しかったです。

ウルガーが全体的に黒い感じだったのでスーツの色を作った時にぼやっとしてしまい、パーツそれぞれの色を引き出すのにどうすれば他のキャラクターたちみたいにスーツとして成り立つのかで何度も色調整して、今の状態に仕上げるのが難しかった記憶があります。

――「本作ならではの色使い」はございますか?  また、これまでの話数を振り返る際、色彩的に注目したら面白いと思われる点はありますか?

多田 影色や無彩色ベースの色を(黒や白)作る時に少し色味を入れているところです。例えば、キトリーのスーツで黒い部分に少し紫やピンクを混ぜてみたりなど…

シーン色の移り変わりに注目していただくと色彩的には面白いのではないかと思います。またアストラ号やアーク6号、エアカーなどのメカの色や宇宙生物の色なども作らせていただいているのでそちらにも注目していただければと思います。

――「彼方のアストラ」に参加されたことで新たに得られたものはありましたか?

多田 今回『彼方のアストラ』に参加させていただき、キャラクターの色以外にもCGや小物、生物などの色も作らせて頂き色々な知識を得ることが出来ました。実際に作業してから見えてくるものもたくさんあり、とても勉強になり刺激にもなりました。

――色彩設計としての視点で、第 8 話以降注目してほしい部分はどんなところでしょうか?

多田 今後イクリスから最後の惑星ガレムへと向かっていきます。その惑星でも良い画面作りが出来るよう頑張りますので注目して見ていただければと思います。

あと少しの間になりますが後半もどうぞよろしくお願いいたします!(WebNewtype・【取材・文:岩倉大輔】)

TVアニメ「彼方のアストラ」より