現在公開中のアニメーション映画二ノ国」は、人気RPG「二ノ国」シリーズの設定はそのままに、キャラクターとストーリーを一新した完全オリジナル作品だ。

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現実世界の一ノ国と、一ノ国と命でつながっている魔法世界の二ノ国を舞台に、ユウ(声:山崎賢人)とハル(声:新田真剣佑)の少年2人と、彼らの幼なじみのコトナと、彼らと深い関係がある二ノ国のアーシャ姫(声:永野芽郁二役)が織りなす、青春ファンタジー作品だ。

そんな本作で、二ノ国エスタバニア王国の魔法宰相・ヨキ、王国のアーシャ姫の世話係・ダンパ、王国と対立する黒旗軍の最高指導者・ガバラスを演じている、宮野真守梶裕貴津田健次郎の3人に、本作品の見どころや、互いの印象などについて語っていただきました。

■ 梶「外見的にはサイズ感に合った声、中身としては立場や重みも出るよう意識しつつ演じた」

――まずは今回、演じられているキャラクターについての印象をお聞かせください。

梶裕貴:ダンパは、実にファンタジーらしい容姿をしている、かわいらしいキャラクター。けれど、実はアーシャ姫のお世話係という重役で、中身はしっかりしている人物です。姫の教育係みたいな面もありますね。なので、国にとって非常に頼りにされているキャラクターだと思います。意外にも(笑)。

外見的にはサイズ感に合った声で、中身としては、彼が任されている立場や重みも出るようなところを意識しつつ、演じさせていただきました

宮野真守:僕が演じたヨキは、なかなかひと言では説明できない人物で。すごく強い思いを秘めたキャラクターなので、そこに真っ直ぐに向かって演じていった感じですね。

津田健次郎:ガバラスは王国と敵対する黒旗軍の最高指導者。とても強い男といいますか、目的のためには手段を選ばない男なので、そういう意味も含めて、すごく怖い存在として演じました。

■ 宮野「“命”というものを考えさせられ、大切さをメッセージとして受け取れる」

――作品は、現実世界である一ノ国と、並行世界ともいえる二ノ国を行き来して展開していく壮大なファンタジーとなっていますが。

梶:まさに、一ノ国と二ノ国という二つの舞台があるのが、この映画の一番大きな要素だと思うんです。一ノ国で起こるドラマと、二ノ国で起こるドラマがどう絡み合っていくのか。

そんな中で、主人公たちの青春模様とファンタジーの両方が、うまいバランスで描かれていて。人生と同じで、なかなか一筋縄ではいかない、その山あり谷ありの展開にドキドキワクワクしていただけるんじゃないかと思います。

津田:やっぱり、リアルとファンタジーというか、一ノ国と二ノ国の行き来というのが設定としての見どころだと思いますが、物語は楽しい部分もあれば、割とヘビーな展開もあって。

本当にいろんな要素があり、個性豊かなキャラクターがそろっているので、誰が見ても楽しめる作品になっているんじゃないかなと思います。

宮野:主人公の少年たちがショッキングな出来事に立ち向かっていくところには、ハッとさせられますよね。だからこそ、キャッチコピーに「命を選べ。」とあるように、“命”というものを考えさせられるし、決してきれい事ではなく、力強さ、大切さをメッセージとして受け取れる。

僕らも、常にいろんな選択をしながら生きていかないといけないと思うので、そこにキッカケをくれるようなメッセージを持った作品だと思います。

■ 梶「今回は、お2人(宮野、津田)の真骨頂が詰まっているなという印象ですね」

――皆さんは、これまでも数々の作品で共演されていますが、今回改めて、それぞれの魅力に気付かれたところはありましたか?

