「青春高校3年C組」(毎週月~金曜昼5:30-5:55)や「ゴッドタン」(毎週土曜夜1:45-2:05ほか)など、テレビ東京の人気番組を手掛ける佐久間宣行プロデューサーへのインタビューの後編。今回は、話題のコンテンツの楽しみ方から、テレビラジオの親和性に至るまで、さまざまな方面から話を聞いた。

佐久間Pインタビュー前編 「青春高校3年C組」は「10代の青春真っ只中の一期一会を目撃してほしい」

佐久間Pのエンタメ情報源は「知らないおじさんブログ」!?

――テレビに身を置かれている以上、常に新しいもの、面白いものを追いかけていくことはとても重要なことだと思いますが、そういったものを見つけていくための佐久間さんなりの方法や、見る作品を決める際の線引きなどはありますか?

(見るコンテンツの)取捨選択は、完全に口コミですね。昔はレビューが載っているサイトとかも見ていたんですけど、今は「この開業医のおじさんブログで褒めていれば自分の趣味に合う」みたいな感じで決めていますね。

演劇だったら3つ、映画だったら5つ、音楽だったらこの人とか、(ジャンルごとにチェックするブログが)全部決まっていて。それらをRSSリーダーに入れておいて、それらをバーッとチェックしている中で「この人が褒めているから見に行こうかな」って感じで、小劇場のチケットを押さえたりしています。

基本的には社会人の、恐らく同年代くらいのおじさんおばさんが情報源になってますね。“マニアの目”を信じている感じです(笑)。「ホラーだったらこの人!」とか。さすがにずっとそういう風にやっていると、自分の中で信用できる人が10~15人くらいはいるので。(一方的に読んでいるだけなので)会ったことは無いですけど(笑)

■ 見たいエンタメはすべてカレンダースケジュール管理!

――最近はご自身のラジオ番組「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」(毎週水曜深夜3:00-4:30、ニッポン放送)だけでなく、ありとあらゆるメディアイベントなどにも関わられるなど、大変お忙しいと思うのですが、お休みや趣味の時間、インプットのための時間などはどのように作っていますか?

それはですね、2~3ヶ月先ぐらいまで、見たいコンテンツの予定を全部カレンダーに入れてるんですよ。例えば、NETFLIXドラマの配信開始日はカレンダーに入れてありますね。

先週の金曜日からは「マインハンター」ってドラマが配信されていて、「アトランタ」っていうアメリカドラマの配信日が9月頭とか。それから、気になる映画の公開日も全部入れていて、3ヶ月先の映画を見る日も決めています(笑)

なので、(時間を確保することは)比較的大丈夫ですよ。こうやってカレンダーに入れているからこそ何とかなっていますね。あとは「移動中に見る」って方法ですね。移動中はラジオ聞いているか本を読んでいるか、配信ドラマ見ているかです。

――お仕事もある中でそれだけご覧になっていると、「いつ寝ていらっしゃるんだろう?」と思ってしまうのですが…。

いや、寝てますよ! 全然寝てるので大丈夫です(笑)

■ 演劇系の企画は「フライヤーに書いたメモ」がカギ!?

――そんな中で、バラエティーをご担当されている佐久間さんが「今期待している芸人さん」はどなたでしょうか?

期待している芸人か…。ネタが面白いな~と思うのは、もちろん霜降り明星やハナコはそうですけど、かが屋とかAマッソとかザ・マミィとかは、あまり見たことのないようなコントをやっているので、これからが楽しみですね。あとは、テニスコートっていう、芸人と役者の間のようなグループがあって、彼らのコントは結構好きですね。

――そういった芸人の皆さんを、ご自身の番組などで「こういう形で起用していきたい」という思いはありますか?

それはもう、どういう形もなく、「面白そうだな」と思ったら普通にどんどん出していますよ(笑)。あと、お芝居とかを見に行くと、大体その公演のフライヤーが手に入るじゃないですか。僕は公演を見た後すぐ、それに「この子イケメン」「滑舌良し」とか(役者さんの特徴を)全部メモをしておいて、後日番組のAPに渡しちゃうんですよ。

例えば芝居系の企画がある時には、思い出せる時は僕から「〇〇君いいんじゃない?」とか提案するんですけど、そうじゃない時はAPがメモを入れたフライヤーを全部持ってきて、そのメモ書きの中から合う子を探して「この人いいんじゃないですか?」って(出してくれて)キャスティングしている感じですね。

なので、自分が現場で見たことが全部キャスティングにも繋がってますね。最近だと、自分の番組とか関係なしに、いろんなドラマやCMの人からもキャスティングを相談されるので、「これは絶対〇〇さんが良いですよ」って返したりしています。勝手にオーディションにあっせんするという、謎の職業をやってますね(笑)

■ 「まだ見せていない“魅力の箱”が開きそうな人を番組に呼びたい」

――「ゴッドタン」では、度々フィーチャーされている芸人さんも結構いらしゃいますが、そういった芸人さんたちの特徴、傾向などはありますか?

それはいろんなパターンがあるんですよ。まだ世の中に見つかっていなくて「見つかってほしい」という思いから出す人もいれば、(芸人として)若干行き詰まって七転八倒しているけど逆にそれが面白くなっている人もいますし。

あとは「まだみんな気付いていないけど、このキャラクターをひっくり返したら面白がってくれるんじゃないか」っていう人もいて。EXITはまさにそうですね。(結果的に「実は真面目でチャラくない」という素顔を暴いてしまい)それが彼らのためになったのかはわからないですけど(笑)

とにかく、「ゴッドタン」の場合は他の番組で見せていない“魅力の箱”が開きそうな人を毎回呼んでいるイメージですね。お互いにそういう面白い時期を過ごして、そうじゃない形で売れていったとしても、また番組にたまに来てくれるだけでいいですよ(笑)

■ 「センスのいいリスナーたちが番組に参加してくれるのがうれしい」

――「オールナイトニッポン0」のことについてもお伺いしたいのですが、4月にラジオを始められて、周囲の方からの反響や、ご自身の中での変わった部分などはありますか?

