出口が見えない戦後最悪の日韓対立をめぐり、韓国国内では1年後に迫った東京五輪のボイコット議論が白熱している。野党の国会議員が口火を切った五輪ボイコットはスポーツ界にも広がっているが、こうした動きに文在寅大統領は板挟みになっているようだ。

板挟みの文大統領


 日本が終戦の日を迎えた8月15日、韓国は日本による植民地支配からの解放を記念する「光復節」を迎えた。中部・天安での記念式典に出席した文在寅大統領は、東京五輪について「友好と協力の基礎を固め、共同繁栄の道に進む絶好の機会」とし、「世界の人々が平昌(五輪)で『平和の韓半島(朝鮮半島)』を見たように、東京五輪で友好と協力の希望を持つようになることを望む。私たちは東アジアの未来の世代が協力を通じた繁栄を体験できるように、与えられた責任を果たすことだろう」と演説。五輪ボイコットに消極的な姿勢を示した。なぜか。

「現実問題として、五輪ボイコットに賛同する可能性がある国・地域は北朝鮮しかなく、ヘタに強行すれば韓国が国際社会から孤立しかねません。それに、南北融和路線を進める文在寅大統領2032年ソウル・平壌五輪の共同開催を模索しており、光復100周年となる2045年に『ワンコリア』となる構想を持っている。その流れの中で五輪共催は必須で、五輪ボイコットは構想実現の足かせになると判断しているのです」(韓国メディア関係者)

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矛先を五輪から福島に?

 そこで訴え始めたのが、いまだ収束の見えない福島原発事故の影響だという。韓国外交省の報道官が今月中旬の会見で、福島第1原発でたまり続ける汚染水に関し、「韓国国民の健康や安全を最優先として、汚染水の管理状況や処理計画について、日本に情報公開などを積極的に要請していく」とする方針を発表。「必要に応じて国際機関太平洋沿岸国とも協力し、汚染水の放出問題に対応していく」と強調した。五輪招致をめぐる2013年のIOC総会で、福島原発について「アンダーコントロール」と胸を張った安倍首相にとっては、耳の痛い指摘だ。

文在寅政権は東京五輪への参加準備を従来通り進めながら、福島産農産物の活用反対や、「トイレみたいな臭いがする」と不満が上がっている海洋競技場の水質改善など、大会運営に関する問題点を指摘していく方向に舵を切ったというが、それはそれで安倍政権の感情を逆なでしそうだ。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

韓国で白熱する「東京五輪ボイコット」議論、板挟みの文在寅大統領