四輪車は通れても、二輪車は通れない「二輪車通行規制」区間が減少しています。クルマのほうが幅は取りそうですが、なぜバイクの通行が規制されてしまったのでしょうか。「昭和の名残」ともいえる規制が見直されるケースもあります。

見直し促す「ライダーの声」

四輪車は通れても二輪車は通行不可という「二輪車通行規制」の見直しが全国で進んでいます。全国における規制区間の情報を集約して発進している日本二輪車普及安全協会(東京都豊島区)によると、そのウェブサイトでの掲載数は2015年ごろに全国で約700か所あったのが、2019年8月時点では約450か所まで減っているそうです。

二輪車に限った通行規制は、警察の「交通規制基準」において、たとえば幅員に余裕のないオーバーパスやアンダーパス、トンネルのほか、カーブや急坂が連続する箇所など、事故の危険性を鑑みた場所が対象となるとされています。これとは別に、「暴走行為等による交通の危険防止及び地域の静穏を確保する必要がある道路」という項目も定められており、暴走族対策として昭和の時代に定められ、それが継続しているケースが少なくないといいます。

日本二輪車普及安全協会によると、そうした暴走行為の防止を目的として二輪車の規制が敷かれた住宅街周辺や市街地などで、規制の見直しが進んでいるといいます。たとえば埼玉県内では、休日や夜間にクルマや人通りが少なくなる工業団地内で、暴走行為が見られなくなったために規制が解除されたケースがあるそうです。

警察庁によると、暴走族のグループ数は2002(平成14)年時点にて全国でおよそ1300あったのが、2017年には171まで減っているといい、1グループあたりも少人数になっているそうです。そうしたなか、暴走族対策として二輪車通行規制が実施されていた風光明媚な道路、たとえば広島県福山市の「鞆の浦」を望む県道後山公園洗谷線などで、ライダーから警察へ規制の見直しが提案され、暴走族が見られなくなったことを踏まえ解除へ至ったケースもあります。

一方、2015年以降では東京都で1区間、大阪府で3区間、広島県で2区間、新たに二輪車の通行が規制されています。これらはいずれも、新設された長いトンネルや橋の区間です。

二輪車通行禁止標識の例。排気量に応じて通行が規制されるケースも(画像:日本自動車工業会)。