ラジオは本当に「楽しい」だけなんですよね。仕事だと思ったことは一回も無いしなぁ…。「毎週こんなに楽しくていいのかな?」って感じですね。

僕が今43歳なんですけど、年齢的にもそんなに長く続くものだと思っていないんですよ。(テレビ局員としてラジオパーソナリティーをやるという)それ自体が奇跡みたいな出来事だし、やらせていただいていること自体が幸せなので、毎回毎回、忘れないように楽しくやろうと思って生放送に臨んでます。

それを「楽しそうだね」って意味で聞いてくださる方が増えているな~とは思っていて、それはありがたいですね。あと、(周囲の反響という意味では)この業界の方は特に聞いてくださっている方は多いですね。

――もともとラジオがお好きだったとのことですが、実際にパーソナリティーを担当されてみての楽しさ、難しさはどういった部分でしょうか?

楽しさという部分では、やっぱり「ラジオリスナーってセンスいいな~」って思いますね。僕をイジってくるにしても、一つの出来事に対する返答も、「お前らよく夜中の3時にこんなに頭回るな」っていう(笑)

僕の考えていることをリスナーが大体上回ってくるので、こういうセンスのいい人たちが世の中にゴロゴロ眠っていて、しかもそんな人たちが僕のラジオメールを送ってきてくれるのはすごくうれしいです。

ラジオの投稿ネタが実際に企画化!?

――一行で企画内容を説明する「企画書はラブレター」のコーナーでは、ネタ投稿だけでなくリスナーの考えた“本気の企画”も届いていますが、その中で実際にご自身で「企画として形にしたい!」と思ったものはありましたか?

ありますあります。「こちら幽霊不動産」みたいな企画なんですけど、幽霊専門の不動産業者が、早くに亡くなってしまった幽霊をどんな部屋に導いていくかというドラマで。

「幽霊は自分の血縁関係にある人のところには住めない」みたいなルールがあって、その中で実際に幽霊が住む家を選ぶ過程と、そこに暮らしている人との交流を描く、みたいな感じでした。

怖い話にもできるし、ほのぼの系もできるし、泣ける話もできそうだなと思って、それを僕は「SKET DANCE」って漫画を描かれた篠原健太さんが描いたらどうだろうと。そうしたら「ジャンプじゃない方が上手くいきますね」みたいな反応でした(笑)。それはそれで面白いなと思いましたね。

■ 「テレビでは難しい『熱狂的なファン』を生む力がラジオにはある」

――今、この時代に「テレビマンでありながら」ラジオをやることの意義ですとか、ラジオテレビの親和性についてはどのように捉えていますか?

今、テレビはものすごく過渡期にあるじゃないですか。テレビテレビとして、大規模に仕掛けた方がバズを生むこともできると思うんですけど、その分視聴者にだけ合わせていくと、結構ご年配の方が見られるような番組に傾いたりしがちなんですよね。

そういった中で、テレビがもう一回熱狂的なファンを増やしたり、お祭りを生んだりするようなものになるには、(視聴者に)「自分に向けて(番組を)作ってくれているなと思ってもらうこと」だなと思っていて。それって、実はラジオではすごく出来ることなんです。

熱狂的なファンを増やすには、やっぱりラジオが一番向いているなと思っていて。例えばパーソナリティーが自分の心情を長く話したり、誤解を解いたり、キャラクターを知ってもらったりっていうこと、それがテレビではなかなか出来ないことなので。テレビラジオはすごく補完関係にあるというか、うまく相互利用できるんじゃないかなと思っていますね。

かつ、今の時代テレビは、「誰がどんな思いで作ったんだ」ってことが視聴者にわかった方が、見てくれる人が増えるなっていう印象がちょっとあるんですよ。その意味で言うと、ラジオに僕が出て「こういう人間がこういう感じで作っていますよ」って話しているのは、僕の番組の場合プラスに働いているなと思いますね。

■ 単独イベントがまさかのチケット争奪戦で「怖くないですか?」

――10月には東京・下北沢の「本多劇場」で佐久間さんの単独イベントを開催することが決定しましたが、そちらの意気込みやプランなどあればお聞かせください。

これはね、本当に怖いですよね(笑)。チケットが6000円ですからね。6000円に伍する何かを話すってなかなかの出来事ですから。ゲストが出るかどうかもまだわからないので。

ラジオに関しては、僕より若いスタッフディレクターと構成作家をやっているんですけど、基本的には僕の独断ではなく「その人たちが決めたことに従う」と決めていて。ただ、(このイベントで)彼らが何を僕にやらせようとしているのか…。

正確な数はわからないんですけど、キャパが380席のところに信じられない数の応募があったみたいで、どうやらすごい倍率になっているらしいんですよ。それも怖いですよね。

――TIFトークショーをやられた際も、かなりの数のお客さんがいらしていたそうですが…。

そうなんです。(トークショーステージが)入場規制になったんです。それだけ期待されてるって、怖くないですか? サラリーマンおじさんトークイベントですよ?(笑) それに(今回は単独イベントなのに)チケットが6000円で抽選になるって、まずいですよね…。

――「青春高校―」の生徒の皆さんにも、ぜひ聞いてもらいたいですね(笑)

とは言っても、あくまでおじさんの話ですからね!(笑)(ザテレビジョン

他局の番組などからも引っ張りだこのテレビ東京・佐久間宣行プロデューサー