取材(Mihajlo Maricic/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

京都アニメーション放火事件で、報道各社が被害者の実名を公表するよう京都府警に申し入れた件は、現在も激しい批判が浴びせられている。

この事件に限らず被害者の名前や顔写真を報道することについて疑問を感じている人も多く、ネット上では批判の声が。一方で、事実を知るためには実名報道が欠かせないとの意見も。

■実名・写真入り報道についてどう思う?

しらべぇ編集部では全国の10~60代の男女1,653名にメディアが事件被害者の実名・写真を報道することについてどう思うか意識調査を実施。
結果、被害者の実名・写真入り報道に疑問を感じると答えた人は49.1%。僅かながら疑問を感じない人が上回ったが、意見がほぼ真っ二つに分かれる結果となった。

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■若者が厳しい視線

メディアの事件被害者報道に疑問を感じている人を年代別に見ると傾向が出た。

若者の割合が高く10代は57.3%、20代は52.9%となっている。昔に比べて情報拡散スピードが格段に速くなっており、テレビで流れた名前や顔写真の情報がネットに流れてしまう。

それを肌で感じている若者は、個人情報がメディアによって公表されることに、疑問を感じている。

■疑問を感じている人の声は?

メディアの実名・写真入り報道に疑問を感じているというBさん(20代・男性)に意見を聞いてみた。

「被害者の名前を出すことになんの意味があるのか、それを国民が知って、なんになるのか。事件が発生したあと、なぜメディアがその人物の写真を持っているのか不思議で仕方ない。

遺族が望んでいないのに、実名・写真入り報道をするのはおかしい。遺族の意向よりもメディアの報道の自由が優先されているのなら、大問題では」

■一定の理解を示す声も

一方、実名・写真入り報道に一定の理解を示すのはFさん(50代・男性)だ。

「どのような情報でも、透明でなくてはなりません。遺族に配慮する必要はありますが、基本的には実名報道をしていくべきだと思う」

個人情報保護の意識も高くなるなか、実名・写真入り報道が本当に必要なことなのか、社会全体で考えていく必要がある。

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(文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 調査期間:2019年8月9日~2019年8月14日
対象:全国20代~60代の男女1,653名 (有効回答数)

批判相次ぐ事件被害者の実名報道 若者はメディアの行動に厳しい視線