※写真:田村聖

インバウンド需要の影響もあり観光客でごった返すJR大阪駅では、複雑な乗り換えで迷った利用客が駅員に尋ねると「それなら1番のりばからご乗車ください」といった案内をする光景をよく目にするようになりました。実際に1番のりばに向かうと、そこには大阪環状線内回り)が停車します。

大阪環状線各駅停車の環状運転だけでなく、JRゆめ咲線への直通、阪和線関空・紀州路快速大和路線大和路快速などが乗り入れており、天王寺または京橋が始発となって内回りを経由して、ゆめ咲線西九条から、大和路線阪和線天王寺からそれぞれの路線へと向かいます。

このように4路線それぞれへ向かう車両がすべて1番のりばに停車することになり、初めて利用する人たちにとって大きな混乱を招く結果となってしまうのです。

さらに関空・紀州路快速については8両編成のうち1号車から4号車が関西空港ゆき、5号車から8号車が和歌山ゆきとなっている運用が多く、後ろよりの車両に乗車していたら途中の日根野駅で切り離され、関西空港に向かうはずだった外国人観光客が誤って和歌山方面へ向かってしまうというトラブルが多々あるそうです。

そのようなトラブルを防ぐため、最近では大阪環状線の1番のりば(内回り)と2番のりば(外回り)ホーム上の案内表示が改善されました。

現在は可動式ホーム柵の設置工事中ですが、ホーム床面には乗降位置と行き先によって異なる種別が描かれており、直感的に理解できるように工夫されているのがわかります。

乗車位置のデザインも大和路快速は鹿、関空快速飛行機紀州路快速はミカンのイラストで区別できるようになっています。

外国人観光客向けには英語で関空・紀州路快速に乗車する際の注意点が貼られています。

2番のりば(外回り)についてはすべての列車が大阪から天王寺までの各駅に停車するため、乗り入れてきた路線に関わらず種別が普通と表示されるようになりました。以前は大阪環状線へ乗り入れる前の種別(大和路快速関空・紀州路快速)をそのまま引き継いでいたため、外回り内回りが区別しにくく非常に紛らわしく混乱を招いていましたが、現在ではシンプルになりました。

種別の路線表示もすべて大阪環状線の「O」に統一されています。

内回りに比べるとホーム床面の乗車位置、路線図ともにシンプルな表示になっています。

地元の人間でも最初はややこしいと感じますので、関西以外の方が出張や観光で初めて利用する場合はかなり混乱すると思います。これを東京のJR山手線に例えるなら、品川始発で山手線を1周した後にそのまま東海道線上野東京ラインなどへ乗り入れるといったイメージでしょうか。山手線で寝過ごしたらいつの間にか熱海、宇都宮、土浦だった!みたいなことが大阪では起こりうるのです。

大阪環状線は地元住民の足であり、その路線にビジネスから観光まで幅広く利用される関空・紀州路快速、奈良へと向かう大和路快速、世界的なテーマパークのUSJへと向かうゆめ咲線と利便性の高い路線が密集しているがゆえに起きてしまう“便利すぎる問題”といえるでしょう。

(写真/記事:田村 聖)