今回の記事では、Six Apart ブログ が運営する「第48回オウンドメディア勉強会(2019年7月18日開催)」のイベントレポートをお届けします。
ゲストスピーカーは、ネット界のバズコンテンツでお馴染みのヨッピー氏。

「ヨッピーが編集側に声を大にして伝えたいこと ~メディア中の人に聞いてほしいアレコレ~」と題し、ヨッピー氏が考えるメディア運営の心構えや、ライターが運営側に求めることなどが語られました。

メディア運営の「中の人」にとっては耳の痛い話もありますが、改めて考えさせられる提言がいっぱいです。ぜひ、心してご覧ください!

目次

1.ライター ヨッピー氏とは?

2.ヨッピー氏が考えるメディア運営の3つの心構え

3.ヨッピー氏が考えるメディアをやるといいこと3点

4.ヨッピー氏が考えるいい編集者の4つの条件

5.ヨッピー氏が編集側に声を大にして伝えたいこと

4.まとめ

1.ライター ヨッピー氏とは?

ヨッピー氏は、商社を退職後、フリーランスライターとして活動。ライターとしての仕事以外にも、お出かけメディア「SPOT」の編集長や、Webマーケティングのコンサルタント・企画設計・講演・イベント主催などを行っています。

「24時間テレビの100kmマラソンって本当に大変? 検証してみた」 「私服がダサいやつが10万円を投資して渋谷のカリスマになった話」 など、体当たり系のオモシロ記事から、 「ZOZO前澤社長に1日密着してわかった、意外な素顔と経営哲学」 などの硬めの記事まで、圧倒的オリジナリティのあるコンテンツで数々のバズを生み出し続けるWebメディア界の伝説的なライターです。

2.ヨッピー氏が考えるメディア運営の3つの心構え

はじめに、ヨッピー氏が考えるWebメディアの運営側が考えなければいけない心構えについて語られました。
ヨッピー氏は、下記3つの視点がクリアできていなければ、 メディアをはじめるべきではないし、すでに運営している人もどこまでクリアできているか考えなおすべき」 といっています。

●メディアをコスパの観点で見ていないか?

ヨッピー氏:よく「採用コストを減らしたいからメディアをやろう」などということがありますが、 メディアを「コスパがいいもの」と考える前提が間違っています。
メディアの運営には、コストと時間がかかります。「もうかる orもうからない」の視点でいえば、メディアは確実にもうからない。決してコスパのいいものではないんです。
もし「転職サイトにお金払うくらいなら、自分達でメディアやってそこから採用した方が安上がりじゃん」みたいに、コスパがいいからという理由で、メディアに手を出したら絶対に失敗します。

「もうからない」「疲弊する」という状態が続き、運営は泥沼化。なので僕は、「これからメディアを立ち上げようと思ってるんですけど…」みたいに相談してくる人には、 コスパを求めてやるんだったら、そもそもやらない方がいいと 伝えています。「コストがかかってもいいから、自社サイトで社内の雰囲気や考え方を発信して、これまでよりレベルの高い人材、マッチする人材を確保したい」という考えがあるならいいんですけど。

●長期的な視点はあるか?

ヨッピー氏:メディア事業単体で黒字化したいなら、最低3年間は続けなければいけないと思います。
さきほどもいったように、メディアは基本的にお金も時間もかかるものです。これを無視して、短期的に黒字化しようとすれば、「品質」「信用」「ブラック労働」のどれかと必ずバーターになります。

ですから、これからメディア運営をはじめようという人で、 「まずは試しに1年くらいやってみよう」という計画であれば、はっきりいってやらない方がいい。 やるのであれば、最低でも3年赤字を出し続ける覚悟がないと、最初から手を出さない方がキズは浅く済みます。
そういう前提があれば、編集部の方は、社長や上司などに、早い段階で「メディアで黒字化させろ!」とか言われても「もともとメディアはもうからないっていいましたよね!?」「もうからなくて当たりまえじゃないですか!」という雰囲気をつくって、うまく逃げられるっていう(笑)

●「気合い」は入っているか?

ヨッピー氏:ぼくが考える「気合い」の定義は、 人員と予算をどれだけ割けるか。メディアを運営するにあたり、人とカネをぶっこむ覚悟があるかどうかということです。
たまに、「当社としては気合いが入っているプロジェクトだったんですが、予算がなくて…」などという人がいますが、僕の考えでは、 予算がないのに気合いが入っているとはいえないと思います。

社長が「このプロジェクトはわが社の命運をかけた一大プロジェクトだ!」などといったところで、予算がつかないのであればそれは口先だけで、気合いが入っているとはいえません。仮に、メディア運営に月間300万円の費用がかかるとすると、3年間で1億800万円です。最低でも、これくらいはかかると思います。もし、すでにメディアを運営している企業で、月間100万円くらいしか予算がないし、伸び悩んでいるのに会社から黒字化を求められてる、みたいな状態だったらとっとと閉鎖した方がいいかもしれません。