宮野真守:ありますよ、それは〜。

津田健次郎:ありますね。

宮野:いや、もう梶くんがめちゃくちゃかわいかった(笑)。

津田:かわいかったねえ(笑)。

宮野:アフレコは別録りで、僕が収録した時はメインの3人の真っ直ぐなボイスと、唯一ダンパの声が入っていて、「知っている人!」って思った。

梶裕貴:それ、新しい魅力ですか?(笑)

宮野:知っている声なんだけど、今回はこういう方向性でいくだなと。梶くんの戦い方というか、攻め方も感じられて、感心したというか、面白かったですね。

津田:もちろん、梶くんがこういうキャラクターをできるのは知っているんだけど、最近、割りと大人の(キャラクターを演じている)梶くんが多かったから。

梶:そうですね。

津田:そう言えば、そうだったって。超かわいいんですけど(笑)。ファンタジーの世界にバッチリと入っていて、さすがだなと。

梶:僕も、いろいろな現場で、いろいろなキャラクターとしてご一緒させていただいています。だからこそ新しいというよりも、むしろ今回は、お2人の真骨頂が詰まっているなという印象ですね。

僕は収録のタイミングが早かったので、皆さんの声を想像しながら演じたんですけど、やはり実際に声が入ったものを拝見させていただいた時に、“これだ!”と感じましたね。

津田:僕はアフレコが遅めだったので聞きながらできたんですが、マモ(宮野)はマモで、いつものように頼もしいマモでした。

宮野:ありがとうございます。そう言えば、いろいろリテイクがあって、後半部分は津田さんのガバラスを聞きながらできたんですよ。

梶:大事ですよね、そこは。

宮野:聞きながらやっていると、やっぱり、津田さんは存在感が違うなあと。

梶:そうですよね。

宮野:7月に行われたジャパンプレミアムで、永野芽郁ちゃんが“いい声!”って感嘆していて(笑)。

梶:そうでしたね!

宮野:僕も一緒に“いい声!”ってなっていました(笑)。

津田:いやいや、付き合い長いでしょ(笑)。

梶:改めて聞いてもなんですよ! 普段なかなか、こんなにいい声を聞く機会って、ないじゃないですか。やっぱり、すごいんだなって思いました。

■ 津田「(ユウとハル)どちらの立場、心情も分かる」

――ネタバレしてしまうので言いづらい部分もあると思いますが、後半でユウとハルの少年2人が決断する選択についてはどう思われますか?

津田:まあ、どちらの気持ちも分かると言いますか。どちらの立場、心情も分かりますよね。

宮野:そう。ボタンの掛け違いですよね。どちらがどの立場にいて、何がキッカケになって、何を受け取るかという。

津田:どちらが正しいとか分からないよね。

宮野:その選択によって道って決まっていくんだなと。2人の立場、思いが強く真っ直ぐなので、だからこそぶつかってもしまうんだろうなと。

梶:親友だからこその衝突が描かれていたりもしますし。それぞれ一ノ国、二ノ国で置かれている状況・環境が違うので、何かが一つでも違ってくると大きくバランスが変わってしまうんだということをすごく感じましたね。それでも大事なのは、何を信じて、どう行動するのか、というところに尽きるのかなと思いました。

――ちなみに、皆さんが印象に残ったシーンは?

津田:分かりやすく、少年2人が二ノ国で目覚めた瞬間ですね。

梶:なるほど。

津田:一気にパーッとファンタジーの世界がより広がる。こういう作品の真骨頂というか、ああいう描写は好きですね。

梶:分かります! 津田さんが言ったシーンもそうですし、城から船が出航するシーンとか、酒場のシーンとか、エネルギーがあふれているシーンも魅力的ですね。

それに久石譲さんの音楽が合わさって、より世界が広がるような感覚がありました。感動しましたね。

宮野:あと、アーシャとユウが訪れる、湖のシーンがキレイだったなあ。アーシャがかわいかったし、水の表現もとてもよかった。

津田:ファンタジーはいいよねえ、ほんとに。夢がある。ぜひ劇場で見てほしいよね。

梶:そうですね。素敵なシーンがたくさんあるので、ぜひスクリーンで見ていただきたいです。(ザテレビジョン・取材・文=斉藤俊彦)

映画「二ノ国」で声優を務めた3人:左から、梶裕貴、宮野真守、津田健次郎