韓国政府が日韓で防衛秘密を共有・保護する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告した。日韓関係の悪化は目を覆うばかり。問題解決の見込みの立たない状態に陥った。
日米韓の連携が日本を取り巻く安全保障の基礎と考えてきただけに、衝撃的である。
今回の破棄通告について防衛省外務省関係者の多くが「想定外」の出来事と衝撃を受けたようだが、情報を事前に入手できなかったわけでこれも寂しい話である。韓国は協定破棄を決めた理由として、日本政府が輸出優遇対象国ホワイト国)から韓国を除外したことを挙げ、「国益に合わない」と説明しているようだ。日本が7月参院選挙の直前に打ち出した輸出優遇対象国除外が「対韓制裁」と受け取られた。慰安婦や徴用工問題などでの韓国側の対応に問題があるとはいえ、もう少し冷静な対応ができなかったか疑問が残る。
問題の根底には日本が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことがあるのではないか。ナチス・ドイツの戦争犯罪を裁いたニュルンベルク裁判とは別に戦争責任を自らの手で明らかにしたドイツとの違いを認識しなくてはならないと思う。旧西ドイツ時代に当時のシュミット首相らがポーランドなど侵略し併合した諸国を訪れ、ゲットー(ユダヤ人隔離地域)でひざまずいて謝罪し「和解」に繋げた先例に倣うべきだろう。
それにしても、東アジアを取り巻く環境の激変はすさまじい。トランプ大統領金正恩朝鮮労働党委員長との会談を切望しているようだ。北朝鮮の非核化は一向に進展せず、ミサイル発射を繰り返しているが、トランプ氏は問題にしていないらしい。
北朝鮮と融和し、民族統合をめざす文在寅政権は中国やロシアとの関係強化を探っており、冷戦以来の枠組みである日米韓の安保協力にはかねて消極的だったといわれる。今回の決定は、東アジア安保の要となってきた日米韓連携と距離を置く文政権の姿勢を鮮明にしたのかもしれない。
もともと韓国と北朝鮮は同じ民族。ところが、米国、中国、旧ソ連(現ロシア)など大国の思惑から、分断を余儀なくされた。かつて朝鮮半島を併合し、忍従を強いた日本にも大きな責任があろう。南北政治体制は異なっても、民衆の思いは同じである。戦後の国際社会は、国連はもちろん欧米や日本はじめ“民族自決”が普遍的理念である。いち早く統一を果たしたドイツと同様に、一刻も早く「民族統一」が果たせるよう見守りたい。
<直言篇96>

韓国政府が日韓で防衛秘密を共有・保護する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告した。日韓関係の悪化は目を覆うばかり。問題解決の見込みの立たない状態に陥った。 日米韓の連携が日本を取り巻く安全保障の基礎と考えてきただけに、衝撃的である。