今では大きな社会問題として警察も厳罰に処するようになってきた、あおり運転


 なかには車間距離が異常に狭かったり、ハイビームを照らされるなどの露骨なあおりではなく、ひたすら後ろから付けてくるといった被害報告もあります。



写真はイメージです(以下同じ)



ギャル時代、男女6人で旅行中に肝試し
「実は、20年も前のことですが、いかにもそっち系の人が乗っていそうな黒塗りのベンツに追いかけられたことがあります。最近はテレビあおり運転ニュースが多いけど、さすがに私みたいな体験をした人は少ないと思います」


 今でこそ上品そうな雰囲気を漂わす山下由貴さん(仮名・39歳/専業主婦)ですが、20年前はギャル。毎晩のように夜遊びを繰り返していたそうです。


「8月の下旬だったと思いますが、大学の遊び仲間の男女6人で2泊3日の旅行に出かけていたんです。それで2日目の夜、男子が『今から肝試しに行こう!』って言い出し、ホテルの人に教えてもらった海に面した断崖絶壁の景勝地にみんなで行くことにしたんです」


 そこは全国的に有名なわけではないものの過去には投身自殺も起きており、地元の若者の間では心霊スポットとして知られていたとか。


「そんなプチ情報もあって男子たちのテンションは高かったけど、私は超がつくほどの怖がりだったので本当はホテルに帰りたいと思っていました。でも、自分の弱いところを人に見せるのが嫌で、ずっと強がっていました(笑)


 目的地の崖には途中寄り道をしながらホテルから1時間ほどで到着。現地にはみやげ物屋などは1軒もなく、駐車場があるだけでした。


◆深夜の崖上の駐車場に停まる1台のベンツ


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「隅(すみ)に1台だけ車が止まっていて、それが例の黒いベンツだったんです。でも、突然エンジンを吹かしたと思ったら猛スピード駐車場を出て行ったんです。車内はフルスモークでしたっけ? 黒っぽいフィルムが貼ってあって、中の様子はまったく見えませんでした。


 友達と『こんな時間に何してたんだろうね?』とは話しましたけど、特に関心があったわけじゃありませんでした」


 現場は日中なら海が一望できる絶好のロケーションでしたが、当然夜なので一面真っ暗闇。霊がどうこうというよりも「誤って転落する危険がありそうで怖い」と男子が言い出し、15分ほど辺りをブラブラしただけで再び出発。


 しかし、本当の恐怖はここから始まったといいます。


◆後ろから付けてくるベンツに恐怖
「崖までは1本道で、突き当たりの交差点で県道か国道かは忘れましたがそこを曲がってホテルに戻るという道順でした。けど、交差点から少ししたあたりで車を運転していた男子が『後ろの車ってさっきのベンツじゃない?』って言い出したんです。


 このときは同じ車だったとしてもふーんって程度で、特に気にはしていませんでした」


 ところが、途中に交差点がいくつもあったのにベンツは由貴さんたちが乗る車の後を付けてきたそうです。


「別に煽ってくるわけではなく、十分な車間距離を取っていました。ただ、いつまでも後ろを付いてくるからなんかヘンだよなって言い始めたんです。


 そしたら運転手と別の男子が『あのベンツナンバーってキリ番だけど、まさかヤ○ザじゃないよな……』ってボソっとつぶやいたんです。そんなことを言われると、もうそれにしか見えないじゃないですか。それからはみんなビビっちゃって、私も手がブルブル震えていました」



 すると、ここで運転手の男子が「警察署に向かって様子を見よう」と提案します。


「当時、その車にはカーナビがついてなかったので、別の男子が地図を見ながらナビしていたんですけど、その途中でベンツは右折してどっかに行っちゃったんです。


 その後は何事もなくホテルに戻れましたが、後ろから付けられている間は本当にあせりました。今はあれはただのカン違い、思い込みだったと言い聞かせていますけどね(笑)


 単なる偶然でもこんなコワモテ臭ただよう車に長時間後ろを付けられるのはカンベンしたいもの。あおられなくても確かに怖そうです。


シリーズ怪談・ゾッとする話/不思議な話」―


<文/トシタカマサ イラスト/真船佳奈>


【トシタカマサ】一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。