公演中のヨッピー氏

3.ヨッピー氏が考えるメディアをやるといいこと3点

メディア運営の現実は、そう簡単なものじゃないと訴えるヨッピー氏。その一方で、メディアを運営して得られるメリットについては、下記の3点をあげました。

●ノウハウがたまる

ヨッピー氏:メディア運営は、さまざまな要素のある仕事です。デザインSNS運用・企画の立て方・取材など、ふだんの仕事だけでは得られない、いろいろなノウハウを得ることができます。
ここで注意しておきたいのが、メディア運営を代理店などに外注する場合です。大手企業のオウンドメディア運営では、運営が代理店に委託されることもよくあると思いますが、すべて丸投げしてしまっては、せっかくのノウハウを自社に得ることができず、もったいないと思います。 外注も使いつつ、月に2本だけでも自社でコンテンツの企画から記事作成までやってみる…など、自社のなかに少しずつでもノウハウがたまるようにするべきです。そうしなければ、せっかくノウハウを得られる機会なのにもったいないと思います。

●人脈・横のつながり

ヨッピー氏:また、メディア運営をしていると、広く情報収集したり、取材をしたりすることが多いので、自然と「イケてる人の情報」「イケてる会社の情報」などとともに、人脈や横のつながりが広がっていきます。こういったネットワークが、メディア運営以外にも、役に立つこともあると思います。

●その先のビジネスにつながる

ヨッピー氏:メディアを作って、PVを稼いで、その先になにがあるのか?という視点も持っていた方がいいと思います。メディアが軌道に乗り、固定ユーザーがつけば、例えば関連イベントを行うなど、その先のマネタイズの方法はいろいろと考えられます。
もし、編集部が会社のKPIをすでにクリアしているのであれば、 そのメディアを軸に別のビジネスにつなげられないか? など自分たちなりのゴールを設定するといいと思います。

4.ヨッピー氏が考えるいい編集者の4つの条件

また、編集側にいいたいことの話のなかでは、ヨッピー氏が考える「いい編集者の条件」が語られました。ヨッピー氏も「ほとんどいない」という厳しい意見ですが、筆者も「確かに。。」と考えさせられました。

ヨッピー氏:ぼくが仕事を依頼されるとき「数字に寄与してほしい」といわれることがあります。もちろん、多くの人に読まれる記事を書くのがぼくの仕事なので、それは全然問題ないのですが、 ライターだけに数字を期待するだけでなく、編集側ももうちょっと自分たちで努力できることがあるんじゃないか と思います。ぼくが考える、いい編集者の条件は、次の4点です。

  • 固定読者がいる(編集者自身に)
  • フォロワーがたくさんいる(編集者自身に)
  • うける企画をくれる
  • よりいいものにしてくれる

Webメディア編集者は、編集者というよりはディレクターっぽい人が多いです。「〇日までに原稿あげてください」とか、日付だけをいってくるような。ぼくは、編集者としてはこのままではよくないと思っていて、自分が率先して発信しようとか、一緒に企画をよくしようという意識をもってほしいと思います。

5.ヨッピー氏が編集側に声を大にして伝えたいこと

最後に、数々のコンテンツを生み出してきたヨッピー氏が、Webメディアの編集側にいいたいことから、印象に残ったポイントをまとめました。

●編集部が権限をちゃんと持っておいてほしい!

ヨッピー氏:編集部が企画の決定権や、記事の最終承認の権限などを持っていますか?1回1回、上長に見せて、公開OKのハンコをもらっていませんか?
編集部がちゃんと権限を持っていないと、上司のいいなりで結果的につまらないコンテンツになったり、横やりが入って公開までにものすごい時間がかかることがあります。 編集部は、ちゃんと権限を持つことが大事です!

●メディア運営に気合い、入ってる?

ヨッピー氏:最初にも述べたように、なんだかんだで 「気合い」(=人員と予算をかける覚悟)が一番重要 です。編集者の皆さんにはぜひ「気合い」を意識してもらい、一緒にいいコンテンツを作っていきましょう。

4.まとめ

Webメディアと真剣に向き合い、数々のWebメディアの盛衰を見てきたからこそいえるヨッピー氏の意見は、メディア運営者にとっては厳しい話もありましたが、改めて考えさせられる要素が多くありました。

SNSにより、個人の発信する情報までもがメディア化する昨今。
クラウドやCMSの進化もあり、メディアをはじめること自体のハードルは、以前に比べてグッと低くなりました。

しかし、メディアをマネタイズすること、メディアを通して本来の目的を達成することのハードルが下がったわけではありません。
メディア事業の成功は、適切なお金と人の投資と、地道な努力なくしては成しえないことを再認識させられました!