配偶者が数年ぶり、あるいは数十年ぶりの同窓会に出かけていく――。快く送り出したものの、そこで何が行われているのかはなんとな~く気になるものである。しかし、あからさまに気にするのもカッコ悪い。でも気になる。複雑な心理、あなたにも経験があるのではないか。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)

同窓会に赴く妻
見送る夫の胸中は

 同窓会をきっかけに関係をスタートさせる男女はちらほらいるらしい。確かに見ず知らずの相手が対象の合コンよりかは、よく知っていて甘酸っぱい青春を共有した相手のいる同窓会の方が、気持ちが盛り上がりやすい面はあるのかもしれない。

 自分が参加する側なら「あの頃のあの子は今どうなっているか」くらいを考え、やましい気持ちを抱いている人はもっと具体的なあれこれを思い描いて参加するのであろう。

 ではさて、妻が同窓会に参加するとき、夫たる自分はどのような心持ちで彼女の背中を見送るのであろうか。「妻が不倫なんぞするわけない」と安心しきっているのか、それとも妻の不倫が心配なのか、あるいはそうしたことが念頭に浮かばないほど無頓着でいられるのか。

 既婚女性数人に話を聞いてみたところ、どうやら夫が妻の同窓会参加に心を乱していると見て取れるケースが、程度の差はあれ散見された。妻の不倫を心配するとまでいかなくとも、妻が自分の知らない青春時代を知っている男友達と会ってくること自体がなんとなく面白くないご仁も、それなりにいるのであろうと推測される。

 妻から見て、そのとき夫はどのような様子であったのか。いくつかのエピソードを紹介するので、ぜひ自分に立場を置き換えて登場する夫との類似点、相違点を発見して楽しんでいただきたい。

機嫌を損ねる夫の風景

飲み下しがたき妻の同窓会
機嫌を損ねる夫の風景

 目撃談の中で1番多かったのは「夫の機嫌が悪くなる」であった。妻たちは夫の変調を発見し、そのことによって自分の同窓会参加が夫の心を乱していたことを知るのである。

「帰ってからしばらく口をきいてくれなくなりました。そんなに浮かれていたつもりはなかったけど、そういうふうに見えていたのかな?」(Aさん/34歳女性)

「無口だけど物音が荒くなって、『ああ、いつもの不機嫌なときのパターンだ』と。私にはいいが子どもの前でも平気でその調子なので、それを控えてほしいと伝えるとどこかに出ていってしまった」(Bさん/37歳女性)

「帰宅すると在宅していたはずの夫がいなくなっていて、スマホでどこにいるか尋ねると『外。食事も外で済ませる』と返ってきて、私と距離を取りたいのがあからさまだった。夫をつまらない気分にさせてしまった申し訳なさと、たまの同窓会なんだからそれくらい大目に見てくれたってという思いが混ざって複雑な気分に」(Cさん/39歳女性)

 1人の人間の“機嫌が悪いときのパターン”は大体決まっているので、結婚生活を少し重ねれば互いのそれを把握できる。如実にわかる不機嫌が同窓会帰宅後の妻に浴びせられているのだから、妻はそれと気づく他ない。

 夫らが妻に不機嫌を伝えるつもりでそうしているのか、または胸中悟られないようにしようと努めつつ残念ながら不機嫌が漏れ出てしまっているのか。どちらにせよ少なくとも妻は夫の不機嫌を十二分に承知しており、それによって申し訳なさや不満を内心募らせる。無言の夫婦ゲンカのようなものである。

 なお、Aさんからはこんな感想があった。

「普段夫は私になんの興味も示さないマシーンのような人で、最近は夫に異性として見られない自分を受け入れつつありました。『それも仕方ないのかな。そういうものなのかな』と。

 けれども同窓会きっかけであんな反応を示す夫を見て、『私になんの関心もないわけではない』ということがわかって、それが本当に意外な発見でした。まあそれを思えば、夫の無口の不機嫌もかわいいものです」(Aさん

夫が見せたさまざまな反応

 夫の見せた幼さが妻の理解によって助けられた格好、といえるであろう。

当てつけ、意識改革など
夫が見せたさまざまな反応

 夫の反応は不機嫌以外にもあって、これはこれでその人となりが感じられるようで面白い。

「同窓会の日のあとから夫がFacebookに自分が女性と写っている画像を頻繁にアップするようになって、それが2週間くらい続いた。会社のセミナーや飲み会での様子とか。Facebook上では夫と『相互フォローだけどいいねやコメントはしない、けどお互いの投稿は閲覧している』という関係。

 夫はそれまで画像を上げるにしても、なるべく女性と写っているものを避けていたようだったが、同窓会後はあきらかに変化。『私への当てつけ』なのかなあと」(Dさん/34歳女性)

 もしくは当てつけほど攻撃的な意図がなく、「おれも女性の1人や2人と写れるのだぞ。俺はまだ男性なのだ」という自己確認が目的だったのかもしれない。どちらにしても夫が妻の同窓会で心を乱されたらしいことは確実である。

 妻に宣言して自己改革に乗り出した人もいた。

「同窓会から帰ってきた日の夜、夫が『最近たるんですっかりしょぼいおじさんになってしまっていたが、筋トレをしようと思う』と宣言した。いいと思うが急になぜか?を問うと、『同窓会でいい男に会っただろうから、自分は油断せずしっかりいい男であり続けなければいけない』だそうで。

 笑ってしまったが、何かをがんばるのはいいことだと思うのでぜひ応援したい」(Eさん/34歳女性)

 なおEさん夫婦は歳の差カップルで、夫が10歳近く上である。若者に負けてはならぬと奮起したEさん夫の姿がほほ笑ましい。

>>(下)に続く

同窓会に出かける妻に心乱す夫は多い?(写真はイメージです) Photo:PIXTA